セールスポイント
・良質な黒酢ならではのまろやかな酸味とほのかな甘味。
・料理には勿論、飲む酢としても使うことが出来る。
・大容量タイプの900mlはかなりお得に購入できる。
内堀醸造について
1876年に岐阜県に創業した「内堀醸造」は様々な食酢を製造している食品加工メーカーです。
米は自社で精米したものを使用して酢を作り、ポン酢や寿司酢などは利尻昆布と自社内でその日に削った枕崎産の本枯節から取った一番だしを使っています。
上記の様に原材料から一貫した生産体制を取っており、出来るだけ原料に近い素材を加工することで高品質な商品作りを心掛けているそうです。
「内堀醸造」では通常の米酢だけではなく、黒酢・複数の果実酢(フルーツビネガー)などの多種多様な酢が製造されていますが、全て自社で酢の元になるもろみ(濾していない酒)作りから行っています。
内堀醸造の実際に試した商品
臨醐山黒酢
酸味がやわらかく、飲みやすいことで人気のある黒酢です。
自然な米の甘味と食欲を刺激する豊かな香りが特徴であり、当然ながら調理に使うことも出来る「内堀醸造」でも一番人気の商品です。
美濃三年酢(赤酢)
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【プロレシピ】江戸の赤シャリ「美濃三年酢&三ツ判山吹」
・家庭でも江戸前の赤シャリを作れる。
・赤酢は旨味が多く、刺激が少ない。
・寿司酢以外にも様々な料理に使える。続きを見る
酒粕で作った醸造酢というと安物に聴こえますが、三年以上の歳月をかけて醸造した粕酢なので深い旨みを持っています。
通称:赤酢とも呼ばれており、あまり有名ではありませんが通常の米酢で作る白シャリに対して、伝統的な江戸前寿司のシャリである赤シャリは赤酢で作ります。
醸造酢の分類と味(やや雑学気味)
酢を分類するには基準が決まっており、様々なお酢の総称を醸造酢と言います。
この内容のメリットは市販価格(スーパーの棚を見るとわかりやすい)とお酢の種類を知ることである程度味(まろやかさ・ツンツンしている酸味の強さなど)の予想が付くことです。
少し長めの文章なので、商品のレビューを見たい場合はこちらをクリックorタップしてください。
穀物酢
穀物の使用量が40g/l以上のものを指し、酒粕や麦芽糖などのリーズナブルな素材を利用して作ったものも含まれます。
穀物酢と記載されている商品は安いものが多いので買いやすいのが特徴ですが、酸味が目立ちやすいのでトゲトゲした味と言われやすいです。
個人的には安い穀物酢は避けたい調味料ですが、調理現場では使う機会も多数あります。
米酢
穀物酢の内、米の使用量が40g/l以上のものをさし、安いものから高いものまで多種多様になっています。
高いものはほのかな甘味があり、まろやかな味が多い傾向にあるので美味しい日本食を作りたい場合はシンプルな米酢の使用をオススメします。
米黒酢
ぬかを完全にとっていない米(原材料では玄米と記載)の使用量が180g/l以上なので甘味が他の酢よりもあり、ぬかがある事から褐色または黒褐色になります。
小麦や大麦を含んでも良いとしているので、区別する為に日本酒と同様に「純米」という単語が商品に付くこともあります。
正確(JASを準拠)に分類すると黒酢というと中国の黒酢(香醋)のことを指し、こちらは米以外にもみ殻、コーリャン、大麦なども使われるので米黒酢(日本の黒酢)とは異なります。
米黒酢は熟成期間が1~3年程度と長めの商品が多く、3年以上熟成させたものはまろやかで旨味があり、酢のトゲトゲしさが少なくなりますが値段も高くなります。
使用方法はそのまま使うか、甘酢タレ・煮込みなどがオススメです。
玄米酢
米の使用量が米酢は40g/l以上のものです。
米酢は色が薄いですが、米黒酢は180g/l以上なので色が濃く、使用している穀類が多いので甘味が出ます。
最近よく見かける玄米酢は米黒酢と同じ製法と思われますが、米黒酢程米を使わない為、色が黒酢よりもやや薄く、味も米酢よりになっているものが多い印象です。
なので、使い方は基本的には米酢と同様となります。
果実酢(フルーツビネガー)
果汁の搾汁(絞り汁)の使用量が300g/l以上のもので、リンゴ酢やブドウ酢(ワインビネガー)などが該当します。
フルーティーで甘味と爽やかさがあり、バルサミコ酢(イタリアの高級ブドウ酢)は最早通常の食酢とは別枠の存在でしょう。
使用方法は洋食からドリンクまで幅広く使える便利なお酢ですね。
レビュー
今回紹介するのは「内堀醸造」の「臨醐山黒酢 900ml」です。
▼ラベルです。
臨醐山は岐阜県八百津の代表的な山の名前です。
▼中身の黒酢です。
料理や特殊な調味料じゃないのでありきたりな説明になってしまいますが、酸味のトゲトゲした感じが少なく、まろやかになっています。
普通の穀物酢よりも米を多く使い、長期熟成させるので甘味と旨味が通常の穀物酢と比べると遥かに強くなっています。
これがドリンクに使っても美味しく飲めるポイントになりますが、ピクルスや酢飯などに使うと強すぎるデメリットもあります。
なので、黒酢ともう一本お好みの酢を備えておく必要があるでしょう。
▼点心系統には大抵合います。
小籠包の定番の調味料として酢漬けの針生姜がありますが、「臨醐山黒酢」を使っても合います。
酢醤油と違い、黒酢の場合は甘味があるので醤油が無くとも満足感を得ることが出来ます。
お酢は減塩する為に非常に便利な調味料なので、調理師としても管理栄養士視点でもオススメです。
ブラックビネガードリンク
材料
臨醐山黒酢 20cc
水 150cc
ハチミツ 小さじ1
公式のレシピは水と酢の割合が3:1とかなり酸味を感じる割合であり、人によっては胃が荒れる原因になるので水の量を倍程度に増やしています。
黒酢は元々糖度が高く、旨味が強い分、酸味を弱く感じやすいのでドリンクにしても飲みやすい部類だと思います。
ハチミツが若干溶けにくいデメリットがあるので、黒酢と少量のお湯で溶いたハチミツを混ぜて常備すると楽ですね。
鶏の唐揚げの黒酢あんかけ
材料
鶏もも肉 300g
鶏ガラスープの素 小さじ1
コショウ 少々
酒 大さじ2
小麦粉(揚げ衣) 適量
揚げ油 適量
黒酢 大さじ3
砂糖 大さじ1
濃口醤油 大さじ1
片栗粉 小さじ1(要調整)
水 大さじ4(要調整)
揚げ物もタレもシンプルなので作り方は省略しますが、カリカリに揚げない方が和風に仕上がります。
甘酢タレはご飯が食べやすい味ですが、男性や子供はかなり好みが別れるので最初に家庭で出す時は黒酢をレシピよりも控えめに作ると良いかもしれません。
糖醋牛肉塊(タンツゥニューロウカイ)
材料
好みの牛肉 200g
塩コショウ 少々
片栗粉 適量
揚げ油 適量
赤・黄色パプリカ 1個ずつ
ピーマン 2個
タマネギ 1/2個
黒酢 大さじ3
砂糖 大さじ1
濃口醤油 大さじ2
片栗粉 小さじ1(要調整)
水 大さじ4(要調整)
作り方
1.パプリカとピーマンを三角形(くさび形)に切る。
2.タマネギはくし切りにする。
3.好みの牛肉を1口大にカットし、塩コショウで下味をつける。
4.片栗粉を薄くまぶしたら180℃の油でカリッと揚げて、油を良く切る。
5.野菜は油通しか下茹でする。
ポイント
油通しは中華の基本(家庭向けではありませんが笑)であり、素材によって温度は異なるのでそれなりに経験が必要になりますが、ハッキリ言って味の差は歴然です。
ですが、比較的失敗しづらく、油を使わないことによりサッパリとさせる事ができる方法が下茹でです。
予熱で完璧に火を通すぐらいのイメージに加熱しておき、良く水分をきってください。
6.甘酢を作ったら、肉を絡めてから野菜を入れて素早く和えたら完成!
タレはトロリ、肉はカリッ、野菜はシャキシャキと食感の三重奏が味わえます。
先程のレシピとタレが似ている構成ですが、肉にたっぷりの甘酢あんを絡めると中華の味になります。
こちらの料理は普通の米酢で作るとどことなく物足りなく感じますが、黒酢を使うと甘味と旨味が補強されます。
総評
この「臨醐山黒酢」は黒酢の醍醐味をしっかりと楽しめ、値段と味を考えるとかなり高品質だと思います。
しっかりと熟成させている伝統的な有名な日本の黒酢である「桷志田」や「坂元」は本当にウマイですが、値段もすごく高いのでオススメはあまり出来ません(笑)。
ですが、「内堀醸造」の酢はリーズナブルながらも伝統的な味に近く、ジャバジャバ飲んでもいいですし、料理にもたっぷりと使えるので管理人のオススメの黒酢は現状コレになります・