セールスポイント
・高級干し柿「堂上蜂屋柿」をたっぷりと使った和菓子。
・羊羹でありながらもキレイに輝く宝石の様である。
・干し柿の甘味とツルリとした食感がたまらない。
岐阜銘菓 柿羊羹について
1838年に開発された「柿羊羹」は岐阜名物である干し柿「堂上蜂屋柿」の濃厚な甘味に注目して作られた和菓子です。
完成した干し柿から種を抜き取り、すり潰してから砂糖と寒天で煮詰めていき、孟宗竹の器に流し込み、固めれば完成となります。
文章にすると簡単そうに見えますが、干し柿を作る手間暇と容器や梱包などにこだわっている為、当然ながら小豆を使った羊羹よりも高くなります。
甘柿ではなく、干し柿を使う理由としては繊維が少なく、糖分の含有量が甘柿よりも圧倒的に多いので、羊羹にするには色々と都合が良いそうです。
堂上蜂屋柿について
岐阜県美濃加茂市で栽培されている「堂上蜂屋」という品種の渋柿を干したものが「堂上蜂屋柿」と呼ばれており、非常に甘味が強いのが特徴です。
非常に大きな干し柿でありながらも、飴色の果肉とトロリとした食感、程よい甘さを堪能できる逸品であり、平安時代では『干し柿一個に米一升(約1.5kg)』と非常に高値な扱いを受けていました。
現在でも岐阜県の高級特産品として活躍しており、国内外問わず評価されている日本が誇るドライフルーツの1つです。
レビュー
今回紹介するのは「つちや」の「柿羊羹」です。
スライスタイプもありますが、今回は通常の筒入りタイプを購入しました。
▼包装紙に包まれている。
▼ラベルを拡大。
『美濃の旅の 名残を留む 柿羊羹』というフレーズは自分へのお土産にも良いですね。
▼本物の竹を使っている。
面白いのがこちらの商品は半割の竹に羊羹が流し込まれている所であり、竹筒の表面を削ることで見た目を良くし、ひっくり返した時にも安定感をもたらしています。
元々は食した後には一輪挿しの容器にも使える様にと、彫刻と漆塗りをした意匠を凝らした割っていない竹筒でしたが、当然ながら筒に流し込んだ羊羹を取り出すのには苦労していました。
そして、ある客人があまりにも出て来ない事に腹を立て、石に投げつけた所、真二つに割れ、そこから現在の形へ着想を得たそうです。
▼封を切ったもの。
専用の取り分け用ナイフと楊枝が同封されています。
▼中身。
奥の仕切り(写真では右側)が取り外せる様になっており、その仕切りを持ち上げると一緒に柿羊羹がキレイに剥がれてくれます。
▼盛り付け。
「つちや」では『深沈たる琥珀』と称される「柿羊羹」は光を当てると非常に美しく、見た目だけでも十分に楽しめるのは羊羹と思えませんね。
小豆を使った羊羹と異なり、ほんのりと弾力があり、刃を入れるとほのかに押し返される感触があり、口の中に入れるとプルンと弾けると同時に干し柿の甘味と独特の旨味が堪能できます。
干し柿と違う所は丁寧にすりおろし、恐らく裏ごしをしているので、繊維質をほとんど感じさせず、見た目同様上品な味わいに変貌しています。
▼冷やして洋風に。
薄切りにした柿羊羹を氷で冷やすことで柿羊羹の甘味を引き出し、レーズンを加えることで異なる歯応えと風味を加えることが出来ますが、柿羊羹の味わいは邪魔をしません。
洋風に仕立てたこのおつまみはラム酒との相性が非常によく、ラムレーズンが嫌いでなければ間違いない組み合わせだと思います。
柿羊羹にもレーズンと同様の果物による甘味があるので相反することなく、アルコール度数の高い酒と羊羹をゆっくりと味わえば至福の一時が訪れます。
総評
見た目・値段・味わいと非常に満足度の高いクオリティを誇る岐阜銘菓でした。
柿を使った羊羹や入った和菓子はいくらでもありますが、華やかな容器と様々な楽しみ方が出来る柿菓子は類を見ないでしょう。
当然かも知れませんが通常の干し柿と違い、砂糖が入るので干し柿とは甘味の系統が少し異なりますが、それでも干し柿好きには一度は試してもらいたい製品でした。