このレシピのポイント
・肉汁は逃さず、余計な脂は抜ける。
・少し柔らかめなので、丼やサンドイッチに向いている。
・肉汁が出にくいのでソースには工夫が必要。
ハンバーグのレシピは無限大
子供から大人まで大人気の料理であり、家庭料理から高級ホテルまで幅広く採用されているメニューは日本でも珍しいといえるでしょう。
管理人は調理師なので仕事で作る機会が多いですが、肉の配合率は多種多様であり、スパイスから卵の量、パン粉の量など言い始めたらキリがありません。
今回はそこで肉汁が逃げにくく、柔らかいハンバーグにこだわったレシピを紹介します。
このレシピの利点はジューシィに仕上がるという所が一番のメリットですが、同時に余計な脂は全て外に流れてくれます。
又、今回はロコモコのレシピも併用して紹介していますが、これは柔らかいのでご飯と一緒に食べやすいという理由からです。
肉汁が出にくくするコツ
業務用スーパーや弁当などに入っている安いハンバーグは鶏肉をメインに牛や豚を入れ、更にかさ増しにデンプンやパン粉などのつなぎを増やしているものもが多数ですが、美味しいハンバーグを作るヒントが隠されています。
そのポイントは肉の粘り気やまとまりを補助し、肉汁を逃しにくい『つなぎ』です。
保水力が高まることにより、肉とタマネギだけで作るハンバーグよりも冷めても美味しくなるという利点もあります。
美味しく作れるかは別ですが、馬鹿みたいに片栗粉を肉種に入れると、肉汁がほとんど出ないハンバーグを作ることが出来ます。
つなぎがないのが美味しさの秘訣?
『牛肉100%でつなぎをやタマネギを使わないハンバーグ』をウリにしている飲食店もありますが、2,3000円出してガッカリすることも少なくありません。
キッチンの様子を見ているとグリルパンや網焼きが多いのですが、余計な脂がしっかりと逃げますが、その分肉汁は流出し、パサパサになります。
そばもそうですが、そば粉を十割使ったそばである生粉打ち(十割そば)というと響きは良いですが、小麦粉や海藻などを使った蕎麦と比べるとゴソゴソとした食感であり、簡単に切れてしまいます。
食品のウリ文句は過激な表現が増えてきているので、数字に騙されないことが大事ですね。
簡単に美味しくするには生パン粉を
乾燥パン粉を使用する場合は牛乳に浸しますが、アレは乾燥パン粉だとハンバーグの水分が少し足りなくなるからです。
生パン粉でも多少水分を吸うので、理想を求める場合には好みに合わせて少量の水分を加えれば舌触りが良くなりますが、加減を間違えれば水分は結局ハンバーグの外に流出してしまいます。
以下のレシピでは水分を足さずに、生パン粉を使った方法で進めていきます。
レシピ
ハンバーグの割合
牛・豚の合挽き肉 300g
塩 2g
コショウ 少々
ナツメグ 少々
オールスパイス ごく少量
生パン粉 30g(肉に対して1割)
タマネギ 100~150g
全卵 1個
牛肉と豚肉の配合率はスーパーでよく販売されている7:3ぐらいで大丈夫ですが、牛肉のみの場合はやや硬めに仕上がります。
タマネギは小さなタマネギなら1個ですが、通常のサイズなら半分もあれば十分です。
数字で見ると肉に対して1割のパン粉は計量すると『こんなに入れるの?』と思うぐらい多いです(笑)。
ロコモコのソース(3人前)
焼いた後の脂 大さじ1
小麦粉 小さじ2
赤ワイン 大さじ6
水 大さじ3(水分の調整用)
ウスターソース 大さじ2
コンソメ 小さじ1
生クリーム 大さじ2
このレシピのグレイビーソースに関してはやや強めの味付けするのがコツです。
これは肉汁がハンバーグにほとんど残っているので、ソースに入る旨味が普段作るものよりも少なくなるからです。
通常はハンバーグを焼いたあとの肉汁と脂を使用しますが、残っているものは脂だけなので、小麦粉を炒める分の脂だけ置いておき、残りは捨てます。
ファットセパレーター(肉汁と脂を分離する道具)や他の容器に入れて冷やしてみると脂しかないことがわかります。
作り方
1.みじん切りにしたタマネギがヒタヒタになるぐらいに水を入れる。
2.タマネギが透き通るぐらいの色になるまで炒める。
ポイント
本来は油脂類で加熱しますが、水を使うと若干サッパリとした味になります。
スーパーの挽き肉は脂が多い部位が沢山入っているので挽き肉料理を作るときにこの技法は役立ちます。
3.タマネギの粗熱を取る。
大皿に広げるとすぐに熱が取れます。
4.ハンバーグのタネを作る。
ポイント
挽き肉を練る際には順番が非常に重要です。
肉と塩、スパイスを最初に入れてからよく練って粘り気を出し、パン粉を入れて再度練り、最後に卵で硬さの調整をします。
5.フライパンで焼く。
ポイント
表面をしっかり焼けば肉汁が出にくいというのは実は嘘であり、美味しく肉を焼くには肉の表面が乾かない様にアロゼ(出た肉汁を肉にかける)するのが一番です。
なので、形が崩れない程度に表面を焼いたらひっくり返してフタをして弱火で10~15分(厚さによって時間は変わる)焼きながら、たまに肉汁(脂)を掛け回します。
オーブンの場合だと後から焼き目を付けるのが面倒なので最初にしっかり焼いてから、180℃15分程度で様子を見てください。
6.最後に焼き目を付ける。
仕上がっている段階でこれだけ余計な脂が出ています。
これを全てソースにしたらクドいことは簡単に想像できますね(笑)。
7.ハンバーグを取り出し、出た脂を大さじ1だけ残す。
上手く作れると脂だけになるので、大さじ1程度の脂だけ残します。
8.小麦粉を入れて弱火でブラウンルゥを作る。
小麦粉と脂がよく馴染む様にし、粉っぽさが取れるまで炒めます。
9.赤ワインで鍋肌全面をデグラッセする。
鍋肌に付いている旨味を水分でこそぎ落とすことをデグラッセと言います。
水分を飛ばしすぎた時は水を使って濃度を調整します。
10.生クリーム以外の材料を入れ、軽く煮る。
11.最後に火を止めて生クリームを入れる。
12.盛り付けたら完成!
盛り付け
今回は付け合せにドライトマトを戻したものと千切りキャベツを添えています。
肉が硬い丼は食べるのが大変ですが、今回紹介したハンバーグは柔らかく、肉汁が逃げないのでご飯をベショッとさせることはありません。
なので、丼ものやサンドイッチにするには最適なハンバーグの1つですね。
どうしてもつなぎを使いたくないハンバーグを作りたい時は上等な牛肉100%の赤身の粗挽き肉を店に頼んで挽いて貰ってください(笑)。