本レシピのポイント
・計量を一切しないで作る塩蔵アンチョビ。
・カタクチイワシの代用としてマイワシを使用。
・市販品と比べると圧倒的にコストパフォマンスに優れている。
アンチョビについて
日本では塩蔵品にしたカタクチイワシ科のオイル漬けを一般的に指しますが、カタクチイワシを英訳した単語がanchovy(アンチョビ)なので、厳密に言うと塩蔵アンチョビと言います。
といっても、紛らわしいので本記事では日本人の想像するオイル漬けの塩蔵カタクチイワシの事をアンチョビと呼びます
アンチョビに使われる魚はカタクチイワシという種類なのですが、成魚でも10cmと小さく、ほぼ100%がしらすやちりめんじゃこ、煮干しなどの加工品になっています。
なので、通常の入手ルートではカタクチイワシを入手することが不可能なので、近年安く手に入るマイワシを使って、今回はアンチョビもどきを作成します。
なんちゃってアンチョビでも料理なら使える
今回作るアンチョビはそのまま食べても構わないですが、市販のアンチョビよりも身が厚めなので、どちらかというとソースやパスタなどへの調理用として使った方が違和感無く使えます。
逆に、従来のアンチョビの様にそのままおつまみにする様な食べ方にはやや向いていません。
ですが、圧倒的にコストパフォマンスに優れており、魚を捌きなれている人ならば直ぐに作れるのが大きなメリットです。
コストパフォマンスは正確に数字にすることは出来ませんが、同じ量を使う場合には感覚的には1/5程度まで節約出来ていると思います。
市販品アンチョビは良いお値段
近年、2,3年のマイワシの値段は1尾80円前後ですが、1尾で瓶詰めのアンチョビを2個分ぐらいの量を作ることが出来ます。
スーパーや通販などで販売している商品の価格を調べてみた所、アンチョビの値段の高さを再確認させられました(笑)。
税込み価格÷固形量=1gの値段
安い「トマトコーポレーション」の「アンチョビ」は100円ショップで販売されているアンチョビですが、正直味はイマイチです。
「地中海フーズ」や「ISフーズ」などのは高級品であり、お金に余裕がある相当通な人が買うイメージになってしまいますね(笑)。
比較的店頭で見かけるアンチョビとしては「スカーリア」の「アンチョビフィレ」は値段の割には美味しく、購入するならばこのメーカーがオススメです。
材料
材料
マイワシ 適量
塩 捌いたイワシの重量の10%以上
ホールコショウ 少々
トウガラシ 1本
ローリエ 1本
オリーブオイル 適量
めちゃくちゃいい加減なレシピに見えますが、至って真面目です(笑)。
油に関してはひまわり油や菜種油などのクセの少ない油を使うと様々な料理に使いやすいのがメリットです。
オリーブオイルに親しみがある人は高いものではなく、比較的安い「BOSCO」や「味の素」などを使用しましょう。
手作りなのでローリエやコショウなどを使って風味を向上させていますが、これらの香辛料は一切使わずとも塩だけでも構いません。
しかし、折角の手作りなので通常のアンチョビと一風変わった物を作るのも一興です。
作り方
1.イワシをフィレ(半身)にして、皮を取る。
ちょっとぐらい骨があっても大丈夫なので、手開きだけで問題ありません。
2.細切りに近い形に切る。
3.消毒した容器にたっぷりと塩を敷く。
ポイント
『入れ過ぎじゃない?』と思うぐらい使ったほうが味が良くなり、保存性が増します。
なので、それなりの塩でいいのでガバガバ入れましょう(笑)。
4.細切りにしたイワシを重ならないように入れる。
塩の量はイワシの重量の10%以上にすることで、熟成中でも食中毒の原因を予防しやすくなりますが、それ以上に塩分を使った方が安心であることを覚えておいてください。
5.再度、塩をたっぷりと振る。
6.4と5を繰り返したらラップで押す。
この時軽く押し、塩が浸透しやすくするのがコツです。
本来は重石を使って水分を抜きますが、少量作る分には手頃な重石が中々ないので、そういう意味でもたっぷりと塩を使っておきたいのです。
新潟の魚醤である「しょっからいわし」はこの製法と酷使しており、半年以上発酵させることで魚醤を作り出すことが出来ます。
7.フタをして冷蔵庫で10~30日熟成させる。
熟成期間は様々ありますが、管理人は大体20~30日とたっぷり熟成させて、旨味を引き出しています。
▼1ヶ月経つとたっぷりの水が出ます。
これを更に熟成させ、放置すると日本のいしる、イタリアのガルムという魚醤のベースが作ることが出来ます。
8.煮沸消毒した容器に香辛料を入れる。
9.少量の油でイワシに付いている塩を洗い流す。
油を湯に、魚を肉に見立てて、ハシを用いてしゃぶしゃぶをするイメージで塩を洗い流してください。
ここでしっかりと洗い流さないと臭みが出てしまうので、一本一本丁寧に作業してください。
くっついてしまっている物があるときは多少強引に扱っても身が締まっているので問題ありません。
なので、身と身の間にハシを刺し、バラバラになる様にしてください。
10.油で洗ったイワシを容器に移す。
11.イワシが余裕で浸かるぐらい油を注ぐ。
ポイント
ここで油を節約するとイワシが空気に触れて傷みやすくなるので、たっぷりと使いましょう。
見た目以上にたっぷりと使うので、イワシの量と瓶のサイズが合うものがあると良いですが、管理人はめんどくさがり屋なので油をたっぷり使い、料理にも使用しています。
12.1週間ぐらいつければ完成!
経験則になりますが、頻繁な開け締めをしない限りは腐ることはなく、1年以上は余裕で保存できました。
といっても、使いたい時に気軽に使えないのではあまり意味がないので、完成したら小分けすると良いかも知れません。
▼家庭でピザを作る時贅沢に使えます。
アレンジについて
内臓ごと漬けるレシピもありますが、割と上級者向けの風味と味に仕上がり、日本人好みでは無いかもしれません。
そこで、塩漬けの段階で好みの魚醤を入れることで、近い味わいを作り出すことが出来ます。
香辛料ならばオレガノやタイム、ローズマリー、生姜などを加えると風味が良くなります(生姜とローリエは水分に注意)。
まとめ
熟成期間や賞味期限を定めることは難しく、管理人は経験から来る、見た目や匂い、味などで判断していますが、基本的には早く使い切る様にしましょう。
先述した様にそのまま食べるには向いていませんが、細かく刻んでやや強めに香辛料を使うと市販のアンチョビぐらいのクオリティとして楽しめます。
パスタやピザなどの定番料理に使うのもいいですが、消費しきれないと感じたらトマトソースやバジルソースなどに再加工して、冷凍するのも良い手段ですね。