セールスポイント
・贅沢な味というよりホッとする落ち着いた味。
・サイズが驚くほど立派でリーズナブル。
・博多屋台の味を家庭でそっくり味わえる。
豊島蒲鉾について
1954年に創業された「博多豊島蒲鉾」は昔ながらの手間をかけた素朴な製造方法を守っている練り物製造会社です。
かまぼこやあげ天、天ぷら(西日本ではさつま揚げのことをてんぷらと呼ぶことが多い)、ちくわなどをつくっており、実店舗では練り物の製造実演を行っています。
昔ながらの製造方法を守っている為、保存料を一切使用しておらず、その代わりに作りたての商品をすぐに直送してくれるのが嬉しい所であり、関東以西は航空便を使用しているこだわりです。
福岡の屋台街で使われている
創業時より機械による大量生産を行っておらず、すべて手作りで調理していますが、野菜1つにしても採りたてを洗い、包丁で切っています。
ほとんどの人が業務用サイズの機械切り野菜を自身で扱ったことがないと思いますが、どんなに性能が良くとも包丁には味も舌触りも敵いません。
そんなこだわりを持っている「豊島蒲鉾」のおでん種は博多の屋台街である中洲の店に多数卸しており、九州地方で愛されている餃子巻はテレビで取り扱われたこともあるそうです。
レビュー
今回紹介するのは「豊島蒲鉾」の「おでんセット」と追加で単品を色々と購入しました。
▼包装紙です。
ポイント
冬季限定の商品とのことですが、4月末でも注文を受け付けていました。
賞味期限は製造から7日間なので、到着日は調理する前日ぐらいを予定して頼むといいですね。
▼紙袋もあるので直接渡すのにも便利。
▼中身です。
単品で複数購入したおかげだと思いますが、追加のおでん出汁である「うまかだし」を2つ付けてくれています。
楽天レビューを見ていると具材を追加した際にやや味を薄く感じると思う人が居たので、味が濃いのが好きな人は「豊島うまかだし」という商品を一緒に購入するのもアリですね。
こちらの「うまかだし」は九州のダシの基本であるあご(トビウオの煮干し)が使われているので、独特の美味しさにファンになる人が多数います。
余っても白だし代わりとしても使え、適当に練り物をスーパーや商店街などで見繕って、おでんにする人も居ます。
▼単品は2つ入りです。
ちょっとお高い練り物屋でおでん種を買うと具材入りならば普通のサイズで1つ200~300円程度が普通ですが、こちらは200~300円前後で大きいおでん種が2つも入っています。
1つのサイズが市販品のおでんセットと比べると2,3倍も大きく、値段も重量で考えれば大差ありません。
管理人の家は相当な大食漢が揃う4人家族なので、『一般的な2~3人前のおでんなら絶対たりないやろ!』と思ったら量が多すぎて余りました(笑)。
卵や大根、こんにゃくなどを追加で入れるならば基本的には2~3人前で4人分はまかなえると思います。
おでんの美味しい作り方
お取り寄せしたおでん種なので、どうせなら調理師である管理人が行っている様な本格的な作り方をオススメします。
1.沸騰したお湯で数十秒茹でる。
厚揚げや油揚げなどをお湯にくぐらせる油抜きという調理技法がありますが、これは酸化した油を取り除くことで風味を良くし、同時に油を減らしてサッパリさせる目的もあります。
「豊島蒲鉾」のおでんは出来たてを配送してくれるので、油臭さは全くありませんが、練り物が多い時は油抜きした方がつゆのバランスが整えやすいです。
一気に入れずに少しずつ丁寧に湯がくとベストです。
2.油抜きしたおでん種を煮る。
説明通り、付属されている「うまかだし」を約12倍に薄めてから弱火で煮ます。
沸騰させると油が汁と乳化して濁ってしまうので、見た目も味もイマイチになってしまいます。
味が均等に染みる様に落し蓋をして30分程煮ます。
3.大根を下茹でする。
大根の煮物を美味しく作るコツは大根の皮を厚く剥き、調味液で煮る前に大根の輪切りを弱火~中火で下茹ですることです。
直接煮汁で大根を炊いしてしまうと、大根のアクや苦味などが全体の具に入ってしまいます。
ほんのり大根の中心部が煮えていないぐらい(中心が気持ち白く、周りは透き通る程度)に煮ると煮崩れしにくいです。
4.おでん種を取り出し、好みの具材を入れて煮る。
練り物のおでんは煮すぎるとクタクタになって味が落ちてしまいます。
それを防ぐために牛すじ以外の具材を一度別皿に取り出し、大根やこんにゃくなどを煮ます。
5.全ての具材を鍋にまとめて寝かす。
ポイント
全ての具材が適度に煮えたら、味が滲みにくいものをなるべく下に入れて落し蓋をして寝かします。
時間をかければ味はいくらでも染みますが、今回は一般家庭向きに3時間程度にしています。
6.食べる直前に弱火で温めたら完成!
おでんのつゆの味
ベースはかつおだしになっていますが、サバ節やいりこ、焼あごなどの複数の旨味も感じられる複雑な旨味が楽しめます。
焼あごといりこの芳ばしさがしっかりしているあたりが、博多らしい特徴的な味であり、よくある関東炊きと比べて香りが上品になっています。
イメージとしては薄めの白だしに焼あごを加えたものが近いと思います。
「豊島蒲鉾」のおでん種はコッテリしたものが少なく、具沢山の物が多いので、相性がいい出汁ですね。
ごぼう天
福岡ではごぼうの一般的な意味の天ぷらのごぼう天とおでん種のごぼう天の2つがあり、ややこしいですが、どちらも福岡の味として定着しています。
10cm以上の長さがあり、中のゴボウも太いので、ゴボウの野趣あふれる香りとあごだしの香りの組み合わせで上品な煮物の様な味わいです。
ごぼう自体は柔らかくなっており、すり身もそれなりにあるのでクセはありませんでした。
やさい天
良質な魚のすり身に新鮮な野菜をたっぷりと加えたサッパリとした練り物です。
写真ではわかりづらいと思いますが、実物は直径6~7cmのボール状なのでボリュームが凄まじいです。
キャベツがたっぷり入っており、野菜と練り物の甘味がたっぷりと味わえ、おでんにしなくとも生姜醤油で食べても美味しいコスパと味に優れた商品でした。
がんもどき
中身が詰まったがんもどきではなく、おでんの汁がジュワッと口からにじみ出る美味しさに特化した軽い仕上がりです。
「豊島蒲鉾」の練り物は油が上質かつかなり早い段階で交換している様なので、油切れが良く、油の風味とカラッと揚がったときの芳ばしさが良いですね。
ぎょうざ巻
福岡おでんの名物であるぎょうざ巻は餃子をすり身で包むという類を見ないおでん種です。
といっても、肉と野菜がたっぷりと入った焼き餃子の様な物ではなく、肉がメインで野菜が少ない小さめの餃子を使っています。
意外とぎょうざ巻は煮すぎた水餃子の様にヌルヌルしていないので安心してください(笑)。
ニンニク強めのぎょうざ巻なので、上品なおでんとは言い難いですが、好きな人には他のおでんでは味わえない独特な魅力だと思います。
もち入り巾着
皆知っているおでんの定番のもち巾着は…想像通りのもち巾着ですね(笑)。
ただし、使用しているお揚げの品質が良く、サッパリとしながらも芳ばしさがあり、水気を弾きやすいので煮てもキレイなままでした。
味が染みにくいというデメリットもありますが、取皿内でおでんの汁と絡ませれば特に問題ありません。
いか天
魚のすり身にイカの切り身が入っており、一味唐辛子がほんのり効いたおでん種です。
これは10×5cm以上の大きさがあり、ボリュームたっぷりでありながらもイカが中々入っているのが嬉しいですね。
これだけの大きさで1枚100円とかなりのお買い得感がありますが、そのまま炙って食べるだけでも立派なおつまみになります。
今回注文しすぎたおでん種は全て冷凍し、後に解凍して炙って食べていますが、いずれも美味しく食べられています。
国産牛すじ
丁寧に下処理した牛すじであり、この牛すじは簡単に柔らかくなる様に下茹でしてあるので短時間で仕上がります。
スーパーで販売されているものよりも上等であり、クドさと臭みがなく、簡単に味が染みてくれました。
独特の歯ごたえとコクがある味わいは関西だけではなく、今では全国的に人気があるので牛すじが入っていると嬉しい人は多いでしょう。
えび巻(追加商品)
甘海老を練り物で包んだものであり、セットには入っていない商品です。
写真を見れば分かる様にえびは小さく、あまり存在感がないので強いてオススメはしません。
他の製品はとてもリーズナブルでボリュームがあるので、尚更差を感じてしまいました。
ほたてやさい天(追加商品)
『ほたての旨味がだしを育てる』というキャッチコピーが公式で付いているぐらいであり、大きなほたてがまるまる一個入っている贅沢な練り物です。
こちらはセットに入っていませんが、もし追加したい商品で迷っているならこちらがオススメです。
ほたても白い魚の練り物も旨味と甘味がありますが、この組み合わせはケンカしておらず、満足度の高い1品でした。
総評
味という一点だけを見ればこれよりも美味しい練り物はあり、当サイトでオススメしている小田原の練り物屋である「鈴廣(高級品限定)」と「鱗吉」、「風味絶佳 山陰」の「出雲国の黄金揚げ」の方が味では上でしょう。
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【実食】大人気の高級さつま揚げ「出雲国の黄金揚げ/風味絶佳 山陰」
・美味しい練り物を冷凍食品でも味わえる。
・ちょっとした贅沢に最適なおつまみ。
・上質な白身を使っており、添加物を一切使っていない。続きを見る
ですが、管理人と家族はこちらの商品に非常に満足しており、何故なら手軽に楽しめる値段帯の縛りの中では想像以上に優秀な味であり、サイズが値段相応以上だからです。
セットの値段を見ると高く感じるかもしれませんが、スーパーのスカスカなおでんセットと比べれば倍以上の重さがあるので実はそこまで高くない事がわかります。
大根と卵を加えても大きいおでん種からしっかりと旨味とコクが出るので、ボリュームアップさせても物足りなくないのも良かったですね。