セールスポイント
・岩手銘菓として有名な和菓子。
・本格練羊羹にくるみが入ることで旨味が増す。
・サラリとした上品な口溶けを楽しめる。
回進堂と岩谷堂羊羹について
岩手県奥州市にある「回進堂」は1982年に設立された和菓子屋であり、岩手県銘菓の1つである「岩谷堂羊羹」で有名です。
この羊羹の始まりは延宝年間(1637~1681)と伝えられており、伊達藩の岩谷堂城の城主の保護奨励により、城の名をつけることを許されたとされています。
300年以上の伝統を受け継いできた歴史で「回進堂」は羊羹専門の菓匠として有名になり、現代でも伝統の手法を活かした和菓子作りを行っています。
そもそも煉羊羹(練羊羹)ってどうやって作る?
羊羹といえば表面と断面は光沢があり、強い甘みが特徴ですが、煉羊羹(ねりようかん)や本煉(ほんねり)と呼ばれるのは何故でしょうか?
最初にいわゆるあんこを作りますが、これは小豆を一晩浸水させてから時間をかけて破けない様に丁寧に炊き上げます。
このあんこをそのまま使うと粒入りの羊羹である小倉羊羹(メーカーによって異なる場合アリ)となりますが、煉羊羹の場合は裏漉ししたものが基本となっています。
裏漉ししたあんこは水で溶かした寒天と砂糖を加えてから水分を飛ばしながら加熱をするのですが、水分が無くなってくると手応えが強くなり、次第に重くなっていきます。
常用漢字である練るとは違う、昔の漢字である『煉る』の場合は『餡を火で通して煮固める』という意味なので、蒸し羊羹や水羊羹などの様にサッパリとしておらず、強い甘みと小豆の旨味があるのが特徴となります。
レビュー
今回紹介するのは「回進堂」の「岩谷堂羊羹 くるみ」です。
▼パッケージです。
売れ筋のラインナップでは「黒煉」や「本煉」、「小倉」、「栗だくさん」などがあります。
「黒煉」は黒糖を使った甘党向け商品であり、「栗だくさん」はゴロゴロとした栗がたっぷりと入っています。
▼中の袋にも一仕事してあります。
ポイント
小豆は主に地元農家と契約栽培で作る高南部小豆や岩手大納言、北海道産小豆が使われています。
ちなみに羊羹の助数詞は本ではなく棹(さお)を用いるので、1棹(ひとさお)・2棹(ふたさお)と数えます。
▼細かいくるみが入っています。
現代人の嗜好に合わせた羊羹らしくなっており、甘みはやや控えめでありながらもくるみのほのかな油分とコクが加わることにより、上品な味わいだけではない美味しさがあります。
ベースは白あんの本煉羊羹を使っていますが、極端に硬くなるまで煉られておらず、柔らかめの食感と滑らかな舌触りが楽しめます。
時折、くるみのサクッとした歯ごたえがあるのも嬉しいですね。
岩手県ではくるみが食品としてよく使われており、海外のくるみと違う日本種である鬼ぐるみ(和ぐるみ)という品種が育てられています。
このくるみは雑味が少なく、油分が少ないので羊羹の豆の味を濁らせず、寄り添う様にしてクオリティを高めていますね。
総評
くるみ入りの和風の焼き菓子や饅頭はたまにありますが、くるみ入りの羊羹はあまりありません。
ですが、スタンダードになって良いと思うぐらいバランスに優れており、昔ながらの羊羹も良いですが、現代人の味覚にあっている羊羹だと感じました。
「回進堂」の他の羊羹も評判が高いので、機会があれば試したいですね。