セールスポイント
・日本一の水炊きと称された有名な老舗料亭。
・若鶏800羽を8~10時間炊き込んだ濃厚スープ。
・特性ぽん酢、七味、蒸しニンニクが名脇役。
水たき 玄海について
1928年、東京都新宿区に創業した「水たき 玄海(以下、玄海)」は水たき専門の老舗料亭であり、鶏料理も提供している飲食店です。
本店では1万円からのコースを味わうことが出来、「げんかい食堂」という店舗では「玄海」の水炊きを5,000円のリーズナブルなコースを楽しめます。
TBS「人生最高レストラン」という番組では、『これまでの人生で口に入れた水分の中で、一番うまい水分』と絶賛され、『水炊きの最高峰!スープだけで2リットル飲める』と紹介されていました。
本記事で扱う水たき
全国的に想像する水炊きは肉や魚、野菜などを煮て食べるシンプルな鍋料理ですが、今回紹介するのは博多の水炊きとなります。
博多の水炊きは骨付き肉の鶏肉(鶏ガラを使うことも)を長時間煮込むことで、白濁したスープを取り、鍋の出汁とします。
玄海の水たきのポイント
若鶏800羽と水700Lを大鍋で8~10時間炊き続け、100Lのスープしか出来ない贅沢な味わいが「玄海」の水炊きの特徴です。
使用している若鶏は玄海専用の伊達鶏(宮城県/福島県のブランド赤鶏)であり、身の歯応えがしっかりとした上で、余分な脂肪が少ない、地鶏に近い味わいが楽しめます。
「玄海」の水たきスープは完全無添加であり、伊達鶏ともち米、食塩のみで炊かれた濃厚スープは低カロリーになっています。
極みとり鍋について
通常のセットである「しろいとり鍋」は手軽に調理が出来る様に、もも肉と鶏団子は水たきスープで調理済になっており、湯煎のみで手軽に食べられる様になっています。
しかし、「極みとり鍋」は伊達鶏の旨味を最大限に楽しむ為に、鶏団子入りスープ以外はスープ・鶏もも肉が別けられています。
又、水たきスープが余分に1袋入っているので、スープを多めに楽しむことも出来ます。
レビュー
今回紹介するのは「水たき 玄海」の「極とり鍋 2人前」です。
「極とり鍋」は賞味期限が2ヶ月、「しろいとり鍋」は賞味期限が3ヶ月となっています。
▼専用外箱。
▼中身。
「極とり鍋」と「しろいとり鍋」は肉とスープ以外は同じ内容になっています。
極とり鍋の内容
水たきスープ(500ml)×2
もも肉(8切れ)×1
鶏団子(4個)入り加熱用とりスープ×1
麺(120g)×1
玄海特性ポン酢(220ml)×1
とり七味
蒸しにんにく
▼もも肉と鶏団子スープ。
ポイント
鶏もも肉には下味に日本酒と本みりん、薄口醤油で味付けがされていますが、単体では薄めの味です。
鶏団子は既に水たきスープで煮込まれているので湯煎で問題ありませんが、鶏もも肉だけは流水解凍をします。
▼水たきスープ×2。
ポイント
1袋500mlというと中々の量があるので、2人前ならば1袋でも足りるぐらいです。
鶏団子入り加熱用とりスープがある為、1人前500ml(蒸発しますが)もあれば正直十分ですね。
▼その他諸々。
ここでピックアップしたいポイントは「蒸しにんにく」と「鶏七味」の2つです。
蒸しにんにくは文字通り蒸したニンニクのことですが、加熱した後に裏ごしをしてあるので、ニンニク特有の臭みは殆ど無く、スッとスープに溶けてくれます。
鶏七味はこれ単品で購入できたらそれだけで記事に出来るぐらいの優れものであり、使用されている国産品種の唐辛子である「内藤とうがらし」は風味が非常に良く、優しい甘味と強い辛味があります。
又、七味には普通入れない鶏節(鰹節の鶏バージョンみたいなもの)を入れることでほのかな旨味と芳ばしさが加わり、水たきの鶏肉に非常に合います。
調理方法
購入した際に付いてくるマニュアルに調理方法が全て記載されています。
マニュアルにも書いてありますが、野菜は入れない方がスープの味が濁りません。
好みもあるかもしれませんが、水たきスープに人参や長ネギ、大根などを入れると不思議とバランスが崩れ、複合的な旨味を楽しむには西洋のチキンブイヨンの方が美味しく仕上がります。
スープのみを味わう
水たきスープは鶏の油が乳化しているので浮いている油はかなり少なく、長時間炊かれている為、鶏の臭みは空気中に逃げています。
水炊きにはもち米も入っていますが、これはキレイな白濁スープを作る際に必要な素材であり、僅かな甘味とトロミも付きます。
鶏自体の香りと旨味が濃縮されていますが、豚や牛よりも優しい甘味とコクが楽しめ、鶏の味わいとは思えない奥深さがありますね。
極とり鍋
見た目は寂しいかもしれませんが、伊達鶏のもも肉と肉団子が入っているだけで十分楽しめます。
大抵のブイヨンではニンニクや生姜、ネギなどを臭み消しに使いますが、「玄海」の水たきスープの場合には純粋な鶏の風味だけを楽しめます。
▼オススメは水菜。
といっても、少しぐらいは野菜が食べたくなるのが人間の性だと思うので、クセが少なく、汁に影響を及ぼさない野菜を色々と模索してみました。
人参・ネギ・白菜・キャベツ・キノコ...色々と試しましたが、味がスープに染み出す野菜は基本的にやめた方がいいですね。
結果、水菜ぐらいしかオススメ出来る野菜が無く、どうしても入れたい場合は温野菜・茹で野菜などを別鍋で調理し、自分のお椀でスープや薬味と一緒にしましょう。
▼伊達鶏のもも肉。
伊達鶏は赤鶏の系統なので、赤鶏特有の身がしっかりと締まった地鶏の様な食感があり、鶏の味が濃厚です。
先述した様に、「玄海」の伊達鶏のもも肉には下味が入っており、その上で、水たきスープの旨味とほのかな塩気が入るので薄味でも美味しく食べられます。
▼薬味を載せ、ポン酢を絡める。
鶏七味は鶏節の粉末と内藤とうがらしが使われているので、旨味とほのかな甘味、国産唐辛子特有の香り高さが楽しめます。
蒸しニンニクは生ニンニクよりも刺激と香りは少ない分、鶏の風味を邪魔せずにコクを増やしてくれる働きがありますね。
玄海のポン酢は高級ポン酢の中では珍しく、スダチや柚子を使わずに、爽やかな風味と軽やかな酸味である橙とカボスを採用しています。
自己主張が激しい調味料ではなく、水たき・鶏の美味しさを最大限に楽しめる作りになっており、スープ椀に入れると味を損ねるので別皿を用意しましょう。
▼肉団子。
鍋物の定番である肉団子は伊達鶏を使うことにより、弾力が楽しめ、プリッとしています。
又、鶏軟骨が入っているので、時折、コリッとした食感も楽しめ、ほのかな生姜味が嬉しいですね。
全ての博多水炊きに言えますが、味付けのパターンとして「塩コショウ」「醤油ニンニク」「ポン酢+薬味」の3種類がオススメです。
〆のラーメン
調理時に使った加熱用スープと鍋に残ったスープを合わせて加熱し、最後の一滴まで無駄にならない様に雑炊かラーメンにしてください。
ラーメンらしくなる様にスープを少し煮詰め、塩で味を整えたら、胡椒と万能ネギをたっぷりトッピングすることで濃厚鶏白湯風ラーメンに出来ます。
専用の麺はシンプルな小麦粉ではなく、パスタに使うデュラモ・セモリナを加えているので伸びづらく、風味が穏やかなので、ここでもスープの味を堪能できますね。
麺の量がそこまで無いので、残ったスープで雑炊にしてもいいですし、スーパーなどで麺を追加購入するのもオススメです。
総評
鍋の素やパックになった鍋用スープが市販品でも随分増えましたが、本格的な高級スープには敵いません。
濃厚な鶏の風味が最初から最後まで堪能でき、実店舗よりも色々なアレンジが出来る所はお取り寄せならではですね。
鶏肉は大きめなのでボリュームは十分ですが、必要に応じて地鶏や丹波赤とりなどが購入できるならば追加分で買うのが良いでしょう。