セールスポイント
・材料は全て国産で最高峰の素材を使用。
・本当に美味しい唐辛子と山椒の味が知れる。
・様々な七味があるので、好みのものを探せる。
やまつ辻田について
1902年の大阪府堺市に創業された「やまつ辻田」は和風香辛料の製造販売を行っているメーカーです。
創業以来、薬味の風味が飛ばない様に粉にする素材は全て石臼挽きだけを続けている希少な店の1つです。
機械で一気に挽いた方が素早く大量に製造できるのですが、西洋問わずスパイスは全て熱で香りが弱まってしまいます。
あまから手帖やレタスクラブ、四季の味、dancyuなどの有名グルメ雑誌にて紹介されており、通販でも高評価されている人気店です。
七味唐辛子は季節ごとに配合を変えている
七味唐辛子は7つの原料を粉にして混ぜ合わせた香辛料の1つですが、何の材料を使うかの決まりが特にない上に、実は7種類じゃなくとも大丈夫という懐が深いものです(笑)。
その結果、七味唐辛子こそが商品の顔になりやすく、メーカーごとに味が大きく異なります。
「やまつ辻田」では七味唐辛子を『季節の七味』と呼んでおり、唐辛子や山椒、柚子の旬がそれぞれ異なるので、その時期に適した配合を微妙に変えているそうです。
注文を受けてから配合を行う理由として、鮮度も勿論ありますが、この配合比率を受注してから決めているからだそうです。
厳選国産素材だけで構成された商品
「やまつ辻田」で取り扱われている商品は全て国産であり、高級素材ばかりが使われているので値段は高めになっています。
しかし、単純に国産だからと言って選んでいる訳ではなく、香りの良さや味の良さに基づいて妥協がなかった結果だと考えられます。
そこで、メインの唐辛子や山椒、柚子の皮などと七味の定番の素材に触れつつ、「やまつ辻田」の商品を紹介します。
唐辛子は1種類だけではない
鷹の爪と言えば唐辛子の事を基本的には指しますが、本来は唐辛子の1つの品種「鷹の爪」のことであり、本鷹や八房、三鷹…とリンゴやさつまいもなどと同様に色々な品種があります。
ですが、個別の品種を見ていても日本の唐辛子には鷹という名前が付くものが多いので、ひとくくりに鷹の爪と言われてしまうのもしょうがないですね(笑)。
唐辛子は違う品種が隣り合っただけで簡単に交配してしまう為、違う品種へと一代で変わってしまうので、厳密に管理する必要があります。
「やまつ辻田」の唐辛子は古くから日本にある純粋種である唐辛子を生産し続けており、全国の農家と契約栽培を行い、そこから引き取ったものだけを加工しています。
中国産唐辛子は安いが風味がない
市販品の安い唐辛子は99%が中国産唐辛子を使っており、何かが物足りないと感じたことがある人も居ると思います。
その唐辛子は元々日本にあった三鷹という品種が中国で栽培され、天鷹という品種になりましたが、日本にあった三鷹よりも天鷹は辛味が若干控えめで風味があまりない唐辛子です。
結果として、コストパフォーマンスと辛さがそれなりにあるだけの唐辛子となってしまいました。
やまつ辻田の国産唐辛子へのこだわり
日本在来種の鷹の爪は歩留まりが悪い小さめの唐辛子ですが、輸入品の天鷹の約3倍辛く、香りが良いのが特徴です。
こちらの鷹の爪を使ったのが「国内産大辛鷹の爪一味唐がらし(大辛)」という商品であり、食堂に置いてある安い一味に慣れていると物凄い辛さに驚くと同時に、果実の様な独特の香りに虜になるかもしれません。
逆に、鷹の爪ほど辛味が無いですが、澄んだ香りがする品種である唐辛子があり、それは先程話に出た日本在来種の三鷹という品種です。
その三鷹をベースにブレンド(公式で記載されていませんが、恐らく三鷹と唐辛子のブレンド)したのが「国内産一味唐がらし(辛口)」であり、香りの良さがありながらも辛味が少し抑えられているのが特徴です。
三鷹だけがメインの唐辛子になっている商品はなく、他の薬味を際立てる為に使われている様ですね。
「やまつ辻田」には唐辛子の品種やブレンドによって甘口、中辛、辛口、大辛の4種類が一味唐辛子だけでもあり、各七味も中辛と辛口に別れているので購入する際には気をつけてください。
オマケ:韓国の唐辛子「益都」について
今回紹介する商品とは全く関係ありませんが、日本でも有名な韓国産唐辛子について少し触れておきます。
『韓国の唐辛子は辛味が少なく、香りが良い』と言われることがあり、こちらの品種は益都と呼ばれる糖度が高く、風味が良い唐辛子なので、韓国のキムチや高級辛子明太子に良く使用されています。
益都は日本で高く売れるので輸出量が増えた結果、韓国でも高級品の唐辛子になってしまい、今では中国産唐辛子を仕方なく使っているそうですが、やはり中国産は評価がよくないそうです。
韓国産唐辛子は一種のブランドと化しているので、『韓国料理用・朝鮮料理用』などと紛らわしい商品名で売っているものが大手でもあるので間違えない様にしてください。
やまつ辻田の朝倉山椒は驚くほど風味が違う
本格的な鰻屋や焼鳥屋などに置いてある山椒のピリッとした独特の刺激と香りの良さを体験したことがあるはずです。
あの香りに近いものか、それ以上の風味を楽しめるのが「国内産朝倉粉山椒」です。
山椒はとりわけ風味が飛びやすいので、摩擦熱が可能な限り起きない様にゆっくりと粉にしている石臼挽き製法は美味しい粉山椒を探す目安の1つとなります。
通常品と原点品の2種類があり、こちらは何が違うのか公式でも明記してありませんが、食べてみると差があったので後ほどレビューで比較した内容を記しておきます。
公式でも色々と気になる情報が多い山椒ですが、山朝倉山椒という品種以外は謎が多すぎて管理人では突っ込んだ話は無理そうなので省かせて頂きます(笑)。
無農薬・無化学肥料で育てた柚子を使用
柚子で有名な高知県産のものを「やまつ辻田」では使用しており、非常に高品質なゆずは他社の商品でも様々な形で販売されています。
柚子唐辛子に使うのは果実の部分ではなく、皮の部分なので「やまつ辻田」では無農薬・無化学肥料で育てたものを使用しています。
その柚子の皮を乾燥させたものを石臼挽きで挽くことにより、柚子の香りをこれ以上ないぐらいに楽しむことが出来ます。
この柚子の皮を使った製品が「名代柚七味」であり、柚子本来の香りを楽しめる七味です。
レビュー
今回紹介するのは「やまつ辻田」の「国産特上薬味セット」「極上七味唐がらし(辛口)」「石臼挽き朝倉粉山椒(限定品)」です。
商品名に石臼挽きと記載されているのは一部だけですが、ほとんどのものは石臼挽き製法となっています。
▼この様な紙袋で投函されました。
▼セットは売れ筋4種類の詰め合わせ。
「国産特上薬味セット」の内容は「一味唐がらし(辛口)」「朝倉粉山椒」「極上七味唐がらし(中辛)」「名代柚子七味(中辛)」です。
▼色鮮やかパッケージです。
左が「極上七味唐がらし(辛口)」、右が「石臼挽き朝倉粉山椒(限定品)」です。
一味唐がらし(辛口)
「やまつ辻田」のこだわりの1つである日本在来種の鷹の爪と三鷹をブレンドした唐辛子です。
市販品の一味唐辛子と比べるとかなり辛味がありますが、一番驚いたのは圧倒的に風味が違い、優しい独特の香りがたっぷりと楽しめます。
強いて言うなら韓国産唐辛子の様なほのかにする甘い香りですが、微妙な差を言葉や文字で表現することが出来ません(笑)。
どちらかというと辛さを求めるというよりは香りに物足りなさを感じる人にオススメしたい一味唐辛子ですね。
朝倉粉山椒
非常に鮮烈な粉山椒であり、山椒は小粒でもピリリと辛いとかそんなレベルじゃありません(笑)。
しっかりとした鰻屋や焼鳥屋にある粉山椒を手に入れたいのならばこの商品を選んでおけば間違いはありません。
▼鮭の親子丼は良い粉山椒でしか出来ません。
山椒の独特の辛味も香りもこれ以上ないぐらいと言える最高峰のレベルなので、粉山椒は「やまつ辻田」でしかもう購入していないぐらいです。
こちらの山椒を使った麻婆豆腐を作っている店もあるぐらいであり、中華山椒である花椒(ホワジャオ)に似た痺れる様な刺激も楽しめます。
極上七味唐がらし(中辛)
写真ではゴマばかりですが、そんなことはありません(笑)。
七味といいながらも風味がまったくない辛いだけの薬味はよく見かけますが、「やまつ辻田」の七味は各種の風味や旨味が味わえます。
先述した唐辛子や山椒、柚子以外も全て国産の材料であり、調べてみると『こんな高級品を使っているのか』と驚かされました。
▼きんぴらに使うと複雑な味に変化。
七味の内容は「唐辛子」「金胡麻」「黒胡麻」「山椒」「柚子」「糸すじ青のり」「芥子(けし)の実」「紫蘇」です。
市販品の青のりと言えば味も香りも全くない安いアオサノリが多数ですが、高級品である高知県の糸すじ青のりを使用しており、これは1g100円もする様な高級品です。
ほとんどが輸入品である胡麻も数少ない国産金胡麻と黒胡麻であり、国産と言えどもピンキリなのですが、こちらは芳ばしさが感じられる良いものですね。
中辛なので極端に辛いとはなりませんが、代わりに山椒の味が際立っている様に感じるので好みが分かれるかもしれません。
名代柚子七味(中辛)
写真が暖色系のライトの下で撮ったからこの色という訳ではなく、黄金色をしているぐらいに柚子のパンチが効いた柚子七味です。
通常の七味から黒胡麻を除き、唐辛子は三鷹と鷹の爪を使った構成になっており、そのおかげで柚子の香りを存分に楽しめる柚子七味を生み出しています。
唐辛子の割合が柚子よりも少ないので、辛味のある七味ではなく、柚子をサポートする為に他の薬味がある様な雰囲気です。
なので、柚子の香りが合う料理が向いており、そばやうどんなどの仕上げや焼き味噌料理などにオススメです。
極上七味唐がらし(辛口)
辛口とパッケージに書いてありますが、本当に辛いです!
結果的に薬味が節約できるという発想も出来ますが、これはかなり辛口愛好家向きの商品なので、まずは中辛から試してみることを勧めます。
辛口は鷹の爪のブレンドしてある量が多く、想像しやすい七味唐辛子の味わいなので、極上七味唐辛子(中辛)とは結構違う印象を受けました。
一味唐がらし(辛口)でも述べた様に辛味が強く、独特の香りが好きな人にはたまらない七味でしょう。
石臼挽き朝倉粉山椒(限定品)
最初の頃の写真と撮影環境が違うので伝わりにくいかもしれませんが、色が鮮やかであり、料理が華やかになります。
通常品と比べると少し粗目になっており、ゆっくりと口の中で風味が広がるので、素材が穏やかな風味であっても上手に合わせることが出来るメリットがあります。
▼山椒塩で天ぷらを食べると絶品。
調理師の管理人の感覚で言うと山椒のガツンとした味が欲しい時は通常品、素材の味を引き立てる料理や天ぷらや焼き物などに使う山椒塩にするならば限定品と使い分けます。
公式のオススメの山椒塩は山椒:塩=3:1となっており、良い塩と組み合わせれば色々と活躍する優秀な調味料になります。
総評
管理人は家で毎年1年分の同じ品種の鷹の爪を育てていますが、辛味はいい勝負かもしれませんが香りは圧倒的に「やまつ辻田」の「一味唐辛子(辛口)」に軍配が上がりました。
値段が高いのには理由があり、先述した柚子や朝倉山椒以外の素材も全て国産の素材を使っており、生産性が非常に悪い石臼挽きでの製造も影響しているでしょう。
といっても、比較的スーパーで見かける高級品である「八幡屋礒五郎」の「七味唐辛子」と「分とく山」の「十味とうがらし」より少し割高に感じる程度です。
上記の2つの商品は正直な所、値段の価値は無いと感じており、「やまつ辻田」の薬味を使ってしまうと風味の違いに驚くはずです。
刺激的な辛さと豊かな風味を求めている人に非常にオススメですが、七味の味は山椒が全体的に強めなのでそこだけは好みが分かれる所だと思います。