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【プロレシピ】1ヶ月放置出来るぬか漬け【完全無添加】

ぬか漬けの浅漬け、漬物は青い皿を使うと見栄えが良い

レシピのポイント

・混ぜるのはぬか漬けを取り出す時のみでOK。
・完全無添加でも、常温で2周間から1ヶ月放置可能。
・短期熟成で完成し、下味と水抜き、漬け捨ても卒業。

超面倒な発酵食品の1つ、ぬか漬け

熟成肉から生ハム、干物、漬物、キムチ、納豆、ヨーグルト、塩辛... 何でも作る調理師である管理人ですが、真面目にやるぬか漬けはやはり面倒であり、味を安定させるのにもセンスと勘が必要な方だと感じます。

一般的にはぬか床の手入れは『毎日かき混ぜる』『冷蔵庫に入れる』『山椒や唐辛子など入れて防虫・防カビ』などと色々あり、正規の手法ならこれらは大正解です。

しかし、怠け者には毎日かき混ぜるのは面倒ですし、ただでさえ狭い冷蔵庫に1kg以上のぬか床でも置こうとしたら非常に邪魔です。

ということで、今回は『夏場は2周間、冬場は1ヶ月放置できる、添加物ゼロのぬか床』のレシピを紹介します。

そもそもぬか漬けとは?

ここの記事を読んでいる人で知らない人は居ないでしょうが米の種皮や果皮、つまり、ぬか層を使用した発酵食品です。

ぬか床に使う材料はは特にルールはありませんが、塩と米糠が入っていることだけは間違いないでしょう。

▼マフグのぬか漬け。
フグに付いている糠は軽めに取り除く

一般的には野菜に漬け込むだけと思われがちですが、魚を漬け込んでも美味しく、福井県のへしこ(鯖のぬか漬け)、石川県のこんか漬け(鰯、鰤、河豚など)、北海道のぬか秋刀魚などもあります。

今回は野菜を漬けるぬか漬けを紹介しますが、『魚も漬けれるなら野菜と一緒に漬けもう!』というのは衛生面だけでは無く、味も美味しくなくなるので、別個のぬか床で作ってください。

実は勘違いしている人が多い殺菌のお話

瓶ドンと本わさび

世の中の食品で殺菌効果があると言われて良く出てくる生のショウガやワサビなどは確かに効果はありますが、実用的では全くありません。

学生時代に実験しましたが、寒天培地に大腸菌のコロニー(菌の集合体)を人為的に形成後、上記の2つを塗布しても多少は効いていることが確認できますがさほど影響がない事がわかります。

ただし、生のニンニク、これは非常に殺菌力が強く、大抵の菌をやっつけるだけには飽き足らず、人間の胃ですら食べすぎると胃痛を簡単に引き起こす程の刺激があります。

つまり、何が言いたいかというと山椒や唐辛子をぬか床に入れて風味が良くなっても、殺菌効果を望む場合には相当量入れないといけず、ちょっと手抜きするだけでカビが生えます(炭も同様)。

ぬか床を最高に楽にしてくれる材料は1つだけ

ぬかみそからし、酵母が効いているのかは不明だが愛用品

結論から言うとスーパーの煎りぬかが置いてある横にこっそりとあるからしの粉、「ぬかみそからし」こそが救世主です。

ワサビとカラシは実は親戚みたいなものなのですが、日本のワサビは甘味がある分、カラシよりも殺菌効果が弱く、何よりも高いので選択肢に入りません。

アリルイソチオシアネートという刺激物のおかげで、大抵の虫が嫌がる匂いや味であることから防虫効果があり、加えて、カビや食中毒の菌を抑制する効果もあります。

ただし、弱点もあり、この製品をぬか床の管理が楽になるほど突っ込むとカラシの風味と刺激がフワリとする点ですね(熟成するとカラシ感は弱くなる)。

凄いぞ、ぬかみそからし

メーカーによって原材料は異なりますが、カラシや卵殻、陳皮(蜜柑の皮)、唐辛子、山椒、ビール酵母などが入っており、絶対に入っているカラシと卵殻が非常に重要となっています。

卵殻の主成分であるカルシウムには殺菌効果はありませんが、乳酸菌の増殖と増殖を程よいバランスにしてくれる優れものであり、ご家庭でも簡単に真似できます(貝殻焼成カルシウムでも可能)。

逆に言うと、熟成が足りていないぬか床に使うと発酵が非常に抑制される点については覚えておきましょう。

これまたメーカーにもよりますが、使用量の基本的な分量はぬか床1.5kgに対し、大さじ1(g)であり、3週間に1度入れるぐらいで通常の使い方としてなら十分効果を発揮してくれます。

怠け者でも簡単で安心なぬか床のレシピ

長期保存可能なぬか床の材料一覧

ということで、なんとなく勘の良い人は気がついているかもしれませんが、「ぬかみそからし」を規定量以上に使用します。

又、『添加物ゼロで常温保存、毎日混ぜない、野菜の下味なし、短期熟成、捨て漬け無し、水捨て無し』の条件を全て満たすためには一般的なぬか床作りは忘れても構いません。

毎日混ぜる普通のぬか床作りは適当に検索すれば無限に出てきますし、市販されている完成品のぬか床や煎りぬかなどのパッケージ裏面に記載されているので本格レシピは本記事では一切触れません。

ぬか床で重要なのは容器のサイズと形

RISUの容器は密封がしやすい

ぬか床の容器は密封しやすいケースであり、最低6型(大体6L)で丸形、フタはピッチリと閉められるタイプを選びましょう。

『もっと、小さいのが良い』『ピッチリと隙間に入ってくれる角型が良い』という意見もあるでしょうが、小さいぬか床ほど手間が掛かる物は無く、角型はしっかり撹拌しにくいのでオススメしません。

ぬか床の容器が6Lあったとしても、下から上まで混ぜる必要があるぬか床では実際には4Lぐらいのぬか床でないと周りにこぼれてしまいます。

又、大きいサイズにすることでぬか床の味が安定しやすい上に、野菜から出る水気の影響が少なくなることで保存性がかなり高くなります。

実際に使用している製品はRISU(リス)の漬物容器であり、ど定番でホームセンターやデパートなどでも見かけるはずです。

これより一回り大きい方がキュウリなどを突き刺すだけで漬け込めますが、6型だと人参ぐらいが刺さるぐらいですね(横向きなら入る)。

材料の解説

いりぬか、メーカーによって味が違うということはあまり無い

煎りぬかは加熱して乾燥させた米ぬかであり、これに塩水を加えてしっとりとしたぬか床を作ります(メーカーの差はほぼ無い)。

短期間で美味しいぬか床を作るには最初から乳酸菌や旨味などが入っている完成品を元に、煎りぬかをブレンドすることでコストを抑えながら好みの味に改良していきます。

既製品のぬか床はスーパーや通販、どこでも良いので好みのぬか床を用意しましょう(自分で作ったぬか床でもOK)。

完全無添加を目指すならば原材料を確認して、余計なものが入っていないかを確認しましょう。

ぬかみそからしも何処のメーカーでも良いと思うのですが、管理人は「川光物産」の「玉三酵母入りぬかみそからし」しか使ったことがありません。

塩、窓
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この写真にない材料は塩水ぐらいですが、純粋な塩では無く、カルシウムやカリウムなどが入っている日本の海塩がオススメです(純粋な塩は漬物に不向き)。

ちなみに同じ海塩でもフランスの塩(ゲランドやカマルグなど)を使うと驚くほど不味かったので、日本に住んでいるならば1kg300~500円ぐらいの塩を選ぶと良いでしょう。

唐辛子とか山椒とか昆布はいらない?

既製品をベースにするレシピの為、最初から『旨味が足りない』『変な匂いがする』ということは酷いメーカーで無ければないでしょう。

ぬかみそからしが匂いを完璧にカバーしてくれるので、旨味を足したい時に5cmにカットした乾燥昆布を半日漬け込むだけである程度美味しくなります(昆布は刻んで食べると良い)。

仕込む前の下準備

材料と容器が揃ったら仕込みを開始しますが、ぬか漬けを作る際には殺菌消毒は不要であり、使用する前にキレイなスポンジと中性洗剤で洗うだけで十分です。

ただし、生肉や生魚を取り扱った場所で作業する時には容器と同様にシンクと蛇口までキレイに中性洗剤で洗い、良く水を掛けておきましょう。

衛生が気になる人はシンクの水気を完璧に拭き取った後に、アルコールか次亜塩素酸ナトリウム(食品添加物のブリーチ)で消毒してください(プロの現場ではこうします)。

ベースとなるぬか床作りの手順

材料

煎りぬか    1000g
塩       250g(通常の塩分よりも25%増)
水道水     700ml(要調整)
市販のぬか床  1kg(500gでも良い)
ぬかみそからし 150g(熟成後に追加)

1.乾燥した保存容器を用意する。
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2.塩水を作る。

完璧に溶かす必要は無いのですが、ジャリジャリした食感が残る程に粒が大きいとぬか床の保存性が悪くなります。

塩水を作る場合には沸騰させた水に塩を加えることで、塩が跳ねてコンロ周りを汚す事を防ぐことが出来ます。

3.ぬかみそからし以外を全て混ぜる。
ぬかからし入りのぬか床

煎りぬかと塩水を混ぜ、市販のぬか床を加えてしっかりと水分が均しく行き渡るまでかき混ぜます。

その後、硬さを確認するのですが、保存性と味を両立できる具合が『拳を作って、少し力を入れて底まで押し込めるぐらい』が良いと思います。

油粘土ぐらい硬いと作業がしにくく、スポスポ言うぐらいの扱いやすい水分量だと傷みやすいですね。

▼ベストな水加減のぬか床。
やや水分が少ないぬか床は管理が楽

言葉で説明するだけだとどうしても限界があるので、手触りを確認する為に煎りぬかを30g、水を20gしっかりと混ぜて、手のひらで握ってみてください。

市販のぬか床はメーカーによって水分含有量が全く違う為、全てを混ぜて硬い時には水道水を調整しながら加え、上記の硬さになるまで加えていきます。

4.翌日、しっかりと混ぜて野菜を漬ける。

ぬか床の塩気を強くすることで野菜の下漬け(塩もみや板ずりなど)はいりません。

逆に、下漬けすると塩っぱくなるので、アク抜きをしたい野菜以外はやってはいけません

やや硬めのぬか床が3kg程入っているので、数回漬け込んでも水抜きの作業はいりません。

5.漬け込んだ野菜を取り出す。
ぬか床のサイズが大きいとまとめて色々な野菜を漬けられる

この時点では完璧なぬか床とは言い切れない熟成具合のはずですが、今の日本人はアッサリ目で風味が弱い味を好む人が多いのでそこそこ美味しく感じるはずです。

この段階では漬け込む時間が常温で1日置いたとしても、野菜が熟成しすぎる事はないので安心してください。

ただし、この段階で2週間も放置したら当然ながらカビが繁殖しまくります。

6.ぬかみそからしを加えて混ぜて完成。

本来は数回に分けて入れる製品ですが、ぬか床に乳酸菌が少ない≒酸性に傾いていない事からカビor菌が非常に増えやすい状態なので、熟成が終わっていない段階で対策を行います。

最初はカラシとぬかの味が主張しますが、1週間に1度混ぜるぐらいでもカビが生えず、1ヶ月後には中々良い具合に熟成し、酸味や旨味が増えてきて、カラシの味わいも穏やかになってきます。

昔ながらのぬか漬けが好きな人はぬかみそからしを入れるタイミングを遅らせ、1週間ほど毎日1回頑張ってかき混ぜましょう。

▼真夏のシンク下で3日放置したもの。
たっぷりカビを培養したぬか床、たった3日でコレ

こちらはぬかみそからしを入れずに、わざと放置したぬか床です。

カビの大博覧会であり、ここまでくると再利用しても絶望的な味と悪臭しかせず、非常に危険です(真似して食さないでください)。

1回でも失敗すると材料費と手間から挫折する人が多く、この様な事態にしない為に早めにぬかみそからしを加えましょう。

漬け込む時間について

ぬか漬け関連で絶対出る質問の1つである漬け込む時間ですが、美味しいと感じた時間をシーズンごとにざっくりと覚えるのが良いでしょう。

ハッキリと何時間と言えるのなら良いのですが、熟成の好みや環境の湿度と温度、ぬか床の具合で全然違うので自身の経験が一番頼りになります。

『8月は12時間漬けたら味が濃かったから2時間減らそう』『12月は18時間漬けても物足りないから2日寝かそう』と自分なりの好みを探求してみてください。

浅漬けと古漬けの美味しい食べ方

ぬか漬けの浅漬け、漬物は青い皿を使うと見栄えが良い

好みもあるでしょうが、浅漬けの場合はやや厚めに切り、野菜の歯ごたえを楽しむのが良いでしょう。

漬け込み具合を確認する時は野菜の真ん中を最初にカットし、その部分を味見すれば熟成具合がわかり、塩分や酸味が強いほど薄く切っていきます(端は味が一番濃いので参考にならない)。

▼2週間放置した古漬け/深漬け。
2週間以上つけたぬか漬けの胡瓜、古漬け

放置できるぬか床を作るとピクルス並みに色が変わったキュウリの漬物を育てることも可能になり、旨味と酸味が爆発した味となります。

これを浅漬け感覚で食べるとシゲキックス並みに強烈な味わいなので、ひと手間掛けましょう。

▼薄切りにして針生姜と和える。
キュウリの古漬け、薄切りにして針生姜と和えると美味

薄切りにした古漬けを軽く水ですすぎ、針生姜と和えるだけで酸味と旨味がたまらない1品になってくれます。

発酵臭が苦手な人は氷水にさらして温度を下げることで、匂いを抑えることが可能です。

好みでゴマや削り節などをトッピングしても美味、お茶漬けも最高ですよ。

ぬか床が水っぽくならない対策

水抜きの作業は一般的に水取り器を使うか、スポンジで吸水させるかのほぼ2択ですが、水際対策措置も良いところです。

強いてやるならばスポンジの方が実用的なのですが、ぬか漬け用のスポンジを管理するのが非常に面倒です(洗浄→乾燥→衛生的に保管)。

なので、水がたっぷりになる前にぬか床を1/5~1/6ほど廃棄し、同じぐらいの体積になる程度の煎りぬかを加えて、水分の調整を行います(塩加減も確認)。

この際、ぬかみそからしも適宜加えていくことで長持ちするぬか床を維持することが簡単に出来ます。

▼従来のぬか床の場合によくある光景。
産膜酵母、出来れば出したくないが体に害は無い

これが水抜きが必要なぬか床であり、表面が白くなっているのは「産膜酵母」と呼ばれるカビの一種ですが、人体に悪影響はありません。

嫌な匂いの原因でありながらも、ぬか漬け特有の香りの要因にもなる為、少量ならばぬか床に混ぜ込んでも大丈夫です。

ですが、私はあまり好まないのでぬかみそからしで抑制しており、この段階で香りを改善する為に唐辛子を数本加えることはあります。

ちなみに画像の様に陶器を使用したからといって、味が向上することはありません。

まとめ

細かい所まで文章で見ると面倒に見えるかもしれませんが、実際に頑張る手順はシンプルです。

手順表

1日目   ぬか床を作る
2日目   野菜を漬ける
3日目   野菜を取り出し、ぬかみそからしを入れて完成。
4日以降  1週間に1回、ぬか漬けを作る。
熟成完了後 夏なら2週間、冬なら1ヶ月に1回は混ぜる。

野菜の捨て漬けも無いので、ゴミが出ることも無く、3日の間に3回混ぜるだけでお手軽ぬか漬けライフが始まります。

チーズや山芋などのタンパク質や粘りが出る素材をぬか漬けにする時には、ポリ袋に熟成させたぬか床を少量移してから漬け込み、使い捨てすると良いでしょう。

ぬか床のQ&A-レシピ以外の話-

管理人は理屈や科学的な話が大好きな調理師なのですが、一般受けしないのはわかっている為、ここからはややマニアックなぬか漬けの話になります。

ぬか床に鉄をいれるべきか?

錆びた釘や鉄玉子などはナスの色止めに使われる事が多いのですが...あまり効果がありませんでした。

鉄ナスという似たような製品を使っていましたが、ナスは美しく仕上がらず、キレイな色を目指すならばミョウバンの方がいいでしょう。

しかし、ミョウバンだとえぐ味が移り、味が落ちるので、結局、ナスは切立てを楽しむか使わない方が間違いないでしょう。

ちなみに、管理栄養士として忠告しておきますが、ぬか床に入れるだけで鉄分は全然摂れないので栄養価の面でもゴミです。

店が楽な管理方法を何故教えないのか?

昨今では経済がシビアになった結果、頑丈な家電は製造しなくなり、身の回りの物はリピートしてもらう為に、消耗品になった物が多数になりました。

ぬか床のメーカーもその様な姿勢を取っているメーカーが多く(特に通販)、オリジナルぬか床は正当な商品ですが、専用の足しぬかや冷蔵庫専用の1kgぬか床など本来は不要です。

要はリピーターがいないと商売にならず、なるべく早いサイクルで商品の買い直しをして欲しいから色々と考えている訳ですね。

現代社会では良い会社や良い職人が稼ぐのでは無く、プロが率先して人を騙すか手抜きするのが一番儲かります。

ぬか床の発酵年数は長いほど良いのか?

本来、仕上がったぬか床にはスーパーで販売している安い煎りぬかを足すだけで十分であり、ぶっちゃけた話、何年寝かせようと味は向上することはありません。

発酵食品や熟成したタレというのは一定のラインを超えた段階から、味をある程度維持した後に劣化していきます(長期熟成が可能なチーズや生ハム、ワインなどの様に入れ替えが無いものは別)。

熟成することで旨味が増えても、ぬかやソースは徐々に使用or入れ替えが起きるため、同じことを淡々と繰り返しても100年経とうと100年分美味しくなりません。

結論として旨味をリサイクルすることで、味を保つことが出来るぐらいに考えておけば、『数年経ってからぬか床を全て処分するハメになっても実はそこまで痛手では無い』という事がわかります。

ぬか床が熟れる時間

ネットの意見などを見ていると夏場は2,3週間、冬場は1ヶ月という意見が多く、ゼロから始めるという意見なら管理人もそれぐらいですね。

ただし、市販されている完成品のぬか床と煎りぬかを1:1でブレンドした場合には半分の時間、当然、完成されたものを利用すればほぼ100%時短となります。

冷蔵庫で熟成させた場合には2倍の時間が掛かるので、夏場なら1ヶ月、冬場なら2ヶ月...管理人が冷蔵庫で保存を薦めないのはこの点が大きいです(場所もとりますしね)。

常温と冷蔵でぬか漬けの味が違う

熟成には塩分濃度や水分量、温度などが大きく関係しており、冷蔵庫で冷やしながらぬか床に1日かけて漬け込んだ場合と常温で1日かけて漬け込んだぬか床では味は驚くほど違います。

これはぬか漬けで活躍する乳酸菌が低温だと活動しにくいからであり、昔学校で習った生物の話を思い出すと納得すると思いますが、あらゆる菌には快適な温度が存在しているからですね。

一般的なヨーグルトは常温でも発酵しますが、発酵機を使用して40℃前後にすると短い時間で完成するのと一緒であり、冷蔵庫に牛乳と乳酸菌を一緒にしておいても中々完成しません。

ぬか床の保管場所について

昔からぬか床の保管場所としてはシンクの下や床下の保存庫などに入れることが多かったのですが、これらは実はいい場所ではありません。

これは単純な話であり、『暗くて湿気のある環境の中にカビが多い』からですね。

今回紹介したぬかみそからしをたっぷり入れたものなら全く問題無いのですが、塩加減や水加減、混ぜそこねなどにより簡単にカビルンルン状態になってしまいます。

多少ならばカビが生えても使いまわせるのは事実ですが、味と香りが大幅に劣化する為、軌道修正が大変ですね。

発酵食品の発酵速度に関連する条件

管理人が発酵食品における熟成のおおまかなルールは8つだと考えており、これさえ抑えておけばほとんどの発酵食品作りで難儀しなくなります。

ちなみに発酵と腐敗の差は人間に有益か不益かという微妙な話なので、発酵の部分を腐敗に置き換えても以下のルールは成り立ちます。

『塩分が少ないと発酵が早く、傷みやすい』
『塩分が多いと発酵が遅く、傷みにくい』
『温度が高いと発酵が早く、傷みやすい』
『温度が低いと発酵が遅く、傷みにくい』
『水分が多いと発酵が早く、痛みやすい』
『水分が少ないと発酵が遅い、保存性が高い』
『空気が多いと発酵が早く、傷みにくい』
『空気が多いと発酵が遅く、傷みやすい』

市販品で添加物を使った漬物が多くあるのは【低塩分で発酵させる際に傷まない様に添加物で菌の動きをコントロールし、素早く熟成。ただし、味が物足りなくなりやすい為、うま味調味料や酸味料などで味を調整】しているからです。

『昔ながらの漬物、完全無添加』が高価なのは手間暇もありますが、掛かっている時間と保管場所の問題からですね。

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