ソースに特化した作り方
今回紹介するのは「プレザーブスタイル」の「フルーツソース」ですが、美味しい果物を使って作る様な正統派の作り方ではありません。
良い果物の場合はサッと軽く煮て作る従来の方法をオススメします。
逆に品質の悪い果物を美味しくしたいという方にはピッタシでしょう(笑)。
家庭でフルーツソースを作る場合は殺菌処理が非常に面倒なので、今回の記事の様に大量に作る場合は冷凍保存がオススメです。
ジャムやフルーツソースについて
ジャムという名称を日本で名乗るにはJAS(日本農林規格)によって以下の様に定められています。
ジャムの糖度について
糖度65%以上は高濃度
糖度55%以上65%未満は中糖度
糖度40%以上55%未満は低糖度
糖度40%未満は果物加工品となり、ジャムという商品名を使うことが出来ません。
最近では甘味がやや少なく、低カロリーをうたっている低糖度タイプが売れ筋であり、大手メーカーではほぼ取り扱っているでしょう。
家庭で作る場合は製菓コーナーに置いてある食品添加物であるペクチンを使うと簡単に低糖度のジャムを作ることが出来ます。
注意ポイント
甘味と酸味を抑えた手作りジャムにはLMペクチンを使用してください。
HMペクチンだとハードタイプのジャムになり、糖度が高くなります。
フルーツソースやコンフィチュールなどは果物加工品扱いであり、ジャムよりもトロリとした液体の様なものが多いです。
ジャムのフランス語はコンフィチュール(砂糖の果実煮)なので、コンフィチュールと言うと箔が付いた感じがしますが、フルーツソースともジャムとも言えないフワフワした存在ですね(笑)。
ですが、フランス語を使うと途端に高級感が出てくるのでギフトやプレゼントなどに使われるものはコンフィチュールと書かれているものが結構あります。
果汁を煮詰めるとトロミが出る理由
ほとんどの果物や野菜などの植物の細胞壁に含まれる天然の糖類であり、糖分や酸と一緒に加熱することでゲル化する特性を持っています。
先程チラッと書いた食品添加物のペクチンはそのゲル化したものを濃縮させたものであり、主にリンゴや柑橘類などから抽出して作る様です。
グミやドレッシングなどに入っている増粘安定剤はこのペクチンと同じ様なものです。
主にジャムやフルーツソースに使われる果物のペクチン含有量をざっくりとまとめたものが以下です。
ペクチンを多く含む果物
りんご、プラム、柑橘類、キウイ
ペクチンの少ない果物
いちご、ぶどう、梨、柿、桃、ブルーベリー、パイナップル
作るジャムによって硬さが変わってくるので、全て同じレシピで作ると食感が大幅に変わることは覚えておきましょう。
又、ペクチンは同じ果物でも熟し加減で含有量が変わるので、食べ頃から痛むちょっと前ぐらいがジャム作りに適しています。
以上のことを踏まえて美味しくするには?
ペクチンが多いジャムはトロミが付くことにより、舌への付着性が強くなり、味を感じやすくなります。
又、保存性が高く、糖分や酸味料を沢山使うので果物自体の品質が多少悪くても誤魔化せます。
一方、フルーツソースでは基本的には果物の品質が全面に出てくるので、値段が高く、味が薄いので果物を沢山使ってしまうので高級品になります。
今回は品質が悪くても美味しいプレザーブスタイルのフルーツソースを作るので、何かを犠牲にしないと難しいです。
なので、フルーツの食感を捨てて、旨味を抽出しきった後に濃縮したソースでコーティングするという多少荒々しい作り方になります(笑)。
レシピ
材料
好みの果物 適量
砂糖 重量の30%(要調整)
レモン汁 大さじ2
白ワイン イチゴが浸かるぐらい
今回はイチゴで作りますが、この方法で他にオススメ出来る果物は桃とブルーベリーですね。
皮の利用価値が高いリンゴや柑橘類は違う方法で作ったほうが美味しく出来ます。
イチゴは1パック100円という素晴らしい値段ですが、大きさは1粒2cm前後しかない上、甘味も酸味もあまりなく、煮る以外の用途は無いぐらいの品質です(笑)。
砂糖は上白糖でもグラニュー糖でもどちらでも構わず、レモン汁は瓶詰めのもので、白ワインは安物(高級品は香りが強いので)を使いましょう。
作り方
1.ヘタと傷んでいる部分を取り除き、洗う。
白い部分は大胆にカットした方が美味しく、キレイに出来ます。
2.煮詰める鍋を使って計量する。
鍋はアルミや鉄を使うと腐食するので、その他の鍋を使ってください。
3.上白糖を入れ、よく混ぜたら20分程寝かす。
本当に美味しいジャムを作る場合は最低でも1時間以上かけて水分と細胞内にあるペクチンを外に出します。
今回はそんな繊細に作らないので水分が多少出るぐらいで十分です。
4.白ワインとレモン汁を入れて加熱する。
レモン汁を入れたら白ワインをイチゴがヒタヒタになるぐらいに入れます。
又、通常はサッと煮て果物を取り出しますが、入れっぱなしでOKです。
5.大量にアクが出てくるので取り除きます。
[amazonjs asin="B003URQNAG" locale="JP" title="下村企販 あく取り名人 板前さん ステンレス 日本製 27538"]フルーツソースを可能な限り逃したくないので、調理器具のアク取りを使用してください。
6.果物が溶ける一歩手前で取り出し、煮詰める。
フルーツソースのアクを取りながら丁寧に煮詰めていきます。
フルーツソースとしてはやや硬めになるぐらい煮詰めて構いません。
この際に味見をして酸味や甘味のバランスを整えてください。
ジャムにしたい場合はここでペクチンを入れます。
7.煮た果物とフルーツソースを一緒にして3日寝かせる。
着色料使ったのではないかと家族に疑われたぐらい色が濃くなります。
このフルーツソースを果物に染み込ませるのには多少時間がかかるのが従来のジャムともフルーツソースとも異なる所ですね。
完成品
元の値段からはわからないぐらいにまともなプレザーブスタイルのフルーツソースに見えるはずです(笑)。
通常のフルーツソースと異なるのは白ワインを大量に使うことで酸味と旨味をプラスし、若干コンポートの様な風味になっている所です。
▼クリームチーズに載せても負けない味わいです。
果物は単価が高く、美味しいものを探せば非常にお金がかかってしまいます。
ですが、多少品質が悪くとも美味しくすることが出来るならば、値引きされている果物があったらラッキーと思えるぐらいになるはずです。
腐っておらず、軽く傷んだ程度の果物などはジャムやフルーツソースに最適なので、見切り品の果物は意外と使い道があることを頭の片隅に置いておきましょう。