実は1時間で作れるタケノコの水煮
日本料理と中華料理には欠かせないタケノコは既製品の国産タケノコの水煮を購入すると値段の割にあまり美味しくはありません。
なので、タケノコがスーパーなどに並び始める時期ぐらいは自分で水煮を作って、節約しつつ、美味しいタケノコを食べましょう。
といっても、前置きを聞くと『でも、タケノコの水煮って1日(一晩)かけてアク抜きするから面倒!』と思うはずです。
ですが、残念ながら1時間かからずに美味しい水煮が出来ることがわかってしまい、従来の作り方よりもアクが少ないというメリット付きです。
用意するものは?
新常識という言い方はあまり好きではありませんが、今までのアク抜きが実はあまり意味をなさなかったということを紹介するのが本記事の目的です。
1時間で作れることは前述しましたが、必要なものは「水道水」「大きな鍋」「落し蓋(皿)」の3つだけです(笑)。
つまり、ヌカや鷹の爪、大根おろし、小麦粉、酢、重曹などは要らず、むしろ味を濁らせることは既に実験してわかりました(個人の感想ですが)。
この場合の雑味はタケノコのアクよりも投入した素材の味が影響し、タケノコ以外の味がすることを指しています。
気になる調理方法
『1時間で出来るタケノコの水煮』『茹でるときは水だけ』という衝撃的(?)な前フリから更に驚くことになるかもしれません。
『皮は全部剥き、たっぷりの水から茹でて沸いたら30~40分ぐらいで取り出す』というシンプルな調理方法です。
皮をつけっぱなしにする理由を調理師に尋ねると『タケノコを柔らかくする為とアクを抜く為』と返ってきましたが、皮があることで水にアクが抜けにくくなり、同時に火が通りにくくなっていました。
スーパーで売っている細切りになっているタケノコは恐らく、加熱前に皮を向いてから細切りしてから水で煮ているので、あんなにキレイかつ澄んだ味になっているのです。
なので、更にスッキリした味にしたい場合はある程度細かく切り分けてから茹でると効果的であり、火も早く通って柔らかくなります。
タケノコの選び方
小さくて、軽いものが良いと言う人も居ますが、逆なので注意しましょう(笑)。
軽いものはタケノコの水分が抜けて、鮮度が落ちている証拠です。
理想は朝堀のものを酵素が働かない様に低温保存したタケノコになりますが、そんなものは京都に観光した時か、グルメ漫画やドラマなどに任せて、スーパーで目利きした方が現実的です。
良いタケノコのまとめ
太くて、ズッシリとして重い
穂先が黄色っぽいもの
皮は薄茶色でツヤがある
切り口が白い
根本のブツブツが小さく、少ない
水だけで茹でて良い理由
1952年の古いデータになりますが、九州農業研究 第八号 筍缶詰の新製造法(水晒せざる製造法)の実験結果とほぼ一致したので引用します。
http://www.naro.affrc.go.jp/org/karc/qnoken/qnoken/no8/8-081.pdf
タケノコの雑味やアクの原因はタケノコの「シュウ酸」や「ホモゲンチジン酸」、「チロシン」とされており、タケノコに含まれるアミノ酸であるチロシンがタケノコの酵素により、ホモゲンチジン酸に変化します。
前者2つは山菜に良く含まれているアクのことですが、後者のチロシンはタケノコの内側にある白い粒のことです。
アルカリ性の液体で比較的溶けるとされていますが、前者は水で十分であり、後者はタケノコが不味くなるほど液体を酸性かアルカリ性に傾けないと溶かしきれない為、色々なものを入れる意味はほぼありません。
「ほぼ」といったのには理由があり、ヌカなら旨味成分、油分などが多少なら入るので、それを美味しいと感じる人がいるかもしれないからです。
といっても、そんなのは料理に必須かといったら微妙な話であり、濃い出汁である煮物出汁や味の強い中華料理の前には影も形もないレベルでしょう。
ですが、シンプルに刺し身として食べる場合もあるので個人的にはヌカを絶対入れません。
中華料理ではタケノコを水煮にしないで油通しをすることでアクを取るらしいですが、管理人はこの手法を試したことないのでいつか挑戦してみます。
管理人流タケノコの水煮作り
先述した通り、大きく鮮度のいいタケノコを東京のスーパーで選んできました。
石川県産なので、流通を考えても1日2日は経っていると考えられますが、それでも十分まともなタケノコを都心でも入手出来ます。
1.タケノコを2つに割る。
割らずに茹でる方法で習った人もいるかもしれませんが、中のチロシンとアクが抜けやすくするために最低2つに縦に割ってください。
チロシンが多数ある場合は指やハシなどで物理的に除去するのが一番効果的ですが、少しならば沸騰している内に取れてくれます。
2.可食部のギリギリのラインまで先を落とす。
皮が剥きやすくなります。
3.皮を剥き、傷んでいる場所や大きなブツブツを取る。
4.水をたっぷりと入れる
美味しくするポイントですが、可能な限り大きな鍋で大量の水で茹でるのが重要です。
水が多ければ多いほどアクはしっかりと抜けます。
これは小松菜やほうれん草などの辛味やアクがある野菜も同様なので、覚えておくと料理が上達します。
5.重しをして、沸騰させる。
『この人何やっているんだ』と呆れる人も居るかも知れませんが、タケノコは浮力が強めなので、重い皿を使うと完全に沈ませられます。
湯に触れる表面積が広ければ広いほどアクは抜けるので、絶対に水から浮かばない様に各自工夫してください。
6.茹で上がったら即座に冷水を注ぐ。
大量の湯でも明らかに水の色が変わっていることがわかり、この汁にアクが入っています。
味が染みる理屈は単純であり、水が材料に移る時に味が入ると言われており、具体的には温めている時と冷ます時です。
なので、茹で汁に長時間浸けることはアクをタケノコに戻すことになるので、即座にお湯を捨て、流水でタケノコを洗います。
7.氷水で一気に冷やす。
出来れば浄水か天然水を使うことをオススメします。
水にこだわるのは少しでも雑味が入らない様にする為ですが、刺し身以外では実感出来ないレベルなので、何でも良いです(笑)。
すぐに使う場合はこの作業は必要ありません。
8.完成!
完成品は水に付けておけば1~2週間なら持ちますが、この時は水道水に浸けておき、こまめに水を変えながら冷蔵庫で保存すればかなり持ちます。
水道水の塩素は想像以上に保存に効果をもらたし、浄水器を通した水だと細菌がかなり増えやすくなります。
といっても、せっかくつくったのですからすぐに食べてスッキリした味を楽しんでください(笑)。
慣れれば片手間で十分な仕事量であり、従来のやり方の様に鍋を冷蔵庫に一晩入れる必要もないので、作る気力が多少湧くはずです。