セールスポイント
・油馴染みが早く、市販の鉄フライパンよりも早く使い物になる。
・鉄製品がくっつきやすいのが信じられないフライパン。
・鉄で作られているが女性でも扱いやすい軽さ。
鉄のフライパンは家庭向きじゃない?
鉄のフライパンは『重い・手入れが面倒・くっつきやすい』とあまり良い印象を持ったことがない人も多いと思います。
ただし、美味しく出来るというイメージは昔も今も変わらずあり、それは実際に間違っていません。
ですが、下手な鉄のフライパンや中華鍋を購入すると『2度と使うものか!』と決心する程です(笑)。
この話は管理人の経験談ですが、仕事場で良い鉄鍋を使うと自分でも良いものを使いたくなるもので、時間に余裕が出てきた頃によく研究した結果、今回紹介する「FDstyle」の「鉄フライパン」にたどり着きました。
▼FDstyleの鉄フライパンの特徴
結果、家庭でもオススメ出来る鉄のフライパンが見つかり、今回の記事を執筆することにしました。
ただし、このサイトのページに来た人は鉄のフライパンを買うべきか否か迷っている人が多いと思うので、レビューの前に身近なフッ素樹脂加工の鍋と鉄のフライパンの特徴をまとめておきます。
又、レビュー内で通常の鉄のフライパンと同様の手入れ方法を全て載せておくので、この記事を読み終わった頃には新卒の調理師よりも鉄のフライパンに詳しくなっているでしょう(笑)。
細かいことは良いから本製品の詳細を知りたい人はココをクリックorタップするか、目次からページを飛ばしてください。
フッ素樹脂加工のフライパンの特徴
フッ素樹脂加工がされているフライパンは摩擦が起きにくいツルツルとした膜がフライパンの表面に加工され、同時に油も水も弾く性質を持つ様になります。
この特徴により、通販番組で良く見る『水をサッとかけるだけで汚れが落ちます!スゴーイ!』が実現されます。
ただし、異常に加熱した場合(主に高温の空焚き)にはフッ素樹脂から有毒なガスを発生させる上、フッ素樹脂加工が剥がれてしまう為、くっつくフライパンになってしまいます。
といっても、長時間空焚きして放置するというダイナミックな物忘れをしない限り中々起きない現象なので、使うことを怖がる必要は無いです。
フッ素樹脂加工はコーティングをするものなので、当然フライパンに傷を付けるとその部分はただの鍋と化します。
又、使用するたびに徐々に剥がれていくので、いずれは買い替えか再度加工(修理)をする必要があります。
管理人の記憶によるとフッ素加工の依頼をしていたのは調理師学校ぐらいであり、1年に1度の頻度と聞きました。
品質の良い加工を行っていても1日に授業で何回か使っていると1年ぐらいでガタがくる様ですね。
色々な〇〇加工の違いは?
フッ素樹脂加工やテフロン加工から始まり、○○加工というフライパンが多数販売されていますが、基本的にほぼ同じフッ素樹脂加工を行っていることをこの記事を執筆している時に知りました(笑)。
ざっくりというとフッ素樹脂加工を行う回数が多いほどお金はかかりますが、長い間保つそうです。
又、加工する鍋の材料やフッ素樹脂加工の仕方により、効き目も異なるそうです。
なので、値段が安い加工してある鍋がすぐダメになるのはこのフッ素樹脂加工が甘く、高いものはしっかりとした加工が行われているということになります。
スーパーやホームセンターなどで売られている鍋がすぐに駄目になるのは上記の内容通り、フッ素樹脂加工が甘いということになるのでしょう。
オススメのフッ素樹脂加工の鍋は?
色々と使ってみましたが「ティファール」の鍋は子供の頃から扱っている長い付き合いですが、かなり使い勝手が良いのでオススメ出来る調理器具の1つですね。
値段も随分リーズナブルになりましたが、製品の質自体は下がるどころか上がっているのも好印象です。
使い勝手が良いのは重ねて収納出来る取っ手の取り外しがワンタッチで可能なタイプです。
「ティファール」では種類やグレードによりますが、何層もあるコーティングにより、通常の加工方法よりも3倍長持ちする加工方法が行われているものもあります。
値段が高めなのには理由があるのがわかりますね。
鉄のフライパンの特徴
鉄のフライパンの記事ですが、先にフッ素樹脂加工のフライパンについて触れたのには意味があります。
フッ素樹脂加工のフライパンでは油と水を弾く性質があると記述しましたが、鉄の場合は逆の性質が備わっているからです。
鉄の表面にはミクロン単位の多数の穴があり、ステンレスやフッ素樹脂加工などと違い、油と馴染む性質があります。
鍋に油を入れることで表面に薄い油膜が形成され、その性質のおかげで投入した食材は均等に油と触れる為、焼きムラが少なくなり、香ばしく焼くことが出来ます。
更に蓄熱性と放熱性の均衡が取れているので、食材に対してコンロの火力を上手く伝えることが出来ます。
最近では不足しがちな鉄を摂取する為に鉄の塊を水やお湯につけて鉄分を抽出する製品がありますが、鉄のフライパンを使えば多少は摂取することが出来ます。
管理栄養士である管理人ですが、鉄分をあまり取らない食生活を行っている人にとっては毎日のごく僅かな鉄分摂取でも栄養価的にはそれなりに影響があるはずです。
一番のメリットは本当に使えなくなるほど(腐食や物理的な損傷など)のダメージを与えない限り、長期間使えることでしょう。
鉄のフライパンは一生物と言われるぐらい頑丈であり、定期的に再加工や再購入が必要なフッ素樹脂加工のフライパンと比べると圧倒的にランニングコストに優れています。
最近のフライパンは加工も目覚ましい
今回紹介する「FDstyle」の製品もそうですが、錆びにくい鉄のフライパンが作られており、値段は通常の鉄製品と比べるとやや高めになりますが高評価を受けています。
「ビタクラフト」の鉄製品や「リバーライト」というメーカーの「極ジャパン」の鉄製品も似たような性質を持っています。
傾向としては『軽く、錆びにくく、油が馴染みやすい』というコンセプトが多く、鉄のフライパンデビューに相応しい使い勝手の良さが人気です。
結局、どっちのフライパンがオススメ?
個人的な結論としては両方あると便利です(笑)。
焼き物には鉄のフライパン、その他の料理はフッ素樹脂加工のフライパン、茹で物には安物の鍋、卵焼きは専用のフライパンと管理人は使い分けています。
「ティファール」の鍋はオーブン料理にも使えるので、取っ手の付け外しが出来るタイプだと料理の幅が広がり、そのままフタをして保存できるのが非常に便利です。
野菜や肉の下茹でなどはフッ素樹脂加工がしっかりしていない鍋でも十分に使え、メインのフッ素樹脂加工のフライパンを長持ちさせます。
揚げ物に関しては素材の大きさによって使うものを変えていますが、焼き物は鉄のフライパンにしています。
上記は一例にはなりますが、兎に角焼き物に関しては鉄のフライパン一択と言っても良いぐらいに仕上がりが変わります。
レビュー
今回紹介するのは「FDstyle」の「鉄フライパン 26cm」です。
サイズは様々あるので、大きさ選びには困らないと思います。
▼公式によるオキシナイト加工のまとめです。
鉄に窒化処理(強度が増す)と酸化処理(四三酸化鉄にすることで錆びにくい)を施したOXYNIT(オキシナイト)加工がされています。
この加工により、『サビに強い』『油馴染みが良い』『空焼き不要』『IHとガス火対応』『お手入れ簡単』と従来の鉄のフライパンの弱点をかなり克服しています。
FDstyleについて
モノ作りで有名な新潟県の燕三条で知られている通り、職人の多い新潟の地域産業活性化に取り込んでいるブランドネームです。
作っているメーカーは様々ですが、デザインは「FDstyle」が考えており、機能美とシャープさを兼ね備えた高品質な製品を多数作っています。
▼パッケージです。
製造している「プリンス工業」は金属プレスを得意とした、栓抜きと缶切りのトップシェアを誇る金属加工メーカーです。
▼タワシと説明書が同封されています。
安物のタワシと違い、しっかりとしたタワシなので当分はコレだけで十分洗浄出来ます。
▼使う前はグレーであり、馴染むと黒くなります。
データ
・幅262×縦420×高さ103mm
・重さは975gと鉄のフライパンとしては軽め
・フライパンの厚みは1.6mmとやや薄め
▼裏面です。鉄としてはかなり軽いです。
▼ハンドル(取っ手)は四角です。
ハンドルが木製の中では珍しい竹製であり、腐りにくさと丈夫さを兼ね備え、滑らかな触り心地でありながらもグリップがあるので使いやすいです。
▼ハンドルはネジで止められており、取替え可能(有料)です。
1年以上経った頃に一度締め直しました。
器具は100円ショップで売っているソケットで十分に締められます。
初めて使用する時
フライパンを火にかけ、温まったらおたま1杯程度の油を敷き、十分馴染ませます。
余った油はオイルポットに戻して問題無いです。
注意ポイント
強火で空焼きすると変形の原因になるので、あまりカンカンに加熱しないでください。
分厚い鉄製品ではないので、弱火か中火で温めるぐらいですぐに温まります。
油ならしについて
幾らオキシナイト加工がされているからと言っても全くつかないという訳ではなく、『油に馴染みやすい』だけなので油ならしは必要です。
油ならしというのは先述した鉄の特徴である『ミクロン単位の多数の穴があり、油と馴染む』という性質を活かし、調理をする前に油で薄い膜を作る作業です。
これを行うことでフライパンに油が馴染み、焦げ付きにくくなります。
油ならしの方法(公式)
①フライパンを火にかけ、十分に加熱する。
②フライパンの底面全体に行き渡る程度の油を入れる。
③弱火で3分程度加熱し、ケムリが僅かに出たら火を止める。
④オイルポットに油を戻す。
⑤キッチンペーパーを使い、刷り込む様に拭き取る。
簡易的な油ならしの方法
①フライパンを火にかけ、軽く白いケムリが出る程度まで加熱する。
②フライパンに大さじ1程度の油を敷く。
③キッチンペーパーで油を全面に塗る。
最初に空焼きすることでフライパンについている不純物を浮かせ、水分を飛ばす働きがあります(と言われています)。
これにより油と鉄がより馴染みやすくなるので、『空焼き不要』であるオキシナイト加工でもやった方がやはり使いやすかったですね。
『公式では使い始めの1ヶ月前後は油ならしをしてください』と説明書に記載されていますが、家庭で行うのは面倒なので、管理人は空焼きと油を塗る(まわす)だけでやってみましたが、それでも十分馴染みました。
油ならしとは少し違いますが、早く油馴染みを良くしたい場合には昔からのやり方を習うとクズ野菜をたっぷりの油で長時間炒めて捨てるという方法もあります。
▼数日行うと色が黒くなってきます。
序盤にやる料理は何が良い?
ずばり、揚げ物です。
空焼きして揚げ油を入れるだけであり、よほど下手を打たない限り失敗しないはずです。
逆に、焼きうどんやチャーハンなどのでんぷんが多いものを作ろうとすると地獄を見るかもしれません(笑)。
でんぷんの多い素材はなるべく最初の内は使わない様に心がけましょう。
▼2,3回揚げ物をした後にようやく焼き物に
ステーキやポークソテーなどが良いのかもしれませんが、ここはあえて小麦粉を付けたチキンソテーにしました。
こびりつきやすい小麦粉を付けた皮目を焼いても写真の通り、フライパンにビッシリとこびり付くということはありません。
ただし、フッ素樹脂加工のフライパンと違い、よほど仕上がっているフライパンでないと100%付かないという訳ではないので、以下の調理器具の購入をオススメします。
▼貝印 ターナー SELECT100 DH3012です。
ペラッペラのステンレスターナーですが、素材の下にスッと滑る様に入って、よほど重いものでなければ通常のヘラと同様に簡単にひっくり返せます。
柔軟性に優れたヘラですが、鉄のフライパンについた肉の破片や小麦粉なども簡単に取れます。
フッ素樹脂加工を使用した鍋でも使うことは出来ますが、頑丈な品物ではない場合傷を付けてしまう恐れがあるので、使用する際には気をつけてください。
▼ならしが甘いと感じたら多めに油を使いましょう。
これはカジキマグロのソテーの調理中ですが、コンフィ(油で煮る)気味に低温で焼いています。
フライパンの成長具合に合わせて、油の量を調節するのが失敗しないコツの1つですね。
▼ある程度馴染むとチャーハンも作れる様に。
▼キッチンペーパーで軽く拭けば取れる程度になります。
これぐらいになれば大抵の料理をこなせるはずです。
鉄のフライパンの手入れ
フライパンの油ならしと使い方がわかったと思うので、次は手入れ方法を紹介します。
どんなに良い鉄のフライパンだろうと、汚れが残ったまま使い続けるとただの鉄の塊と化します。
レビューで『数ヶ月使っても素材が張り付いてしまう』というのを鉄製品ならばほとんど見かけますが、これは油ならしの問題ではなく、洗い残しがフライパンに残り、コゲの様な形でこびりついているからです。
せっかく良いフライパンを不用品回収に出さなくとも済む様にしっかりとココを抑えておきましょう(笑)。
使用した鉄のフライパンを洗う
フライパンが熱い内にキッチンペーパーや布などで汚れを拭き取り、タワシやささらを使って、ゴシゴシと洗うだけで大丈夫です。
ただし、基本的には洗剤を使わないということを覚えておきましょう。
洗剤を使うと油でコーティングしてきたものが落ちてしまうので水かお湯だけで洗います。
洗剤を使っても良い箇所
オキシナイト加工がされているので裏面は洗剤で洗っても大丈夫です。
汚れが付いたまま直火に晒すと炭化するので、表以外はしっかりと洗えるのが本製品のメリットですね。
又、ハンドルの部分は竹製なのでその部分も洗ってください。
どうしても汚れが取れない場合
その1 お湯で汚れを柔らかくする
タワシを使っても落ちなかった場合には鉄のフライパンでお湯を沸かします。
そうすることで汚れが落としやすくなります。
その2 硬い素材で削り落とす
その1でも汚れが落ちない頑固な汚れは金属タワシ(スチールタワシ)やナイロンたわし、がんこたわしなどを使って汚れの部分だけを取り除きます。
あまり使いすぎるとせっかくならした油がなくなってしまうので、調理中になるべく気を使うと良いでしょう。
頻繁に上記の道具を使って鉄のフライパンをダメにしている現場も見たことがあるので、なるべくこうならない様にしてください。
オススメは「3M」の「スコッチブライト」です。
油汚れに使うものなので、小さく切ってから特定の部位だけを洗ったら捨てることが出来るので便利です。
ただし、「FDstyle」の「鉄のフライパン」は金属がかけるほど強引に取り扱うとオキシナイト加工が落ちる可能性があるので、何事も程よくやってください(笑)。
あまりにも酷い汚れがある場合
本記事では紹介するほど酷いフライパンがないので紹介出来ませんが、空焼きを10~20分程度行うとこびり付いた油や汚れが炭化します。
そして、熱い内に冷たい水をジュッとかけると汚れが浮かび、一気に取れます。
それでも取れない場合は『どうしても汚れが取れない場合』のその2で紹介した方法に加えて、クレンザーなどの研磨剤を使ってください。
上記のことを全てやっても取れなかったらスクレーパーの出番ですが、そこまで放置しないでください(笑)。
サビが出てしまった場合
半年以上使っても全く錆びが出る気がしないこのフライパンですが、万が一ということがあります。
その場合もクレンザーなどの研磨剤を使用して、『どうしても汚れが取れない場合』のその2と同じ道具で整備してください。
洗った後の手入れ
オキシナイト加工がされているので本来は乾かすだけでOKと公式では説明していますが、管理人は従来の鉄のフライパンと同様に、毎回軽く焼いています。
乾かすだけでOKといっても、濡れたまま放置は厳禁となっているので、拭き上げにペーパーやタオルなどを使うよりも空焼きした方が楽ですね。
ただし、汚れやサビなどを削った場合には必ず油を塗る様にしてください。
空焼きすると小さな汚れが見つかることがあるので、それを見つけた場合にはキッチンペーパーで取るか、再度洗い直してください。
ハンドルの部分は竹製で腐りにくいとは言え、拭き上げるとより長持ちするはずです。
半年以上経った鉄のフライパン
忙しくて2、3ヶ月ぐらい使わなかった時期がありましたが、その間に塗っておいた油のおかげかやたらと油が馴染んでいました(笑)。
今ではもう手間のかからない子になってくれたので、結構雑に扱っても安心感がありますね。
普通の鉄ではないので色合いが美しいとは言い難いですが、そのうちへりの部分も黒くなります。
▼パリッとしたチキンソテーも簡単に
良い盛り付け皿が無かったので鉄板に乗せていますが、しっかりと本製品で焼いています(笑)。
仕上がり始めるとフライドチキンよりも皮がパリッとし、油がいい感じに抜けてくれるので北京ダックの皮の様な食感を楽しめます。
▼二度目の登場ですが、チャーハンも出来ます。
空焼きしてから油を少し多めに敷き、全体に油を回し、溶いた卵を入れてすぐに温かいご飯を入れます。
急いでヘラでご飯を軽く押して卵と一体化させ、手際良くあおれば1分程度で出来上がります。
総評
器具紹介というよりはフライパン完全マニュアルと化しましたが、「FDstyle」の「鉄フライパン」は非常に良い商品ですね。
最初は少し苦労するかもしれませんが、油ならしを必ずやっていれば昔の鉄のフライパンよりも早く立派な相棒になってくれます。
万が一、くっつきやすいフライパンになってしまっても、本記事で紹介した整備方法を行えば必ず復活します。
美味しい料理を作りたい人やフッ素樹脂加工のフライパンを買い替えするのが面倒な人は是非、鉄のフライパンを購入してみてください。
本記事で紹介した器具まとめ
フライパンは様々なサイズがあるので、購入時には気をつけてください。
広告に記載しているフライパンは26cmで統一しています。