セールスポイント
・解凍するだけで手軽に使える。
・面倒な下処理は一切無し。
・瓶詰めよりも色が鮮やか。
本記事について
今まで瓶詰めの実山椒を中心に使っていましたが、少し良いものが欲しくなって、冷凍の下処理済み実山椒を購入してみました。
結論から言うと瓶詰めより遥かに美味しいですが、以前、仕事でやらされた自家製実山椒よりは風味が落ちますね。
ですが、あの手間暇と連続する小作業は中々辛いものがあるので、今回はお金で解決することにしました(笑)。
山椒は身近な香辛料ではありますが、意外と知らないことが多いものである為、様々な情報を記載することにしました。
山椒の実は生と乾燥で味が全然違う理由
5~7月頃に山椒の木に実がなりはじめ、熟す前の実が青山椒と呼ばれるものであり、下処理したものが佃煮やちりめん山椒などの料理に使われています。
粉末になっている山椒は青い実が黄色(写真左)から赤色(写真右)に変わる9~10月頃に収穫したものを陰干しし、中身の部分を取り除いた皮のみを使ったものとなっています。
収穫時期により実自体の味わいが変わり、実を全て使うか、皮だけ使うかで用途が変わるという事ですね。
面倒な山椒の下処理
色々な手法がありますが、おおまかな下処理の工程は以下の様になっています。
1.実を収穫する。
2.枝や葉を取り除く(3の工程を先にやる所もある)。
3.可能な限り早く下茹でしてアク抜き。
4.半日から2日ほど水に晒してアク抜き。
4の工程時に水に晒す時間が長いと辛味を抜くことが出来、メーカーによって味わいがぜんぜん違うのは辛味の具合を調整しているからですね。
瓶詰めの実山椒の場合には仕上げに塩水を使うので、ほのかに塩味が入っている分、使い勝手も若干変わってきます。
実山椒の価格の差はあるのか?
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【実食レシピ】下処理済み瓶詰め「実山椒/味の顔見世」
・京都の惣菜屋で使用している実山椒の水煮。
・安物と違い、風味がとても豊か。
・水煮なので安定した風味が期待できる。続きを見る
枝を取り除いた状態で実山椒の値段が100gで1,000円前後もするにも関わらず、アク抜きまで終わった実山椒も驚くことに同じぐらいの価格で販売しているメーカーがある程です。
冷凍したものならば長持ちしますが、常温では長期保存が出来ないのも価格に反映されている所でしょう(生鮮食品は廃棄率込で値段が高く販売される)。
つまり、それだけ実を収穫するのと枝を取り除く作業が大変であり、長期保存が効きやすい(廃棄率が少ない)実山椒の瓶詰めが一番安くなっています。
食用にされている山椒の種類/品種
日本では様々な名称で呼ばれることがある山椒ですが、日本で手に入りやすい品種はたった3つしかありません。
アサクラザンショウ/朝倉山椒
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6種比較レシピ付/最高の山椒と唐辛子【やまつ辻田】
・材料は全て国産で最高峰の素材を使用。
・本当に美味しい唐辛子と山椒の味が知れる。
・様々な七味があるので、好みのものを探せる。続きを見る
野生にあった山椒が突然変異したものと言われており、棘の無い栽培品種として江戸時代から重宝されていたものです。
辛味が非常に強く、刺激を欲する人ならば朝倉山椒がオススメですが、刺激が強すぎると感じる人も居るほどでしょう。
苗と実山椒、粉末の山椒はいずれとも通販を利用しないと手に入れづらいのが難点でしょう。
ブドウザンショウ/葡萄山椒
朝倉山椒から派生した系統とされており、栽培が容易である上に実山椒自体が大きく、生産性が高いことから一番安い品種であり、一番良く販売されているものです。
朝倉山椒よりも風味と辛味は若干落ちますが、良質なものならば負けず劣らずの製品もあります。
家庭菜園の定番品種ですが、枝にトゲがある為、取り扱いには要注意。
タカラハラサンショウ/高原山椒
飛騨地方の高原流域でしか栽培されていない希少品種であり、上2つの品種よりも実が小さい代わりに、非常に香りが良いそうです。
管理人が唯一食した事がない品種なので、本記事をきっかけに購入することにしました。
レビュー
今回紹介するのは「味通ネットワーク」の「プレムアム実山椒 300g」です。
▼パッケージ。
5月に採取した山椒の実のみを使用しており、取り立ての実山椒を即座に枝取りをし、サッと下茹でしてから冷凍した製品です。
実にシンプルな製品な為、様々なメーカーが似たような製品を販売していますが、今回は一番評価が良い「プレミアム山椒」を選びました。
▼中身。
枝取り・アク抜き済みの製品ですが、細かい軸は付いたままなので、好みに合わして取り除いてください(管理人はそのまま使う派)。
手作りしている人には意外に思う人も居るかもしれませんが、軸が残っている製品を販売しているメーカーがほとんどであり、軸は食べられるので問題ないとされているのが普通です。
その代わり、瓶詰めの山椒よりも風味は圧倒的に良く、ピリッとした辛味も中々、鮮やかな色合いを活かして料理することも可能なのは非常に嬉しい所ですね。
▼塩水漬けの実山椒の色合い。
撮影したのが随分前になってしまうので参考画像程度になりますが、実際に見比べてみると一目瞭然であり、色の鮮やかさは圧倒的に冷凍の実山椒に軍配が上がりますね。
瓶詰めの実山椒は塩水に浸かっているのでキレイな緑色を保つことはほぼ不可能ですが、普通に料理をしていればこの様な色になりやすいので気にしなくとも良いポイントかもしれません。
▼ちりめん山椒に。
ちりめんじゃこに少量の水と白だしなどを加え、サッと煮たら火を落とし、冷凍実山椒を加えて和えると緑色が映えるちりめん山椒が作ることが出来ます。
本製品は軽く茹でただけの製品なので、実の食感はやや硬めになっていますが、アクはしっかりと抜けているので雑味はありません。
刺激に関してはアク抜きが長いのか品種の問題なのか、強い刺激を好む人にはやや物足りないかもしれませんね。
ぶどう山椒に関しては非常に強い刺激を求める事が困難な事もあるので、強い辛味を求めている人は手作りをするか、朝倉山椒という辛味がより強い品種を使う事をオススメします。
▼2種の山椒卵かけご飯。
実山椒を炊きたてご飯に混ぜ込み、醤油を1回し、完熟山椒をトッピングした卵かけご飯です。
先程のちりめん山椒は多少加熱していますが、本製品は驚くほど鮮やかな色合いをしており、卵かけご飯と言えども美しい見た目をしています。
又、フレッシュな状態に近い実山椒は香りと刺激をしっかりと堪能でき、卵が無くとも贅沢とも思える味わいとなっていますね。
この食べ方に関しては瓶詰めの実山椒では真似できない、鮮度の良い実山椒ならではの料理と言えるでしょう。
総評
以前、色の変わらない塩水漬け実山椒という製品を買った時には消費期限が切れる前に瓶詰めのものと同じ色合いになってしまった上、味もイマイチでした。
ですが、冷凍山椒ならば通年安定した味わいを楽しめ、冷凍中に多少霜が付いても風味が落ちることはありません。
鮮度が良いものを手間暇かけて作った実山椒は確かに美味しく、好みの味にすることが出来るのでこれに優るものはありません。
しかし、山椒の木を育てていない人にとっては本製品は高確率で気に入る製品だと考えられ、和食の職人にも十分に勧められるクオリティだと感じました。