お品書き
今回紹介するのは手作りの「イカの塩辛 赤造り」です。
市販のイカの塩辛は塩分が少ないものが多く、保存料を添加しているものや賞味期限が2週間程度しか持たない製品もあります。
そのような塩辛も味は悪くないですが、肝和えに近く、イカの旨味を存分には引き出せてはいません。
そこで、昔ながらの本格的な塩辛の作り方を紹介します。
ここではイカの皮を向かずに作る風味が強い「赤造り」にします。
ちなみに皮を剥いたものは「白造り」、イカスミが入ったものは「黒造り」といいます。
注意点!
1.魚介類にはつきものであるアニサキス・ニベリニアなどの寄生虫は完全に冷凍してから、24時間以上経てば殺すことが出来るので、目視で確認するだけでは不安な方は冷凍したイカを使ってください!
※熟成が終わってから凍らせても大丈夫です。
3.仮に食中毒になった場合は当サイトの管理人は責任を取りません!
必要なもの
調理時間
2時間(主にくさみ抜きの作業時間)
熟成期間
2週間(すぐに食べられるが美味しくなるのにはコレぐらいの期間)
必要な器具
・まな板
・箸
・ザルとザルが入る程度の大きさの皿
・小さめの深皿
・塩辛を保存する容器
・ボール
・包丁
材料
・漬物用の塩
・好みの天然塩
・新鮮なスルメイカ(パッケージに保存温度4℃以下と記載されているもの)
・日本酒
・鷹の爪
作り方
最初に材料についての補足になります。魚屋さんで聞いた所、魚介類において刺身や生で食べられる物はパッケージに保存温度4℃以下と書いてあるものならば生食用に適しているそうです。
今回のイカのパッケージも見るとそう記載されています。
スルメイカの目利きのポイント目が黒くて、表面の革の色がはっきりと残っているものです。
特に新鮮なものは透明感があり、ちょっと触っただけでも色が変わる状態はベストです。
しかし、スーパーなどでツンツン触るのはご法度なので、触るのは止めましょう。
「胴体」から「内蔵ごとゲソ」を取り外す
1.目のある方面の胴体に指を入れて、くっついている部分を外します。
<
2.しっかりと外したら、丁寧に引き出します。この時、肝を破かないようにしましょう。
「イカの軟骨」と「残った内蔵」を除去する
1.軟骨はこのようなプラスチックみたいなものが胴体の先まで入っています。
2.軟骨を取ったら流水でかき出しながら洗い流しましょう。
「エンペラ」と「胴体」を指で別々にする
1.イカの先端から、「エンペラ」と「胴体」がつながっている部分に指を入れて、裂きます。
2.裂けた所を持ち、引っ張ります。
3.このような形に分かれます。
この皮の裂け目は本来作らないほうが仕上がりはキレイですが、皮を剥く料理をする時はこの皮がない部分からタオルやキッチンペーパーなどを用いるとキレイに剥がすことが出来るので、このような形にしてみました。
「肝」と「ゲソ」を別ける
1.最初に肝よりも先の部分を切り離し、捨てます。
2.次に目を潰さないように「肝」と「ゲソ」を切り離します。
3.肝についている「イカスミ袋」を取り除きます。
「イカスミ袋」をつまみ上げ、包丁や楊枝などで取り除きます。万が一破れてしまっても、塩辛に入っても問題がないので、安心してください。
4.ここで肝を「漬物用の塩」をたっぷり使い、挟み込むように漬け込みましょう。
殆ど捨ててしまう塩なので、高いものは使わないで大丈夫ですが、それなりの塩を使うことをオススメします。漬けたものはフタかラップをして、冷蔵庫に2時間置いて、臭みを抜いておきます。
5.吸盤を取り除きます。
「ゲソ」は吸盤の舌触りがあまり良くないので、包丁で切り落とすか、流水でしごきながら取ってしまいましょう。
さばいたイカの不要な部分を取り除く
1.「ゲソ」はバラバラにならないように、目のある部分だけを落とします。
2.「エンペラ」は余った皮だけの部分と胴体との接合部を削ぎ落とします。
<
豆知識
エンペラの語源はこの部位がナポレオン皇帝の被っていた帽子に似ていることから、エンペラー(皇帝)と呼ばれるようになったという説があります。
3.胴体の部分はこのように開き、白い皮や残っている内蔵を取ります。
キッチンペーパーやタオルを使って取ると少し楽になります。細かい所が気になる人は爪楊枝で薄皮を取れます。

皿にザルを乗せて、イカに塩を振る
1.部位ごとに全体的に塩を振ります。
広げると場所を取るので、このように重ねて並べても大丈夫です。
2時間経ったら容器を消毒してから調味液を作る
1.煮沸消毒かアルコール消毒を行います。
2.「鷹の爪」を流水で洗い、しっかりと水気を拭き取ります。
3.「塩漬けした肝」の塩を可能な限り取り、絞り出します。
4.「日本酒」を大さじ1~2杯程度入れて、「肝」を伸ばします。その際、溶かしきれなかった肝や皮が残ったら取り除きましょう。
5.好みの塩を入れます。
注意ポイント
全重量に対して10%程度の塩分濃度だと熟成に2週間程度掛かりますが、味が良くなり、長持ちします。逆に、すぐに食べてしまいたい場合は全重量の2%ぐらいでいいですが、1週間以内には食べきるようにしてください。
塩を振ったイカを日本酒で洗ってから、切る
1.ボールに塩を振ったイカを入れ、日本酒をヒタヒタになる程度に注ぎます。
2.しっかりと日本酒で塩を洗い流したら、好みの大きさに切ります。
全て混ぜ合わせて、熟成させる
1.調味液に切ったイカを入れ、よく混ぜます。
2.最後に鷹の爪を入れ、軽く混ぜます。
3.あとは密閉したら冷蔵庫に入れておき、毎日、朝と夜によく混ぜるようにします。
これを行うことにより空気が入り、酵母菌が活性化し、早く熟成してくれます。
4.2週間後には濃厚な塩辛を楽しむことが出来ます。
味をアレンジするのにオススメな調味料
今回紹介したイカの塩辛は実にシンプルです。なので、味の変化が欲しくなった場合にはこれらの調味料を試してみてください。
小分けにして、様々な味を試す手もあるので好みのものを見つけてみてください。
・イカを作った魚醤である「いしり」を少し入れる
・柚子の皮を入れて、香りを良くする。
・柚子胡椒を入れて、ピリっとさせつつ、塩気を足す。
・七味を入れて、複雑な香りを楽しむ。
・ハチミツを入れて、塩辛さをマイルドにする。
・みりんを入れて、上品な甘さをプラスする。
イカの塩辛と組み合わせて欲しいもの
イカの塩辛は日本酒とご飯のお供になりますが、相性がいいものを幾つか紹介します。
ふかしたジャガイモ
すごく合います!1番オススメする食べ方ですね!好みでバターを足すと贅沢な味に変化します。
ふかした里芋(きぬかつぎ)
里芋とスルメイカが旬であり、季節感を楽しみつつも、ねっとりした舌触りがたまらない組み合わせです。
クリームチーズ
イカの塩辛の味がチーズのコクと合わさり、マイルドになります。ですが、高いチーズは勿体無いので、やめましょう(笑)。「kiri」のチーズを1cm角ぐらいにして、合わせるといいでしょう。
まとめ
慣れるとイカの塩辛を作るのはあまり苦労しません。
どちらかというと、毎日2回、混ぜる方が面倒なぐらいかもしれません(笑)。
ですが、材料費が安く、かなり美味しい塩辛を食べられるようになります。
スルメイカの肝が大きくなるのは9月から12月頃です。
横に広いスルメイカを見つけたら、作ってみるのをオススメします。