セールスポイント
・高級素材のみで作られている。
・卵黄を多めに使うことでコクを増やしている。
・和三盆糖と餅米水飴による上品な甘さ。
五三焼かすてら窯元 須崎屋について
1867年、長崎県南島原市に創業した「須崎屋」はカステラの製造に力を入れた製菓メーカーであり、現在は六代目が営業している老舗です。
名物の「五三焼かすてら」は1914年から100年以上販売している製品ですが、2000年になってからは製造方法だけでは無く、材料を吟味し、高級カステラとしてより有名になりました。
五三焼かすてらとは
阿波産の和三盆糖から始まり、島原の雲仙太陽卵(1個約120円)、佐賀の餅米水飴、高級氷砂糖(上一等)などの高級な素材のみで構成している長崎カステラが「五三焼かすてら」です。
安価な氷砂糖は金平糖の製造の要領で大きなドラム型の釜で3,4日加熱させて固めますが、上一等の氷砂糖は徐々に水分を飛ばしながら1ヶ月かけて結晶化させたものなので全くの別物であり、良質な料理・製菓には欠かせんません。
しかし、大きなポイントは材料では無く、五三という商品名に表れている様に、通常のカステラは全卵を使う所、本製品は卵黄の割合を増やし、卵黄:卵白の比率を5:3にしています。
そうすることで卵黄の味わいが強くなり、独特のコクを生み出しますが、通常のカステラよりも卵黄の量が多いことでふんわり・キレイに焼くのが難しくなるので、全て手作業にて1つ1つ製造しています。
極上五三焼かすてらの違い
こちらの製品には国産の烏骨鶏卵(1個400~500円)を使用することで、従来の「五三焼かすてら」よりもコクが増しています。
烏骨鶏卵入と書かれている製品は大抵の製品が普通の卵に申し訳無い程度にブレンドするのが主流ですが、「須崎屋」では烏骨鶏卵100%使用という贅沢の極みとなっています。
又、見た目の美しさにもこだわっており、金箔をあしらい、贈答用に使われることが多いことから、桐箱入りのタイプのみを販売しています。
原材料で見ると「五三焼かすてら」は丸っ切り同じですが、本製品は烏骨鶏卵の味わいを楽しませる為に甘味を抑えています。
レビュー
今回紹介するのは「須崎屋」の「五三焼かすてら 切り落とし3パック」と「極上五三焼かすてら 桐箱入」です。
▼購入したもの。
製造してから5日熟成させてから梱包することで、生地をよりしっとりとさせています。
なので、製造から賞味期限は40日となっていますが、配送時間も考慮すると賞味期限は実質1ヶ月となっています。
▼専用の紙袋付き。
左の大きな紙袋が淡い青色となっており、右の小さめの袋(切り落とし用)が濃い青色と微妙に異なります。
五三焼かすてら 切り落とし
▼1袋に200gで5,6切れ入っている。
切り落としの方は3パックで計600gとボリュームがあり、カステラ約1.5本分ぐらいの重量となります。
取り出した時にはキレイな切り落としが表に入っていますが、底には切り落としらしい見た目がイマイチな製品が入っています。
▼切り落としを盛り付け。
キレイな部位は昔ながらのカステラを彷彿させるドッシリとした卵の味と強い甘味がありますが、卵の質が良いことからコクのある仕上がりになっており、甘さが目立つだけではありません。
不格好な方は写真でも見てわかる様に色合いが濃い部分があり、この場所は卵と砂糖の味わいが一番濃く、焼き立ての伊達巻の様な味わいと匂いが楽しめ、甘党が喜ぶ場所となっています。
卵黄の多いカステラの作り方だからこそ出来る部分であり、切り落としだからこその美味しさがあるのは価格以外にも喜べるポイントですね。
▼ザラメがしっかりと残っている。
最近流行りのフンワリとしたスポンジケーキの様な軽やかな食感ではなく、生地のしっとりさが感じられ、様々な人に味見をして貰いましたが、特にご年配の方に好評でした。
又、上一等の氷砂糖を使っているので長崎カステラらしいザラメの食感も堪能でき、食感に関しても一切不満が無かったので、「五三焼かすてら」の質の高さが本製品からでも見受けられました。
▼米水飴は麦芽水飴とは味が全く違う(須崎屋の使用品とは別メーカー)。
「五三焼かすてら」の特徴の1つとして阿波産の和三盆糖を贅沢に使っている所にあり、阿波産の物は和三盆糖の中でもトップクラスなので、鼻に抜けるようでありながらも上品な風味があり、本製品からも風味を感じられます。
米水飴は食した事がある人が少ないと思いますが、透明な麦芽で作る麦芽水飴とは全く違った味わいであり、甘味はやや控えめですが、粘り気が強く、炊いた玄米の様な独特の風味と複雑な味わいがあります。
シンプルな上白糖や麦芽水飴を使っているカステラもスッキリとした味わいが良いものですが、「須崎屋」の甘味料のチョイスはカステラの味をより一層際立てていますね。
極上五三焼かすてら
▼立派な桐箱。
桐箱の中心の文字は金色に輝いており、送り先には間違い無く、高級品であることが伝わるはずです。
「極上五三焼かすてら」は公式価格で1号サイズ3,564円、通常品は「五三焼かすてら」1号サイズ2,376円と1.5倍も値段が違いますが、冷静に考えてみると通常品も高いカステラですね(笑)。
しかし、贈答用の製品としては5,000円以内で収まりつつ、製品の華美さから覚えが良く、取引先や特別な贈り物としては相当優秀でしょう。
▼包装から取り出すと更に型紙。
過剰包装と言われるかも知れませんが、しっかりとした型に入っていないとカステラは台無しになりがちです。
贈答用なら尚更であり、味が落ちない工夫を万全に行っているのは個人的に好印象でした。
▼金箔の使い方が美しい。
型紙から取り出すとカステラとは思えない華やかさが心を踊らしてくれます。
「須崎屋」のカステラは全てカット済みなので、安心して卓上に持っていくことが出来ますね。
▼盛り付け。
通常の「五三焼かすてら」との違いは本製品の方が米水飴の甘味をグッと抑え、和三盆糖を多めに使うことで烏骨鶏卵の味わいをより活かし、全体的に甘さが控えめになっています。
烏骨鶏卵は色々と料理したことがありますが、通常の鶏卵よりも若干味が濃い目であり、風味はあまり変わらないものの、卵黄も白身も強度があり、鮮度の保ちのよさが印象的でした。
食感が通常品よりふんわりとしている所は烏骨鶏卵を贅沢に使用しているおかげであり、口溶けの良さが増している反面、しっとり感は若干控えめになっていますね(甘さを控えた影響で水分保持力がやや低下)。
▼通常品よりも色が濃い。
烏骨鶏卵の卵黄のコクを損ねない為の構成であり、卵の美味しさを全体的に楽しめ、後味には和三盆糖の風味がフワリとし、後味はいつまでも馥郁たる香りが持続します。
昔ながらのドッシリとした味わいではなく、今どき風の繊細な味わいなので、風味が穏やかな深煎りの緑茶や僅かに薄めのほうじ茶などの組み合わせがオススメですね。
総評
通常品の「五三焼かすてら」は昔ながらの食感と強い甘さがありますが、卵黄のコクが強く反映されており、甘味料に米水飴と和三盆糖を使うことで単純な長崎カステラとは一味違います。
「極上五三焼かすてら」は製品名に恥じないカステラであり、贈答用に使っても大層嬉しがられることが予想できますが、自分でも是非味わって欲しい逸品でした。
カステラ嫌いな人でも『この極上カステラだけは美味しい』と言うほどであり、なんとも贅沢な人だと思いつつも、カステラが好きな人にも大好評な所から単純に高いだけのカステラでないことが分かります。
文明堂のカステラは子供の頃から飽きるほど贈り物で頂きましたが、今では本製品を贈ってくれればと思うほどに良い製品でした。