審査対象 計32品
かなり長くなるので省略してあります。
選ばれた商品は黄色マーカーでチェックしてあります。
全国のうどんと乾麺
歴史上、小麦粉の利用が多かった土地にはうどんを使った文化が定着しており、讃岐うどんや水沢うどん、きしめんなどと例を挙げればキリはありません。
なので、生麺のうどんでランキング記事を作ると実食しきれないので、今回は乾麺に着目してみました。
いつもどおり、うどんのアレコレについて記載しているので、メインの紹介記事だけ読みたい人はこちらをクリップorタップして飛んでください。
うどんのよくある勘違い
うどんにはよくある勘違いが存在しており、この2つは抑えておきましょう。
1.塩気の強いうどん
そばやうどんなどのレビューで良く見かけるのがコレですね。
これは塩分が入っている素麺もそうなのですが、茹でる際にお湯が少ないとうどんに含まれている塩分が麺に多く残ってしまい、塩気のあるうどんに仕上がってしまいます。
最近では説明書やマニュアルを読まない人が多くなり、商品を台無しにすることが多いので調理方法は必ず確認しましょう。
大量にお湯が沸かすのが嫌な人は無塩タイプの麺を使えばいいと思いますが、味が落ちやすいものが多いので当サイトでは一切紹介していません。
2.コシが強い≠麺が硬い
とんこつラーメンがブームになった後は何でも硬い麺で頼む人が出てきており(勿論、合う物もありますが)、その影響なのか硬い食感(煮え方が甘い麺)をコシだと思っている人は珍しく有りません。
コシは硬いだけなのとは異なり、『延びるような張力のある状態』を指しています。
つまり、弾力のある食材を歯で噛んだ時に伸びる歯ごたえがコシとなります。
麺類におけるコシは小麦粉と塩、水を合わせてこねた時に出るグルテンであり、粘りを強くする為に様々な澱粉を加える場合もあります。
様々なうどんの形態と特徴
大きく分類すると「生うどん」「半生うどん」「冷凍茹でうどん」「乾燥うどん」の4種類になります。
半生うどん以外は言葉通り想像しやすいと思いますが、半生うどん以外の性質や特徴を抑えておくと活用方法も変わってきます。
味を求めるなら生麺
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【実食/取寄】家族うどんを自宅で【ざいごうどん/わら家】
・昔から地元民・観光客共に、人気のある老舗うどん屋。
・現地で食べられているうどんと同じものが購入できる。
・非常に強いコシが特徴であり、釜揚げにオススメ。続きを見る
生麺、うどんの場合は生うどんと呼びますが、しっかりと作っているメーカーの生麺は非常に高クオリティな麺を自宅でも楽しむことができます。
ですが、『長持ちしない・茹で時間が長い・値段が高い』と3拍子揃っている為、現代ではスーパーに置いてあっても利用する人は少数派でしょう。
そのまま生麺として置いておく場合は長持ちしませんが、実は冷凍しておけば半年~1年ほど保つので、味に妥協しない人ならば生麺のおとりよせを大量に購入し、冷凍しておけば長期間楽しめます。
ちなみに、細かいことを言うと冷凍してある生うどんのことを『冷凍うどん』と言い、スーパーやコンビニなどで売っている冷凍食品のうどんは『冷凍【茹で】うどん』です。
常温で長期保存出来る半生うどん
生うどんの日持ちがしないのを対策したのが生うどんを少し乾燥させた半生うどんなのですが、レターパックとの相性が良い為、通販でもよく見かける商品です。
1,2ヶ月ほど賞味期限が持ち、密封した袋の利用や酢・酒精などを添加することで常温での管理が可能なものが多いです。
実は優秀な冷凍茹でうどん
自らうどん県と名乗っているうどんの消費量が全国一位の香川県でもテーブルマーク(本店は東京)の冷凍讃岐うどんは非常に評価が高く、日本ならほとんど買えるうどんの1つだと思います。
冷凍うどんは熱湯で茹でた直後、急速冷凍したものなのですが、食感が落ちない様に澱粉がツナギとして加えられており、一部の製品ではタピオカの材料であるキャッサバが使われているのは調理業界では有名です。
本来、細いそばやスパゲッティなどと比べて太いうどんは茹でる時間が長いのですが、冷凍うどんならば少量の熱湯で2,3分あれば完成します。
茹で時間が短く、それなりの太さがある讃岐うどんのコシを楽しむのならこれが一番手っ取り早いのですが、場所を大きくと取ってしまうことが大きなデメリットでしょう。
乾燥うどん
賞味期限が1年以上保ち、乾燥されているので場所も取らず、乾麺特有の食感を楽しめるのがメリットです。
ただし、他のうどんと比べると細いものが主流であり、讃岐うどんと明記されている商品でも太さとコシもほとんどの商品では別物となります。
伝統的な日本の手延製法で作っている乾麺である五島うどんは素麺と同様に油を用いており、稲庭うどんや氷見うどんの様に油を使わない手延うどんも存在しています。
乾麺でしか存在しないうどんがあるのは大きな特徴であり、生麺に負けない日本の乾燥パスタと言えるでしょう。
厳選乾燥うどんランキング
まだまだ、調査中なので暫定ランキングになりますが、味と値段のバランスを考慮した上で順位付けをしています。
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【実食/取寄】喉越しが良い「絹肌の貴婦人」【三木屋/レシピ付き】
・常に手延べ麺の研究をしている。
・素材や器具にこだわりを持っている。
・多種多様な麺を扱っている。続きを見る
こちらは以前紹介したうどんなので、ランキングには反映させていませんが、こちらも美味です。
1位 本場の本物 五島手延うどん/(株)長崎五島うどん
五島うどんは長崎県五島列島で作られている『乾麺』であり、素麺と同様に油を用いた手延製法で作られていますが、五島うどんでは椿油が使われているのが特徴です。
その為、包丁で麺を切らないことにより断面が丸くなっており、伸びにくい特徴があり、モチモチとした食感とコシが非常に強くなっています。
こちらの製品は「(株)長崎五島うどん」が製造している中で一番グレードの高い商品であり、伝統的な手法で製造し、国産小麦で作っています。
▼麺は丸く、細長い。
五島うどんの中で評価が高く、管理人の好みもあるでしょうが数ある乾燥うどんの中でも一つ抜きん出た商品だと感じました。
ほのかな椿油の香りと小麦粉の熟成した旨味と風味が非常に良いので、シンプルに醤油をぶっかけて食べるのが一番麺を楽しめます。
▼茹で上がりも細い。
長崎名物の地獄炊きという料理は大鍋で茹でたうどんをそのまま食卓に出し、醤油やアゴ出汁などに薬味を添えて食しますが、コレも非常にオススメですね。
▼非常に伸びにくく、用途は幅広い。
コシがかなり強いので、啜って飲み込む麺類ではなく、しっかりと噛んで楽しむ麺だと思っているのですが、こちらの製品はいずれの食べ方を行ってもかなり麺が伸びにくいのが大きな特徴ですね。
なので、ゆっくり食べても味を損ねることがなく、地獄炊きや釜揚げなどのスタイルでもコシは弱くなりません。
2位 氷見うどん 細麺 国内産小麦100%使用/海津屋
氷見うどんは富山県氷見市の名物であり、油を塗らずに熟成させ、しっかりと足踏みで作られているので独特なモチの様なコシが感じられるのが特徴です。
海津屋では細麺、極細めん、太麺などとかなりの種類が用意されていますが、一番グレードの高い国内産小麦100%使用のものを選びました。
▼この様に小さい孔があるのが特徴。
海津屋のHPから画像を引用させて頂いています。
調理する前には気が付かなかったので実物の写真がないのですが、氷見うどんの製造工程において出来る気泡により、独特の食感が生み出されています。
▼稲庭うどんより少し厚みがある。
油を使っていない手延製法ですが、驚くほどツルリとした舌触りを楽しめ、公式でもモチの様な歯ごたえと言われている通り、独特の伸びるコシは氷見うどんならではですね。
小麦粉の風味の良さ・甘みはトップクラスであり、高級パスタと同様にそのまま食べるとよくある乾燥うどんとの差に驚くはずです。
又、コシがしっかりしている麺なので、茹で上がった状態が長くキープされます。
▼やはり、シンプルに食べるのがオススメ。
茹で上がった麺を水で〆てから、温かい汁をたっぷりかけて薬味をパラリ…。
全ての乾麺に共通していますが、品質の良い乾麺はゴテゴテとトッピングをせずに、良い麺つゆや醤油などで麺の風味を十全に堪能して欲しいです!
現時点(2020/11/28)では、先述した五島うどんとこちらの氷見うどんの品質が他と大きく差を付けている程に、小麦粉の良さと独特の歯ごたえを楽しめる商品ですね。
3位 ひもかわうどん/星野物産
ひもかわうどん(桐生うどん)は群馬県桐生の郷土料理の1つであり、幅が広い上に薄いうどんであり、小さいものでは5mmから、中には150mmを超える尋常じゃないサイズもあるそうです。
本製品は出来上がりが約30mmと比較的食べやすいサイズになっており、幅が狭すぎることがないのできしめんとの違いがハッキリと感じやすいのが嬉しいですね。
▼茹で上がった麺。
表面は滑らかであり、ピラピラとした独特の生地はシャッキリとしているので、コシはあまり強くはなく、柔らかいモッチリとした歯ごたえと幅広い形状を楽しむ麺です。
通常のひもかわうどんと異なり、麺に凹凸があるもみ切り打ち製法という特色を持っており、2種類の歯ごたえを1本ごとに楽しめるのがこの商品を推す理由の1つとなっています。
▼坦々麺風うどん。
通常のうどんではザルや蒸籠などに載せてもそこまでは気になりませんが、こちらは兎に角、くっつきやすいというデメリットがあるのでつけ汁は多めにして食べることを推奨します。
上の料理では具材だけではなく、薄く伸ばした鶏ガラスープを入れることでくっつきやすい欠点を克服しています。
小麦粉の味が1袋200円前後の割には風味がかなり良く、強めのスープとも組み合わせられるので、変わったものや料理好きにオススメの乾燥うどんですね。
4位 稲庭屋 いなにわうどん
ハシの様な細い棒を使って、生地を徐々に細くしていく手延製法で作られたうどんの1つです。
打ち粉としてデンプンを使い、ひねりながら練るという独特の手捏ねにより、麺の中に気泡が生まれます。
そのため滑らかな食感が得られ、足踏みを行わない為に乾麺のうどんの中でも柔らかいのが特徴ですね。
▼平らで幅も狭め。
色々な稲庭うどんを試していますが、こちらは風味と甘味が他社よりも優れているのでピックアップしました。
稲庭饂飩は全体的に歯ごたえが優しく、五島うどんとは真逆の性質となっていますが、こちらは稲庭饂飩にしてはわずかに歯ごたえがありました。
冷やしてザルにするもの良いですが、温かいうどんで食べる方が稲庭饂飩は香りと甘味が引き立つ様な気がします。
濃口醤油を使った関東風の汁よりも薄口醤油がメインの関西風の汁だと十全に本製品の味わいを堪能できます。
本場秋田では濃口メインなのですが、主観では薄口の方が良いと感じました。
▼製造工程に出来る端の部分。
写真は他社製品になりますが、未だに手製が多い稲庭饂飩においては訳アリ品や切落しが各メーカーから高確率で販売されており、正規品よりも安くなっています。
通販だけではなく、スーパーや百貨店などでもこの様な製品は安くなっているので人気がありますが、正規品の方が舌触りと風味は流石に上となっています。
味や見た目などを求めるか、それなりの値段でしっかりと量を楽しみたいなどと用途にあった商品選びをすると良いでしょう。
5位 さがえのうどん/安孫子製麺
通販でもレビューがほぼ全く無い商品でしたが、今回のダークホース的な存在です(笑)。
リーズナブルな部類に入る商品ですが、小麦粉の風味と甘みは値段から鑑みると信じられません。
▼乾麺の讃岐うどんに似ている。
先述したうどんに比べると驚くほど特徴はないですが、シンプルに食べてもよく、色々な料理に使っても主張しない万能選手といった印象でした。
6位 うどん県のうどん/讃岐物産
一般的に想像するのは5mm程度の太さで、断面が四角いものだと思いますが、乾麺の場合は茹で時間が極端になることからほとんどの乾燥うどんでは薄めの長方形になっています。
川田製麺の讃岐うどんの方が生麺のイメージに近い商品ですが、「うどん県のうどん」の方がわずかに味と香りが良かったのでこちらを勧めています。
又、本格的な讃岐うどんに近い太さになると茹で時間が15分前後になりますが、本製品は薄めなので茹で時間は10分で済みます。
▼想像の讃岐うどんよりも薄い麺。
コシよりもモチモチとした食感がメインであり、冷たいものから温かいものまでオールラウンドに活躍出来ます。
個人的な意見で言うと讃岐うどんの冷凍茹でうどんの方が味やコストではオススメですが、冷凍庫の専有率が高いので、こちらを選ぶ利点は十分にあります。
総評
当サイトでは様々な乾麺を紹介していますが、うどんは比較的値段と味の質が比例している物が多く、高いものを頼んで失敗したものはありませんでした。
だからといって、そばやパスタと違い、安物買いの銭失いといった商品はかなり少なかったです。
しかし、特色のある干しうどんは生うどんでは代用出来ないので、今回は風味豊かな高級乾麺を中心にオススメしました。