セールスポイント
・和三盆糖をたっぷり使用した和菓子。
・各種フレーバーが和三盆糖とよく合っている。
・よく茶道にて使用されている滋賀県銘菓。
いと重菓舗について
1809年、滋賀県彦根市に創立した「いと重菓舗(以下、いと重)」は200年以上の歴史を持つ老舗和菓子屋であり、和菓子と洋菓子を製造しているメーカーです。
観光地の近くにある有名な店として紹介されているので観光客にも人気ですが、地元の方に特に愛されている和菓子屋となっています。
埋れ木について
「埋れ木」は白あんを包んだ求肥に、徳島県阿波産の和三盆糖をたっぷり使った抹茶パウダーが掛かっている和菓子です。
滋賀県の銘菓として名高い「埋れ木」という製品名は井伊直弼が青年時代を過ごした家「埋木舎(うもれぎのや)から名を引用しており、当時の「いと重」店主と仲の良い関係であったそうです。
茶道に力を入れていた文化人である井伊直弼は「いと重」の菓子を重宝していた事もあり、現在でも茶道の教室などでは「埋れ木」を主菓子として出す所がある程、茶人に愛用されています。
今回は通常品の「埋れ木」、濃茶用の抹茶を使用した「埋れ木御濃茶」、季節限定(3~5月ぐらい)の「埋れ木さくら」の3種類を購入しました。
夏にはレモンを使用した「埋れ木暑気払い」、秋にはほうじ茶パウダーを使った「埋れ木ほうじ茶」、秋冬は「埋れ木きなこ」があります。
レビュー
今回紹介するのは「いと重菓舗」の「埋れ木3種」です。
▼いろいろな製品を購入。
手前左が「埋れ木」と「埋れ木さくら」の詰め合わせ、手前右側が「埋れ木御濃茶」となっています。
奥の細長い箱は「茶あわせ」という抹茶チョコレートを挟んだダックワーズでしたが、イマイチだった為、今回は「埋れ木」のみを紹介する事にしました。
▼パッケージ。
左が詰め合わせのもの、右が「埋れ木御濃茶」の化粧箱です。
▼詰め合わせの中身。
非常に乾燥に弱い和菓子である為、通常便でしか届かず(冷凍品との同梱不可)、賞味期限も1週間と短めです。
▼埋れ木御濃茶の中身。
3個セットを基本に包装されているので、封を切ったらすぐに食べる様にしましょう。
保存する際には求肥が硬くならない様に常温保存が基本となっています。
埋れ木
「埋れ木」の求肥は数ある和菓子の中でもギュッとした歯応えが強いですが、弾力を楽しんでいる内に周りの和三盆糖と抹茶がすぐに口の中で馴染んでき、立てたての薄茶と生菓子を同時に味わっている様な雰囲気になります。
そうすると、良質な和三盆特有の口溶けの良さと鼻を抜ける様な独特な風味と一緒に抹茶の優しい香りが同時に楽しめます。
甘さは「埋れ木」全体に言えることですが、昨今の菓子と比べると比較的強めになっており、小豆や白手亡豆などのあんことしての美味しさよりも砂糖自体の美味しさに着目した作りになっていますね。
▼カットしたもの。
後味は和三盆糖の印象が強く残るぐらいに感じることが出来ますが、この秘密が中身にあり、断面を見ると白あんでありながらも杏子の様な色合いをしていることがわかります。
これは白あんを製造する際に白砂糖だけではなく、たっぷりの和三盆を使用している現れであり、和三盆の風味を最初から最後まで味わえる、他の和菓子にはない魅力を生み出しています。
埋れ木御濃茶
今では通常品よりも人気がある本製品は和三盆糖と抹茶が口の中で渾然一体になった瞬間に抹茶の風味が一気に口の中で広がり、抹茶好きには堪らない旨味と奥深さがあります。
一口に抹茶と言っても様々な製品が販売されており、日本の半分以上の実態は緑茶の粉末(法律では抹茶の表記でもOK)ですが、流石に立派な濃茶用の抹茶なので香り高いですね。
使用している白あんは「埋れ木」と同様ですが、抹茶の味が強めになっている為、甘さはやや控えめになっている印象ですが、今どきの和菓子としてはやはり甘味が強めな部類でしょう。
「埋れ木」の場合は抹茶の風味が極端に強い訳ではないので、様々なお茶と併せることが出来ますが、「埋れ木御濃茶」の場合には緑茶だとメリハリが付かないので、ほうじ茶がオススメですね。
埋れ木さくら
桜の風味がしっかりとしている「埋れ木さくら」は抹茶のシンプルな味わいと異なり、桜の花に含まれる匂いと酸味が春を感じさせます。
そうでありながらも、和三盆の風味は損ねず、他のラインナップと同様に求肥の弾力と力強い白あんの味わいを楽しめるのが良いですね。
季節限定商品となっている為、機会があれば管理人の様に3種類一気に食べ比べすると楽しいと思います。
和三盆をたっぷり含んだ粉末が剥がれにくい理由としては求肥の周りに蜜(砂糖水)を塗ってあるからであり、この蜜が「埋れ木」特有の求肥のしっかりとした歯応えを損ねず、しっとりとさせています。
総評
徳島県の中でも一等級の和三盆糖を味わったことがないと『おいしい砂糖』というのが想像し難いかも知れませんが、スプーン印の白砂糖の十倍の値段をしていても納得する程に、砂糖の世界も奥深いです。
だからこそ、白あんを使った和菓子としては高めの値段になってしまうのですが、ここまで贅沢に和三盆を使っている菓子は無く、素材の良さを十分に引き出していると感じました。
茶道の菓子選びに困っている人にもオススメ出来ますが、よくある定番の和菓子ではなく、目新しさを感じたい人にも試してもらいたいですね。