本レシピのポイント
・水加減で失敗しにくい。
・具材の旨味が抜けすぎない。
・ご飯にも味がしっかりと入る。
・炊き込みご飯と混ぜご飯のいい所を取っている。
・ほとんどの炊き込みご飯に対応出来る。
炊き込みご飯と混ぜご飯
五目ご飯や五目めし、かやくご飯など様々な名称を持つ炊き込みご飯は具材とご飯を同時に加熱調理出来る便利な調理方法です。
一方、混ぜご飯は通常の炊きたてご飯に調味した具材を混ぜ込む調理方法であり、わかめご飯やひじきご飯などにあたります。
炊き込みご飯はいい出汁がご飯に染み込むのですが、いかんせん小さめに具材を切るため、肝心の具の味がスカスカになりやすい傾向にあり、水加減が面倒です。
混ぜご飯は具材を適度に加熱するので、具材自体の味は良いのですが、出汁がご飯にあまり染み込まず、キレイに混ぜるのが大変です。
この様に各種調理方法にあるデメリットを解決するのが本記事のメインコンテンツとなっています。
具材軽量と水分量の加減は面倒
混ぜご飯の場合はそこまで水加減を気にしなくとも済みますが、炊き込みご飯の場合は具材の量や質によって水分量を1割、2割と減らす必要性が出て来ます。
ネットによくある炊き込みご飯のレシピでは細かく具材の量や水分量などが細かく記載されていますが、『いちいち全部計量するのとかやってらんねえよ!(笑)』というのが管理人の本音です。
しかも、炊飯器の種類や土鍋、通常の鍋などと使う器具は家庭や現場によって様々です。
それらを一切無視して安定した炊き込みご飯を作るために今回は加熱しすぎると味が落ちる牡蠣を用いてレシピと手法を紹介します。
材料とポイント
白米(無洗米) 2合
※今回はつや姫を使用。
加熱調理用牡蠣 150g
小麦粉 大さじ1
A
好みの出汁 200cc
氷 適量
濃口醤油 大さじ1
本味醂 大さじ1
酒 大さじ1
塩 小さじ1/4(約1.3g)
※塩気は出汁パックや白だしを使う場合は要加減。
基本的には無洗米を使うことと少なめの煮汁で具材を煮るという2点さえ覚えておけば、五目ご飯だろうとタケノコご飯だろうと失敗することは無くなります。
無洗米を使う理由としては米を研いでから水を切るという作業をすると品質が均一になりにくいからです。
無洗米はキレイに研磨された精白米であり、ぬかがないので洗う必要がありません。
洗米させてから水を切るという作業では米にヒビを入れさせる可能性があり、米自体の味を劣化させる上、洗米にかけた時間や水温によって吸水した水分量が異なります。
白ごはんもそうですが、炊きあがりが安定しない人は無洗米を利用し、洗米せずに水分量を炊飯器の目盛りに合わせて、加減しながら炊くと良いでしょう。
牡蠣で覚えておくと良い知識
牡蠣ごはんに限らずですが、加熱調理用と生食用牡蠣は完璧に用途を分けてください。
生食用牡蠣は殺菌するためにオゾン殺菌水などを使用し、ノロウイルスを殺菌していますが、加熱用と比べると味が落ちます。
これは生食するための規格基準があり、条件を満たすには数日間かけて牡蠣を絶食状態にさせながら殺菌していくからです。
一方、加熱調理用の牡蠣はノロウイルスを殺菌をしていませんが、余計なことをしていないので鮮度が良いのが特徴です。
『生牡蠣用だから新鮮!』という思い込みをしている人が多数いますが、実際には逆であるということを覚えておきましょう。
牡蠣の下処理
1.ボールに牡蠣と小麦粉を入れてむらなく合わせる。
小麦粉以外では大根おろしを使うのがメジャーな方法です。
2.少量の水をいれて優しく洗う。
3.何度か水を変えながら小麦粉と汚れを丁寧に取っていく。
牡蠣はこれだけ汚れがある貝類なので、必ず洗浄作業は行うようにしましょう。
4.しっかりと水を切る。
具材(牡蠣)を煮る
1.好みの出汁を取り、Aの調味料をすべて入れる。
出汁パックを使う場合には塩分が入っているものが多いので、塩加減には注意しましょう。
2.軽く煮立てた鍋に牡蠣を入れて弱火で3,4分加熱する。
1の工程ぐらい沸かした所に牡蠣を入れ、弱火で加熱するのがふっくらと仕上げるコツです。
加熱時間はコンロや鍋によって違うので、このレシピに記載している時間は目安にしてください。
3.最後に軽く沸騰するぐらい1,2分加熱する。
ノロウイルスの殺菌温度は大量調理マニュアルという給食や食堂などに採用されている衛生基準では中心温度が90℃以上で1分以上となっています。
それらの可能性を考慮し、最初にゆっくりと牡蠣を加熱し、最後にノロウイルスを殺菌するために温度を上げます。
これぐらい煮る程度ならまだまだふっくらと仕上がりますが、始終この火力でやると硬くなってしまうので、2の工程だけ弱火で煮ていきましょう。
4.アクを取ったら具材と煮汁を完璧に別ける。
ポイント
ここで具材に汁気が多すぎると最後にご飯と合わせた時にベショッと仕上がることが考えられるので、丁寧に別けてください。
五目ご飯の様に具材が細かいときはザルを利用する方が無難ですね。
煮汁で炊き込む
1.先程取った出汁に氷を入れて冷やす。
米を炊く時に温かい水や熱湯を使って調理することを湯炊きと言って、品質が落ちやすいので調理師は嫌います。
ですが、冷ます手間と時間がかかり、多くのレシピではあまり対策をしていない傾向にあります。
そこで、少量の煮汁で具材を煮て、氷で一気に冷やしてしまうことで調理時間を大幅に短縮することが出来ます。
今回の分量ならば製氷皿で10個分ぐらいの量で十分冷えます。
2.無洗米と煮汁を炊飯釜に入れる。
この炊飯釜では赤いラインの部分が2合分の水分量となっており、まだまだ水分が余裕で入ることがわかります。
3.炊飯器の目盛りに合わせて水を足す。
4.好みの炊き方を選んで炊く。
ポイント
炊飯器には様々なモードがありますが、基本的には白米を炊く時と同じセッティングで大丈夫です。
調理時間が長めだとおこげが出来やすい傾向になると思われます。
5.炊きあがったらご飯をほぐす。
▼おこげは軽く付く程度になりました。
6.煮た具材を炊飯器に入れる。
ポイント
具材は冷めてしまっているので、炊飯器に入れてフタをして温めます。
牡蠣の場合は身が崩れるので混ぜ込みませんが、五目ご飯などの細かい具材のときは混ぜてしまいましょう。
盛り付け
写真を見ればわかる様に特別大きな牡蠣ではなかったですが、縮まずにぷっくりと仕上がっていることがわかると思います。
濃いめの味付けで煮ているので具材に味が染みているのも、この作り方ならではのメリットの1つですね。
おこげが出来たときは釜飯と同様に香りがよくなり、お茶漬けとして食べても非常に美味しいです。
まとめ
この調理方法は調理師としては特別珍しい方法ではありませんが、失敗しない調理方法でありながらも、具材と米の美味しさを全力で引き出すことが出来るのが利点です。
今回は牡蠣ごはんにしましたが、大抵の炊き込みご飯ではこの手でほとんどは上手に作ることが出来ます。
家庭で100~1000食作ることはないでしょうが、それぐらい作っても安定して作れるのも強みですね。