審査対象 33品5選(順不同)
選ばれた製品は太字。
料亭白だし 萬藤
特選料亭白だし 七福醸造
特選料亭白だし 四季の彩り 七福醸造
白だし にんべん
白だしゴールド にんべん
料亭の味白だし フンドーキン
プロが使う味 白だし ミツカン
創味の白だし 白醤油仕立て 創味
昆布つゆ白だし ヤマサ
白だし 茅乃舎
白だし ヤマキ
割烹白だし ヤマキ
料理人直伝極み白だし キッコーマン
京風割烹 白だし ヒガシマル醤油
鰹節屋の 白だし マルトモ
万能白つゆ 隠し味 味どうらくの里
あごだし入白だし 久原
三河白だし 日東醸造
無添加 オーサワの白だし オーサワ
白だし お吸い物のつゆ 川中醤油
人形町今半 白だし 今半
京風だしの素うすいろ チョーコー
アコメヤの白だし AKOMEYA
天翔割烹白だし マルテン
特殊な白だし
地鶏昆布白だし ミツカン
鶏白だし フンドーキン
礼文だし 島の人
蛤と帆立白だし ヒガシマル
ねこんぶだし 美味いもの市
白だしかき醤油 アサムラサキ
四穀白だし にんべん
京さわらの白だし 板前酒造
醤油を使わずに厚削り一番だしと焼あごだしで仕上げた白だし 桃屋
本記事について
本記事を作成する時点で4年ほどかけてじっくりと白だしを試しましたが、良質な白だしはスーパーでは中々手に入らないという結論に達しました。
勿論、市販品を愛用している人もいるのでしょうが、管理人は安い白だしは化学調味料ばかりが先行した味が苦手すぎて、全く気に入りませんでした。
今回選出した白だしは少数ですが、和食が好きな人にオススメ出来るラインナップを揃えており、中には完全無添加の製品も紹介しています。
この手の商品では減塩タイプは化学調味料と保存料が更に増える傾向にあるので、試食(試飲)は含んでいません。
そもそも白だしとは?
白だしの『白』は何を指しているかというと、塩や薄口醤油(淡口醤油)、白醤油(大豆をあまり使わずに、小麦粉で作った醤油)で味付けすることにより、透き通った色に仕上がるからです。
白だしに使われている出汁に決まりはありませんが、鰹節・昆布・椎茸などの定番素材が多く、高級になるほど素材がシンプルになっていく傾向があります。
元々は和食の職人が『茶碗蒸しを作るたびに冷えた出汁を取るのが大変だから作ってくれ』という願いから開発され、今でこそ一般的な調味料の仲間入りを果たしましたが、元々は業務用の製品でした。
一般的には業務用が安物で、市販品がそれなりのものが多いという印象があるかもしれませんが、白だしに関しては料亭で使われているのが主だった為、昔からある業務用は高品質となっています。
ストレートタイプは現在販売されておらず、出汁と塩分を凝縮した希釈・濃縮タイプの製品だけが白だしとして販売されています。
白だしと出汁パックを使い分けると便利
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【プロが29品実食比較】究極の出汁パックを厳選紹介
・出汁にうるさい調理師である管理人が3年以上かけて出汁パックを研究した記事です。
続きを見る
以前、出汁パックの比較記事を紹介しましたが、引き立ての出汁は香りが良く、無塩分、粉末で利用出来るのが大きなメリットでした。
一方、白だしに関しては絶対に塩分が入りますが、その代わり、圧倒的な強い旨味と出汁を冷やす手間が必要ないのが便利です。
2つの商品を1つずつ持っていれば和食づくりがかなり楽になり、時間の短縮にも役立ちます。
又、白だしと出汁パックを併用することで両方の良さを活かすことが可能であり、この場合には濃口醤油と味噌を使った料理も作りやすく、減塩食にも役立ちます。
調理師厳選の白だし5選
基本的な選び方としては化学調味料があまりにも強い製品は和食にはそぐわないと考えているので、高級品が多く選ばれた印象があります。
主に評価したポイントが『旨味のバランス』『料理の幅を広げることが出来る』の2つです。
選出した白だしはメーカー・コンセプトごとに項目を区分しており、「七福醸造のラインナップ」「完全無添加の白だし(酵母エキスも不使用)」「特殊な白だし」の3つに分けました。
元祖白だし 七福醸造の製品
白だしを最初に独自開発したのが「七福醸造」であり、ある料亭の板前から『茶碗蒸しを作るのに出汁を作って冷ますのが大変だから、白醤油に出汁を入れたものを作って欲しい』という依頼から白だしが生まれました。
依頼主が昔の料亭だったこともあり、中途半端な素材を使うことが許されず、プロが納得できる品質になった結果、値段は少々高くとも立派な味がする新たな調味料が完成しました。
元祖というと時代に取り残された、または、ただの売り文句/あやかり商法でしかない製品が日本には溢れかえっていますが、こちらは元祖でありながらも現代でもハイクラスの品質を維持している素晴らしいメーカーです。
七福醸造の製品は全体的に旨味が強いので、温かいうどんの汁にしても物足りなく、油かすを入れた「かすうどん」はシンプルながらも非常に美味しく食べられます。
特選料亭白だし
鰹の本枯節・鰹の荒節・鯵節・宗田鰹節・マグロ節・昆布・干し椎茸...と日本全国で愛されている素材を万遍なく取り入れ、有機白醤油と三河みりんを使った贅沢な白だしです。
元祖白だしかつ最初に出た商品ながらも30年以上のロングセラー商品であり、しっかりとした味付けと旨味を堪能したい人に選ばれています。
どれかが主張した出汁ではなく、全ての旨味と香り、塩気のバランスが見事にまとまっており、吸い物からだし巻き卵、茶碗蒸し、隠し味、天ぷらなどと色を付けない料理にはほとんど使えます。
萬藤 料亭白だし
東京は浅草の乾物問屋「萬藤」と「七福醸造」が共同開発した白だしであり、関東圏の店で取り扱っている「七福醸造」の白だしはこちらの方が見かけるはずです。
「特選料亭白だし」と味を比べてみると味の差は僅かに上といったところですが、確実に「萬藤 料亭白だし」の方が美味しいと言えるので、管理人はこちらの白だしを良く購入しています。
市販品の白だしと比べると値段が高いと感じるかもしれませんが、このクラスの白だしの中ではむしろリーズナブルなので、安い白だしに不満がある人はまずこのメーカーの白だしを購入するのを推奨します。
四季の彩り
「特選料亭白だし」の出汁をより贅沢に使用し、かつ塩気をマイルドにしたハイグレード品です。
本枯節の割合が増え、より旨味が増えた本製品は吸い物と茶碗蒸しにした時には「特選料亭白だし」と比べるとハッキリとわかるはずです。
普段は「萬藤 亭白だし」を使っていますが、「四季の彩り」の方が味は上となっており、紹介した順番に美味しいと考えてもらって大丈夫です。
実は先述した2つの商品よりもよりも公式ショップにて格安で購入できるので、先にこちらを試してみてください。
完全無添加の白だし
全て自然の物だけで製造している商品群であり、料理に普段力を入れている人にオススメしやすい高級品です。
素材を際立ててくれる縁の下の力持ちに近い白だしが多く、上品な味を作りやすいですね。
アコメヤの白だし まぐろ/のどぐろ/焼あご
マグロ節は鰹節よりも上品な味わいであり、風味が穏やかななので素材を引き立てたい場合に料理に使います。
そのマグロ節の中でも血合いを取り除いた本枯節と最上級のマグロ節をたっぷりと使い、薄口醤油をメインにした味わいに砂糖や味醂などで味を整えた贅沢な商品です。
完全無添加かつ鰹節を一切使っていない為、料理上手や通好みの味わいとなっており、万人受けする商品ではないでしょうが、使いこなせると味のレパートリーを確実に増やすことが出来ます。
塩気がかなり強めかつ、上品なだしなので隠し味として使うのではなく、素材を引き立てるメインの出汁として使える浅漬やそぼろ煮などの上品な料理に使うのがオススメです。
マグロ節以外にものどぐろや焼あごをベースにした商品がラインナップにあり、一味違った料理では確実に役立ちます。
三河白だし 日東醸造
愛知県の「日東醸造」といえば「足助仕込み三河しろたまり」があまりにも有名であり、「しろたまり」とは大豆を使わず、小麦粉と天然塩、麹で作る特殊な薄口醤油です。
この醤油とこれまた有名な愛知県の名産品「三州三河みりん」を調合し、枕崎産本鰹・北海道産真昆布・愛知県干し椎茸で引いた出汁をブレンドしてある完全無添加かつ全て国産素材の白だしです。
「しろたまり」は大豆を使った薄口醤油よりもやや旨味が少ないですが、素材を引き立て、ほんのりと甘さを感じる優しい味は良質な素材を更なる高みに持っていくことが出来ます。
そこに、高品質な出汁を加えることで小麦粉の穏やかな風味と鰹節の香りを楽しめ、他の製品では代用の効かない逸品ですね。
この手の商品にしては珍しく、塩気がややマイルドになっているので、様々な料理の隠し味に使え、従来の目的通りに吸い物・卵焼き・茶碗蒸しなどにも活躍します。
特殊な白だし
▲そば粉を使った鶏の竜田揚げの下味に。
特殊な白だしは鶏や帆立などの従来の白だしに強い要素を加えたものを本記事では指しています。
白だしというカテゴリーからは恐らく除外されますが、似たような製品もこちらの項目に含めています。
現在、オススメというほどの商品はありませんが、昆布出汁ブームの火付け役である「ねこぶだし」は外せないので記載しておきます。
ねこぶだし
よくテレビの通販でも販売されている人気商品であり、昆布と鰹節の比率を逆転させた白だしというコンセプトが近いでしょう。
昆布がメインとなっているので、汁にはほんのりとトロミがあり、昆布の香りが強く漂ってきます。
汁物に使う場合にはメインとなる出汁、例えば鰹節や鶏肉・豚肉が入っている汁物などに使う分には構いませんが、これ一本だけで吸い物を作ると昆布臭く仕上がってしまいます。
オススメの使い方としては沖縄料理の昆布の代わりに、少し旨味が物足りなかった時に忍ばせる様にします。
あまりにもブームになった為、根昆布だし・ねこんぶだしなどと似た名前の商品が多数あります。
総評
1番いい商品については各自の好みと使い方で決まるので、一概に言えないですが、1本300~400円前後の製品は化学調味料がかなり効いているので、和食の出汁の真髄を味わえません。
調理師である管理人は普段から現場だけではなく、家でも出汁を取っているので、鰹節や昆布などを取り扱うのを手間と感じることがありませんが、冷たい出汁を作る場合だけは手間が掛かると言えます。
冷たい出汁は洋食ではそこまで出番がありませんが、日本食の場合は定番のだし巻き卵から始まり、茶碗蒸し、お浸し、トロロ、粉ものなどと冷たい汁物以外にも必要な場面が多数あります。
なので、最初に使ってみる1本目は汎用性の高い「七福醸造」の製品か、上品な料理を作る人向けの完全無添加である「三河白だし」が良いですね。