セールスポイント
・良質な小麦粉のおかげで麺の風味と甘味が良い。
・本生うどんと完全無添加の昔ながらの料理のみ。
・だし巻き卵や牛すじなどのサイドメニューが豊富。
和ぁさんについて
2004年、徳島県美馬市に創立された「和ぁさん」はセルフ形式のうどん屋であり、香川県の讃岐うどんを販売している飲食店です。
讃岐出身の祖父はうどんの名人であり、その技術を継承した孫娘「和ぁさん」が阿波と讃岐の美味しさを表現する為にコシが強すぎないうどんを提供しているのが特徴です。
こだわりのポイントとしては完全無添加の昔ながらの製造方法である出汁やお惣菜、そして、本当の生うどんを販売していることでしょう。
本当の生うどんとは?
「和ぁさん」の販売しているうどんは塩水と北海道産小麦粉100%だけで打った無添加本生うどんであり、切立をクール便で送ってくれるので鮮度が違います。
実は通販で販売されているものは生うどんと称しておきながらも、賞味期限の長い乾燥させた半生うどんを提供していたり、アルコールや保存料を添加した製品が多数となっています(物によってはそれでも美味ですが)。
しかし、うどんは適切な水分量があり、切立ほど美味しいことから「和ぁさん」では完全受注生産を採用しています。
通常の讃岐うどんとよりもコシが若干弱めなのがポイントであり、冷やして食べた場合でも硬すぎない仕上がりなのも嬉しいポイントですね。
こだわりのブレンド出汁
たっぷりのいりこ(煮干し)を一晩水に漬け、鯖節・うるめ節・めぢか(宗田鰹)節・鰹節・昆布・イカなどをブレンドした出汁であり、店の様々な料理に使用しています。
こちらの出汁は和ぁさんの祖母が作りだしたものを受け継いでおり、醤油・本味醂・日本酒・黒糖(波照間島産)・魚醤などを味付けに使うことで複雑かつ豊かな旨味を作り出しています。
上記の材料は「かけうどん出汁」として単品販売もされており、他にも「ざる」「ぶっかけうどん出汁」「釜揚げうどん出汁」「かまたまうどん出汁」と料理ごとに味付けを変えています。
加えて、濃縮タイプや冷凍された物ではなく、そのまま使えるストレートタイプなので風味が飛んでおらず、贅沢な味わいを楽しむことが出来ます。
讃岐うどんのコシについて
うどんのコシは硬さのことではなく、噛んだ時にクニュと口の中で伸びる弾力のことを指しており、外側はモッチリ・内側はギッチリしています。
非常に力強くうどんの生地を練ることにより、コシの要因であるグルテンを強め、更に生地を熟成させることでグルテンの構造をより強固にすることで特有の歯応えが生まれます。
かつて、とんこつラーメンの硬めに茹でた半生気味の麺が全国的に人気になった影響なのか、コシ=麺が硬いと思いこんでいる人は多数居ます。
実際には讃岐うどんは完全に煮えても歯応えが残るのが特性ですが、全国様々のうどんは形状や練り方で味や食感の変化をもたらしており、塩水と小麦粉だけとはいえ奥深い世界ですね。
レビュー
今回紹介するのは「和ぁさん」の色々な製品です。
▼専用ダンボール。
商品は冷蔵便で届く上、うどんの賞味期限が短い為、受け取り損ねには気をつけてください。
▼開封したもの。
いずれの製品も冷凍が可能であり、うどんは1ヶ月前後保つと言われていますが、上手に保存すればより長持ちさせることが出来ます。
内容
生うどん(240g) 10袋
大きな油揚げ(2枚) 1袋
だしまき卵 1個
さらさら天かす 1袋
かけうどんだし(2人前) 1袋
ざる・ぶっかけだし(2人前) 1袋
特製出汁醤油(4人前) 1個
4種のおさかな自家製佃煮 1個
小ねぎ 数本
かなり大量に購入(6,000円以上)したのでオマケを数品頂きましたが、必ずしも付くわけではない点については留意してください。
もらったネギはなんと自家製の製品であり、実店舗の近くの畑で栽培していますが、こちらがまさかの良質なものでした。
この手の薬味は鮮度も品質も残念なものが多いのですが、こちらの小ねぎは香りと辛味が非常に良く、ネギ農家も出来そうなぐらいですね(笑)。
だし醤油(左)とぶっかけだし(右)
醤油うどんのセットからしか何故か購入できない「だし醤油」ですが、非常に出汁が自己主張した旨味たっぷりの醤油となっており、単品での販売しないのが勿体ないぐらいですね。
いりこが効いただし醤油は意外と市販品には無く、本製品を使うとうどんの甘さやコシとの相性が良いです。
「ぶっかけだし」も見た目から分かる様に市販品の麺つゆよりも濃厚であり、醤油と砂糖、黒糖で作ったコッテリとしながらも甘辛さは堪らないオススメの汁ですね。
元々、「和ぁさん」の出汁はうどんの汁にしてはかなり複雑なのですが、隠し味の赤ワインに含まれるほのかな酸味が讃岐うどんとの親和性を高めています。
うどんの茹で時間と硬さ
温かいうどんで食べる場合にマニュアル通りの9分でいいと思いますが、冷して食べる場合には少々長くする方が万人受けすると考えられます。
色々と試した結果、個人的には4分ほど長めにするとコシの強さが緩和され、ほのかにモッチリとした外側と疲れない程度のコシが楽しめました。
かけうどん
いりこ出汁と言えばやはり温かいうどんとの相性が良く、国産小麦粉の甘味と風味も損なわず楽しめ、汁までしっかりと味わえる王道のスタイルですね。
「和ぁさん」のうどんつゆは13種類にも及ぶ複合的な旨味と風味を持った作りになっているので、重層的な旨味と香りがあり、出汁に負けない様に塩気も若干強めとなっています。
いりこの匂いがメインとなっていますが、鯖節と鰹節の風味も十分に感じられ、讃岐うどんの汁としてはかなり贅沢です。
汁とうどんが美味しい為、薬味と天かすは雰囲気を変えたい時に使う程度で十分であり、完全無添加の昔ながらの製法は味も風味も安物とは大違いですね。
釜揚げうどん
釜揚げうどんが人気のある店と比べるとややコシが弱い事から、ゆっくり食べていると伸びてしまう印象がありますね。
なので、やや硬めに仕上げることを心掛けることで最初は讃岐うどんらしいコシを、最後は優しい喉越しを楽しめます。
釜揚げうどんの定番である釜玉うどんは生卵を絡めて食べる方法なのですが、本当に美味しいうどんは卵が無い方がうどんの美味しさを堪能できるので、最初は是非、シンプルに味わってください。
ざるうどん/冷しかけうどん
手打ちに近い作り方を採用している為、麺は僅かに縮れており、口当たりと噛みごたえが均一な機械打ちとは違った良さが冷しでは特に感じます。
しっかりと作っている本場の讃岐うどんはコシが強いのが普通ですが、「和ぁさん」のうどんは讃岐うどんの中ではやや柔らかめです。
なので、冷して食べるのが好きな人には本メーカーの生うどんが最適であり、冷かけも良いですね。
さらさら天かす
さらさらの天かすは讃岐うどんの店の定番のトッピングであり、こちらは天ぷらを揚げた際に出る天かすではなく、専用に作っている様ですね。
そのまま食べるとサクリとした歯ごたえと口溶けが楽しめますが、温かい汁に入れるとスーっと馴染んでいき、口当たりはかなり優しくなります。
余った分は冷凍庫に保存しておき、お好み焼きや炒め物などに使えば簡単にコクを出すことが出来るので無駄になりません。
4種のおさかな自家製佃煮
この手の佃煮やふりかけでは厚削り節を細かくするのが常法ですが、「和ぁさん」では炒っている最中に形を崩す程度にしているので歯ごたえと出汁の力強さが凄まじいです。
なので、口に当たるのを気になる人も居るかもしれませんが、強い出汁に対してパンチの効いた甘じょっぱさはご飯だけではなく、辛口の日本酒や焼酎などのお供にも活躍しますね。
うどん自体の甘さや風味を佃煮が打ち消してしまいますが、ご飯に兎に角合う本製品は圧倒的にリピーターが多く、家族にも大好評でした。
だし巻き玉子
決して安い訳ではありませんが、圧倒的な人気を誇るお惣菜であり、ある意味うどん以上に人気があるのではないでしょうか?(笑)
出汁がとても効いており、ふんわりとしただし巻き卵は塩気はやや強めなので、醤油はいらないぐらいであり、大根おろしを載せるのが勿体ないぐらい良い味です。
使っている出汁が複雑な自家製うどん汁で作っているので、関西のだし巻きの中でも奥深さが違いますね。
他のお惣菜が気になる人用
ちょっとした裏技みたいなものですが、かけうどんだしを少量置いておき、だし巻き玉子を作る時に利用し、焼き立てにもかけうどんだしをサッと掛けると近いものを作ることが出来ます。
テフロンじゃこのふんわり感は残念ながら出せないので、銅鍋、最低限鉄鍋が無いとプロのだし巻き玉子には仕上がりませんが、それでも雰囲気は真似られると思いますよ。
大きなお揚げ
1辺15cmぐらいの大きな油揚げを「和ぁさん」特性のうどん出汁に濃口醤油とザラメを足し、ほんのり甘く炊いたお揚げです。
高野豆腐の様にたっぷりと出汁を吸い込んだお揚げは口の中に美味しいエキスが溢れ、かけうどんだけではなく、ざるうどんにもオススメですね。
使用しているお揚げが良いものらしく、厚すぎず、薄すぎずない程よい歯ごたえと香ばしい風味も一緒に楽しめます。
総評
客単価が低いうどん屋では茹で置きをすることが多い為、実店舗より美味しいうどんを食べることが出来るのがおとりよせならではのメリットです。
コシが重要なうどん屋『10分茹でるからまって!』と言われても、実際に待たせることは出来ず、理想的なタイミングで食べるには来店時間の調整やコツが必要です。
セットのお惣菜の中では一番うどんの味を邪魔しないであろう商品なのは「大きなお揚げ」か「だし巻き玉子」なので、うどんの風味を堪能するには牛すじ煮込みはちょっと勿体ないですね。
他社含めてここ1年で200玉前後食べましたが、うどんも汁もトップクラスだったので、次回もうどんをリピートする予定です。