本レシピのポイント
・24時間かけて作るが、コンロの前には数十分のみでOK。
・シャトルシェフを使うことで圧倒的に簡略化。
・アク取りは最初の工程のみ。
・顆粒だしと違い塩分が無いので、減塩料理に便利。
・大量に作って、冷凍保存すればいつでも楽しめる。
このレシピのチキンブイヨンについて
日本ではラーメン屋のスープや飲食店の多くが業務用出汁を使う事が多くなり、『ここ、スープを真面目に取ってる希少な店だな』と思うぐらいになりました。
かつおぶしやにぼしなどの和風出汁と違い、熟成・乾燥させた素材を使わない西洋の出汁であるブイヨンは主に肉や骨から旨味を抽出するので非常に時間がかかります。
70歳になったフレンチ出身のチーフに以前聞いた話になりますが、『今のブイヨンは貧弱であり、昔は骨がホロホロになる様に1日以上かけて作っていた。』と言っていました。
なので、今回はそんなチキンブイヨンを取ることを目標にレシピを作成しました。
といっても、24時間体制でブイヨンを取るのは飲食業でもごく一部しかありませんし、ガス代も勿体無いので便利なシャトルシェフを用います。
シャトルシェフについて知らない人は以下の記事を読んでみてください。
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40年以上愛用している調理師一家がシャトルシェフを勧める理由
・手間をかけずにおいしい料理が出来上がる。
・加熱する時間を1/3に抑えられ、時間に余裕が出来る。
・電磁調理器(IH)にも使える。続きを見る
シャトルシェフでなくとも、保温調理器であるならば応用が可能となっています。
顆粒だしと何が違う?
[amazonjs asin="B01FW68JHC" locale="JP" title="マギー ブイヨン 50個入"]市販品として販売されている「マギー」の「チキンブイヨン」や「味の素 チキンコンソメ」、「ユウキ」の「ガラスープ」などがチキンブイヨンでは売れ筋になっています。
流石に管理人も毎回チキンブイヨンを取っている訳ではなく、「ユウキ」の「化学調味料無添加のガラスープ」を使うこともあります。
[amazonjs asin="B000MSMBKM" locale="JP" title="ユウキ 化学調味料無添加のガラスープ 130g"]ですが、顆粒・粉末だしは食塩が強く、砂糖やポークエキス、香辛料、デンプンなどが入っているので、全体的な味が顆粒だしに支配されがちというデメリットがあります。
なので、今回は鶏ガラの味を十分に引き出し、塩分はゼロ、脂肪分も可能な限り取ることで様々な料理に使いやすくしています。
材料
水 3000ml(目安)
鶏ガラ 2、3羽
A(香味野菜)
人参 50g
玉ねぎ 100g
生姜 5g
キャベツの外葉 1,2枚
B(ブーケガルニ)
ローリエ 2枚
ホールコショウ 10粒前後
香味野菜はセロリが個人的には必須なのですが、セロリは野菜として値段が高いので、キャベツで代用しています。
既成品が全て禁止だった場所で働いていた時に、洋食を作る際には100キロ以上のチキンブイヨンを取っていましたが、結果として色々な野菜の皮や葉っぱなどを試すことが出来ました。
その中でもキャベツは年中安定した値段で購入でき、外葉は食べて美味しい部分ではないので、よくスーパーでは捨てられていますが、旨味自体は外葉にかなり含まれているのでオススメです。
又、キャベツの芯も非常に良い出汁が出るので、有るならばキャベツの芯も使ってください。
余談にはなりますが、野菜スープが取れる出汁パックには必ずと言っていい程にキャベツが高確率で使われています。
ブーケガルニはパセリやタイム、ローリエ、エストラゴンなどの香草類を糸で花束の様にまとめて、煮込み料理の風味付けや臭み消しに使われています。
現在では糸ではなく、楽して使えるティーバッグの形式であるお茶パックと呼ばれている空の袋に詰めて使うことが多いはずです。
といっても、そんなものを揃えるのは一般家庭では非常に面倒かつコストパフォマンスが悪いので、比較的家庭にあるローリエとホールコショウだけにしています。
『もっと贅沢に!本格的に!』という人もいると思うので、その場合には複数の香草類をお茶パックに入れた製品がブーケガルニとして様々なメーカーから販売されているのでこだわりたい人はこちらを使うといいでしょう。
ただし、粉末になっているブーケガルニやローリエは味が強すぎるので、ブイヨンを取るのには向いていないことは押さえておいてください。
調理時間工程の一例
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40年以上愛用している調理師一家がシャトルシェフを勧める理由
・手間をかけずにおいしい料理が出来上がる。
・加熱する時間を1/3に抑えられ、時間に余裕が出来る。
・電磁調理器(IH)にも使える。続きを見る
レシピなので、同じ料理を再現する為に時間を書いていますが、再加熱するタイミングはいつでも構いません。
シャトルシェフを使う場合に問題なのは、再加熱をせずに温度がさがりすぎて、腐らせてしまうことなので、再加熱は出来るなら細かくしてください。
といっても、通常のチキンブイヨンのレシピと違い、調理工程があまり想像出来ないと思うので、実際に管理人が行ったこのレシピとは別の調理工程をざっくりと記載しておきます。
再加熱は8時間以内に1回行うようにしています。
1.休日の前夜に鶏ガラを処理、シャトルシェフへ
→所要時間20~30分
2.就寝前に再加熱
→所要時間5分
ここで既に完成にしても良いクオリティです。
3.起床後の朝食のついでに再加熱
→所要時間5分
4.後1回は夕方頃に再加熱
→所要時間5分
5.スープを濾して冷凍
→所要時間10~15分
ここまで来れば通常の飲食店を超える味です。
文章で細かいポイントをまとめているので、本文を読んでみると面倒なものにしか見えませんが、実際にはもっと適当な時間配分でも美味しく仕上がります(笑)。
寝てる時間を7時間と仮定しても、それだけ保温調理が行われていれば、この時点でも相当美味しいチキンブイヨンが取れることを覚えておいてください。
野菜の下処理
1.キャベツは取り出しやすい様に大きく切る。
2.生姜と人参は2mm程度の厚さに切り、玉ねぎは手でバラす。
鶏ガラの下処理
1.お湯を沸騰させる。
使用しているシャトルシェフは4500mlの容量です。
2.鶏ガラの内蔵や血合いを水で洗いながら取る。
懇意にしている精肉店の鶏ガラは非常にキレイに下処理してありますが、業者によっては血合いや内蔵などが付いていることもあるので、写真の様に黒い部分が無くなるぐらいにしましょう。
冷凍鶏ガラの場合は冷蔵庫で緩慢解凍してから使用してください。
3.鶏ガラを下茹でする。
短時間(2、3時間程度)で鶏ガラからスープを取る場合は15~20秒の加熱、又は沸騰したお湯をたっぷりと掛ける方法がオススメです。
というのは、短時間では鶏ガラの骨の味を抽出しきる事が難しい(圧力鍋なら可能だが、やや香りに難がある)ので、表面に付いている肉の旨味を併用した方が手っ取り早いからです。
ラーメンのスープをこの手法で作っている店が多いのは肉の旨味を活かした方が強いスープになるからですね。
『短時間でチキンブイヨンを取りたい!』という人はサッと茹でる様にしましょう。
4.アクがしっかりと出てくるまで加熱する。
店や料理の系統によって変わりますが、スープの為のブイヨンを作る場合には肉の味よりも骨の旨味を抽出したいので、肉の旨味を多少逃してもアクをしっかりと取り除きます。
5.ザルに鍋の中身を全てあけ、アクと脂肪を洗い流す。
ここでしっかりとアクと余計な脂肪を取り除くことで、後々の作業を楽にすることが出来ます。
▼付いている鶏皮や黄色い脂肪の塊などもここで取り除く。
6.鍋を洗ったら、再度鶏ガラを入れてたっぷりと水を注ぐ。
7.弱火~中火で加熱していき、細かいアクを取っていく。
ここからはアクを取る時に水分を取り除くのを防ぐために、しゃぶしゃぶ屋で使う目の細かいアク取りを使います。
8.沸騰したら弱火にしてアクを取る。
沸騰させ続けると次々とアクが出てきますが、同時に味が落ちるので最初に軽く沸騰させてから弱火にして、アクを取ってください。
9.香味野菜とブーケガルニを上に入れる。
ポイント
後々の作業が楽になる様に鶏ガラの上に香味野菜やブーケガルニを入れます。
この時、鍋の水分が減りすぎている場合には鍋の8割ほどが埋まる様に加水してください。
10.フタをして保温容器に入れて、保温調理を8時間行う。
シャトルシェフの説明書では『長時間(4人分で8時間以上)の保温する時は腐敗を防ぐために再加熱しましょう。分量が少ないと保温量が低下するので、早めに再加熱してください。』と書いてあります。
これらの問題を防ぐために水分は鍋の限界に近い、容量の8割ほどを具材と水分で満たして保温調理を行いましょう。
実験してみた所、冬場に9時間置いても60℃(沸騰した後にこの温度と調理時間ならば食中毒になるものはほぼ確実に殺菌可能)を下回りませんでしたが、ここではシャトルシェフの説明書に従って、8時間を目安にしています。
再加熱は沸騰させなければ何度行っても問題はないので、キッチンに用事があった時に加熱しておくと安全度がより高まります。
11.保温調理を開始してから8時間後に弱火で再加熱をする。
この時点でだいぶ素材が柔らかくなっており、沸騰させるとブイヨンが濁るので、弱火で加熱して、ポコポコと小さな気泡が少し出てくる程度に抑えておきます。
一晩で完成させたい場合にはここで味見して、美味しく出来ていたら13のブイヨンを濾す作業に移ってください。
味見をする時には慣れていないと旨味の目安が分かりづらいかもしれないので、少しだけ塩を溶かしてから味を見てみると分かりやすいです。
12.野菜を取り出し、2回目の再加熱をする。
ここまでに16時間かけてブイヨンを煮出したことになるので、野菜からはこれ以上旨味が抽出できず、煮崩れ防止の為に取っておきましょう。
菜箸などで丁寧に取っていきますが、どうしても細かい野菜が鶏ガラの隙間に入り込むことがあるので、その時は放置してしまいましょう。
13.8時間後にブイヨンを丁寧に濾していく。
この時点で24時間煮込んだことになり、コンソメブイヨンに使えるレベルのチキンブイヨンになります。
管理人はこの時、ガーゼもリードも切らしていたので、キッチンペーパーを使いましたが、すぐに目が詰まって濾せなくなるので、リード推奨です(笑)。
ここでも濁らないようにする為にお玉やレードルを使って、丁寧に作業を行ってください。
▼ハシで触っただけで鶏ガラはこうなります。
完成品
脂がほとんど浮いておらず、まるでお茶の様な色合いですが、これで高級店のフレンチで使われているピュア(雑味や脂肪分が無い)なチキンブイヨンは完成します。
文章にするとえらい面倒に見えますが、先述したざっくりとした調理工程の様に、片手間にシャトルシェフの再加熱をするだけでどうにかなります。
自宅で朝昼晩と食べる機会があるならば、片手間に数回再加熱して、寝る前に再加熱すれば翌朝には完成になります。
▼冷凍する場合はジップロックなどで小分けにすると便利。
最近のシャトルシェフは高性能になり、この様なチキンブイヨンが楽に取れる様になったので、使ったことがない人は買ってみてください。
絶対に損しない調理器具の1つとして「THERMOS」の「シャトルシェフ」は自信を持ってあげられます。
圧力鍋を使って鶏ガラスープ/チキンブイヨンを抽出する方法は素早くスープをとれますが、フタをしたまま加熱する仕様上、臭みが少々残ります。