セールスポイント
・スペインやフランスの3つ星レストラン御用達。
・血液が入ることでコクのあるブラッドサラミ。
・脂と肉質、両方とも文句の付け所が無い。
Casalbaについて
スペインやフランスの三つ星レストラン御用達ブランドである「Casalba(以下、カサルバ社)」は生ハムやサラミなどの製造メーカーです。
素材本来の味を活かした伝統的な製造方法に加え、現代における最高水準の食品安全に取り込んでおり、味と安全性から日本でも名高いパリの高級デリカテッセン「FAUCHON」でも取り扱われていました。
「カサルバ社」では貯蔵室の近くでイベリコ豚を育てていることもあり(契約/委託)、イベリコ豚の精肉やベーコン、パンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)などの販売も行っています。
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実食レシピ/市販品の4倍熟成【フエ・イベリコ/カサルバ】
・イベリコ豚を使った贅沢なスペインサラミ。
・塩分が控えめでイベリコ豚の旨味を堪能出来る。
・一般的なサラミの数倍熟成させることで深みがある。続きを見る
販売している生ハムやサラミは塩分が薄く、柔らかく・しっとりとした食感を活かし、長期熟成でまろやかなコクと甘味のある旨味が楽しめるのが基本的な特徴となっています。
カサルバ社のモルシージャについて
モルシージャには基本的には2種類あり、豚の血と玉葱で作るモルシージャと豚の血と米で作られるモルシージャ・ブルゴスがあり、加熱用のソーセージタイプとして製造されるのが普通です(上の画像の様なもの)。
しかし、「カサルバ社」では米と玉葱は使用しておらず、サラミタイプに仕上げた上に4ヶ月熟成させたことで非加熱でも食べられる、ブラッドソーセージとしては世界でも珍しいタイプとなっています。
一番ランクの高いイベリコ豚のデ・ベジョータのバラ肉と肩ロース、ザブトンを粗く刻み、豚の血を練り込んでから豚の腸に詰め、4ヶ月の間に熟成と燻製をじっくり行うことで、独特の風味とコクを生み出しています。
以降、記載すべき情報が多かった為、レビューだけをみたい人はコチラをタップorクリックしてください。
生ハムとサラミの貯蔵室/熟成庫
「カサルバ社」はスペインのブルゴス県カスティーリャ・レオン州の北東にあるベロラド村にあり、夏は暑く、冬は寒いスペインにしては珍しい、一年中気温が低く、生ハムやサラミを製造するのに最適な場所です。
ボデガと現地では言われる貯蔵庫はブルゴス高原の冷たい風が吹き抜け、乾いた空気の中で生ハムやサラミなどが育てられています。
その為、冬場には室内が氷点下になるほどに寒くなる為、熟成室には専用の暖炉「チメネア」が用意されており、樫の木を燃やしながら通年6~7℃になる様にコントロールしています。
良質な豚肉を仕入れて加工
日本だけでは無く、世界中であらゆる食品のジャンルにおいてコスト重視の製造メーカーが増え、豚肉も同様に、味は二の次で短期間で太らせる手法がメインになっています。
しかし、「カサルバ社」では良質なエサを贅沢に使い、最低でも12ヶ月位上の飼育した高級な白豚しか選ばず、イベリコ豚の場合は最低でも18ヶ月以上と決めています。
日本で一般的に食べられているノーブランドの豚肉が5,6ヶ月、ブランド系統(黒豚含む)で8~10ヶ月と言えば如何に豚肉の質に妥協していないことがわかるはずです。
イベリコ豚の特徴
イベリコ豚は『どんぐりを食べて育った豚』と日本では解説される事が多いのですが、実際には〇〇鶏や◯◯牛などの様に品種のことを指しています。
日本の黒豚の様に、肉汁が逃げにくい上に味が良く、脂身の口溶けが良く、甘味があるのが特徴となっており、霜降り状になっていることから和牛と似た性質を持っています。
純血の場合、もしくはイベリコ豚の血統が半分以上を満たし、かつ、スペイン政府が認証した品種のみがイベリコ豚と名乗ることが可能です。
イベリコ豚のランク
日本でイベリコ豚がスーパーに並ぶ様になったのは2010年前後だと思いますが、日本に入ってきていたイベリコ豚は一番ランクの低いデ・セボがほとんどでした。
結果、『こんなものか』程度の扱いになってしまい、小売店ではあまり見かけなくなりましたが、デ・セボと一番ランクの高いデ・ベジョータを比較すると国産牛と和牛、下手したらアメリカ産牛肉と松阪牛ぐらいの差があります。
なので、スペイン国内だけでは無く、国外も含めた消費者の混乱を防ぐ為に新たな基準を設け、特に重要な生ハムにおいては血統と肥育方法により、4色のタグで分類する様になりました。
De Bellota/デ・ベジョータ/黒タグor赤タグ
10月1日から12月15日の間に放牧し、最低60日間はドングリの木が植えられた放牧地でドングリまたは自然の植物のみを与えて肥育したもの。
放牧終了後には開始時点から46kg以上の体重増加があり、月齢14ヶ月以上のものしか名乗ることが出来ない。
生ハムの場合に限るが、100%イベリコ種の物が黒いタグ、他のものは赤いタグが付けられる。
「カサルバ社」では20ヶ月以上の完全放牧豚を使用する贅沢の極み。
De Cebo de Campo/デ・セボ・デ・カンポ/緑タグ
最低60日間は放牧し、ドングリまたは自然植物をメインに、補助的に穀物飼料を与えて育てた上に、月齢12ヶ月以上のもの。
「カサルバ社」では18ヶ月以上のものを使用。
De Cebo/デ・セボ/白タグ
穀物飼料だけで肥育された月齢10ヶ月以上のものであり、「カサルバ社」では一切使用せず。
つまり、『ドングリを食べているイベリコ豚というのは実質、デ・ベジョータだけ』であり、非常に高価な製品の為、市場における割合はたった10%程度しかありません。
スペインではデ・セボ・デ・カンポで良いものを製造するメーカーも増えてきたそうですが、日本に入ってくるのは極々わずかと言ったところです。
単純に日本でイベリコ豚としか記載されていない製品はほとんどがデ・セボであり、生ハム以外の加工品では特に気をつけるポイントとなっています。
買うならデ・セボ以外を買うと良い
鶏や牛、豚、鰻などは様々な品種があり、養殖の定番ですが、業界の色々な情報を集め、様々な物を食していると『どう飼育したかでほとんどの味が決まる』ということがわかります。
勿論、品種による差は当然ありますが、味の決め手となる70~80%は食事内容と運動量、ストレスの有無となっており、飼料にこだわっているメーカーは当たりの確率が高めです。
世界中に様々なブランドの鶏・豚・牛があるのは国ごとにある食の伝統文化との相性が良いからだと考えられますが、育て方がおざなりならばノーブランド品と大差はありません。
なので、ハッキリ言ってデ・セボを食べるぐらいなら日本でまともなブランド豚を購入したほうが安くて美味しいですね(笑)。
カサルバが本当に美味しい生ハムを作れる理由
サラミの記事とは内容があまり関係ない為、興味がある人だけ読んでみて見ください(購入する予定)。
「カサルバ社」で販売しているハモン・セラーノ(スペインの生ハムを日本ではこの表記、熟成した山という意)は最低2年、長いものでは3年以上の月日をかけて熟成させています。
一般的な生ハムは14ヶ月前後とやや短い時間で熟成を終えてしまいますが、これは熟成期間を短くすることで、資金回収を早めているそうです。
又、長期熟成に耐えられる生ハムには脂が乗っている豚肉を使用しないと難しく、結果的に良い豚を使用することはコストが掛かってしまうので、ほとんどのメーカーでは早期熟成が可能な安い肉を使うしかないそうです。
「カサルバ社」では長期熟成のハモン・セラーノを購入してくれる顧客が多くおり、スペインの食品見本市である展示会「サロン・デ・グルメ(展示ブース約1400社、ビジター8万以上)」では毎回、終了時刻の後でも関係者が呑んでいるという盛況っぷりだそうです。
同社の生ハムは基本的には1カ国で1社にしか輸出しないと決めており、ヴァンフーズという会社が輸入し、グルメミートワールド(通販ショップ名ではグルメソムリエ)を含め、数店舗しか取り扱っていません。
イタリアと同等か、それ以上に味にうるさいヴァンフーズには「カサルバ社」の社長自らが生ハムを選んでいるそうです。
レビュー
今回紹介するのは「カサルバ社」の「モルシージャ・イベリコ・ベラ」です。
▼色々な製品を購入。
日本ではサラミやドライソーセージと表現することが多いですが、スペインではこの手の腸詰め製品の総称をSalchichón(サルチチョン)と言います。
「カサルバ社」のほとんどのサルチチョンは全てイベリコ豚であり、デ・ベジョータというやり過ぎなぐらいの高級品ですが、食べてみると一周回って『コスパが良いのでは?』と思う程にいずれも美味ですね。
CAというマークは「Casalba」のロゴとなっています。
▼これがモルシージャ。
「グルメソムリエ」で購入しましたが、品質の変化が起きにくい冷凍便で送ってくるので、冷蔵庫で1日かけて緩慢解凍するのが良いでしょう。
賞味期限は約2年、それほど冷凍庫で保存しておくことは無いでしょうが、まとめ買いが出来るので送料の心配は要りません。
又、冷凍だからといって、『ほとんどのあらゆる国のサラミは味が全く変わらない』という事を知っておくと便利ですね。
スーパーでアウトレットの格安サラミを見つけた際には大人買い出来るという事です。
▼裏面、英語とで表記(ラベルは日本語)。
使用する食材は豚肉、食塩、パプリカ、豚血液、砂糖、豚腸とシンプルな構成となっています。
全てのサラミに共通しているのは冷蔵庫から出してからしばらく常温に置いてから食べる方が口当たりと脂の口溶けが良くなることは覚えておきましょう。
▼解凍して取り出したもの。
熟成させる期間はメーカーにもよるのですが、リーズナブルな量産品は1ヶ月、伝統的な製品の多くが2ヶ月ぐらいかけるのが平均値ですが、4ヶ月も熟成させると色合いもやや強くなります。
勿論、本製品が血液を使用したモルシージャだからということもありますが、中々迫力のある存在感ですね。
血液を使った料理は日本では馴染みがあまり無いかもしれませんが、フランスの血を使ったソースやタイの豚の血ゼリー、台湾の鴨の血を使った煮こごりなどと血を使った料理や素材は珍しくありません。
▼盛り付けたもの。
血を使った料理というのは血生臭さはほとんど無く、旨味と香りを補強してくれるいい素材なので、あらゆるレバーよりもサッパリとしていますが...それにしてもこのモルシージャは血の香りを感じさせません。
これは「カサルバ社」が温度のコントロールを行う為に使用している暖炉にて、樫の木を使いながら微弱の燻製を2ヶ月行い、その後、乾燥させた風で当てながら薫香を抜いたからですね。
粗く刻んだひき肉はよく練られてから腸詰めされ、通常のフエの倍以上寝かすことにより、赤身肉と脂肪分が一体化することで新たな肉の部位の様に感じ、一般的なフエよりやや柔らかめです。
そんな手間の掛かったモルシージャは血のクセは一切感じず、和牛の様な甘い脂身の味と香りが口と鼻を支配し、肉の旨味が徐々に膨らんでき、イベリコ豚特有の味わいがステーキ以上に堪能できます。
▼ARGALのフエ。
ところで、スペインサラミのベースとなるフエは香辛料は胡椒ぐらいしかほとんど使わず、色々と加えたものが様々な製品に派生していきます。
フエは赤身肉と脂身の比率が6:4が基本的な比率と言われており、通常のサラミならば具材ごとの比率がしっかり見分けられることがわかるはずです。
▼デ・ベジョータのサシが凄まじい。
しかし、全身に脂肪分が回っている最高級のイベリコ豚であるデ・ベジョータは赤身肉にもサシが入っており、一見、脂が強そうに見えるでしょうがそんなことはありません。
それだけ肉の味は脂肪分に負けずに自己主張しており、むしろ、血液が加わることで旨味が強くなっている分、同じ「カサルバ社」の「フエ・イベリコ」よりも塩分はまろやかで上品な味わいとコクがあります。
世の中にある発酵食品はウマイほど匂いや独特のクセが存在するものですが、本製品にはその様な欠点は無く、ただただ、デ・ベジョータの美味しさを最大限に発揮している完璧な発酵食品の1つかもしれません。
そんなパーフェクトなサラミですが、スープや炒めものなどの料理に使っても当然美味しいのですが、残念ながら生食以上に美味しい食べ方はありませんでしたのでサラダやピンチョスなどと一緒に楽しむ程度に留めておくのが無難ですね。
総評
スペインでは一人当たりの生ハムの消費量は約5kgと言われていますが、これは豚の後ろ足一本分ぐらいの量であり、食生活に欠かせない食べ物の1つとなっています。
その様な環境でもコストパフォーマンスを抜かせば、大半の人が美味しい生ハムメーカーの1つとして挙げる事が多いのが「カサルバ社」です。
加えて、サラミの評価も生ハムと同様に高く、とりあえずグルメな知識が無くとも「カサルバ社」の製品を買えば間違いないでしょう(他社のがイマイチに感じる恐れがありますが笑)。
外食で酒を飲むのも良いものですが、良いサラミと程々の酒、これだけでも一日が満ち足りるほどの充実感を味わえました。
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