セールスポイント
・白カビの旨さを堪能できるスペインサラミ。
・塩気と香辛料が控えめで、マイルド。
・様々な国で販売されているサラミの中でも上品。
エルポソ社について
1954年、スペインのムルシア州に創立された「ELPOZO(エルポソ)」は一貫生産システムを採用している大手食肉加工メーカーであり、高い安全性と安定した製品を提供しています。
地中海に隣接するシエラエスプーニャ自然公園の近くに工場を持っており、『シンプルな製品こそがベストである』と考えているので、奇をてらった物はありません。
白豚から始まり、スペインの伝統的なブランド豚であるイベリコ豚とオリーブポークなどで製造しているフエとハモンセラーノ(長期熟成のスペイン生ハム)が人気となっています。
スペインの市場では「Espuna(エスプーニャ)」と同様に、定番のメーカー製品である為、チーズやパンなどを取り扱っているメーカーや居酒屋などでも良く販売されています。
伝統的な技法と現代技術を融合させた製法で加工品を製造しており、定番メーカーといえども味は侮れません。
FuetとChorizo
ざっくりとした説明ですが、豚の腸に豚挽き肉を詰め、乾燥させたソーセージ、つまり、ドライソーセージ(サラミ)の事をスペインではFuet(フエット、フエ)と呼びます。
特徴としては約60%の赤身肉と約40%の細かく刻んだ脂肪を混ぜ合わせた物に、ニンニクと黒胡椒を加えただけなので、他国のサラミと比べるとシンプルな美味しさとなっています。
Chorizo(チョリソ)は日本だとピリ辛ソーセージのイメージがあるかも知れませんが、あれはメキシカンチョリソーと言われているものな上、ドライソーセージではありません。
本来のチョリソはフエの1種であり、辛味成分は一切入っておらず、真っ赤な色は唐辛子では無く、ピメント(パプリカパウダー)によるものです。
エルポソ社のフエテックの特徴
では、「フエテック」はフエと何が違うかというと、「エルポソ社」のフエを「フエテック」という製品名にして販売しているだけであり、フエの上級品という訳ではありません。
本ラインナップは全て白カビのサラミであり、定番の白豚で作ったものが「オリジナル」、一番ランクが高いのがイベリコ豚を使用した「イベリコ」となっています。
「フエ・カセーロ」というタイプは「オリジナル」に脱脂粉乳を加えることで独特のコクとナッツの様な風味を生み出しています(熟成中にチーズの風味に似た成分が加わるのかと)。
小さな袋に入った切らずに食べられる細めの「スナック」シリーズは「オリジナル」と同じ味付けとピメント入りの「チョリソ」が販売されています。
他のラインナップでは「スペイン・サラミ」と「トリュフ」が販売されていますが、日本では「オリジナル」と「イベリコ」の2種類しか見かけませんね。
レビュー
今回紹介するのは「エルポソ社」の「フエテック」です。
▼パッケージ。
「エルポソ社」の「フエテック」は呼吸穴が付いているので、取り扱いには注意してください。
▼中身。
「エルポソ社」のフエは写真を見ればわかる様にたっぷりの白カビが付いており、封を切るとカマンベールチーズの様な香りがしてくるほどです。
湿度と温度の高い日本ではサラミの保管は冷蔵庫となりますが、食べる30分程前に常温に戻してから食べる様にしてください。
ヒモがついている付近には鉄製クリップが付いており、製品によっては熟成の過程で中に入り込むことがあるそうなので気をつけましょう。
▼たっぷりの野菜を添えて。
スライスした「フエテック」を口に入れるとフエとしてはややしっかりした歯応えですが、上品な味わいに驚きました。
発酵食品と言えば『塩気と旨味でガツン!』とした味わいが多いですが、このフエは塩気と香辛料、肉の味は控えめであり、白カビの美味しさを追求した様な仕上りですね。
フランスの真っ当に作った白カビチーズ「ブリー」と同じぐらいに豊かな風味があり、本枯節の様な澄んだ旨味があります。
しかし、ピュアな味わいだけではなく、豚の脂がしっかりと主張しているので、上品でありながらも他の食材と組み合わせても負けることはありません。
▼シンプルに食べるなら斜めで厚めに。
常温で少し戻すと、封を切ったときよりも白カビの香りが増し、何よりもフエの豚脂が溶けやすくなるので、味わいが一段とグレードアップし、良質な動物性の脂に良くある甘さが増します。
美味しく切るコツですが、「フエテック」は塩気と香辛料の自己主張は抑えめであり、熟成した美味しさを食べることに主眼を置いている為、やや厚めにカットするのがオススメですね。
そうすると白カビ熟成特有の芳香が口の中に広がりやすくなり、マイルドな塩気と脂の甘さが徐々に強くなっていき、肉の旨味が引き立っていくはずです。
そこで、クイッと好みのお酒を嗜む(ラムやウイスキー、焼酎などの常温ストレート/水割りが良いかと)とアルコールとの組み合わせで味わいが変化し、最後はスッキリとした後味となります。
総評
様々なサラミを食している管理人ですが、「フエテック」は日本の鰹節の様にシンプルに豚とカビの旨味を引き出すことに注力しており、ここまで白カビの風味が堪能できたのは久しぶりでした。
トリュフや香辛料、ハーブなどが主張するものも美味しいですが、王道かつふと食べたくなるのは本製品の様なシンプルな白カビサラミです。
帰宅したら、冷蔵庫からフエを取り出し、所要を片付けてからお酒と一緒に楽しむフエは一日の終わりを告げるのに最適ですね。