セールスポイント
・分厚く切ったマフグをぬか漬けにした発酵食品。
・刺し身として食べることが出来るのが嬉しい。
・独特の味わいは酒の肴に最適。
油与商店について
石川県金沢市に創立された「油与商店」は300年以上の歴史を持つ老舗のぬか漬け専門店ですが、一般的に想像する野菜の漬物のぬか漬けではなく、海産物を漬け込んだ北陸から山陰にかけて作られる伝統食品「こんか」を製造しています。
看板メニューは今回紹介する真河豚を使用した「海鮮ぬか漬け 能登ふぐ」と「ふぐの子ぬか漬け」そして、「鯖のへしこ」などとなっています。
福井県の名産品として有名なへしこは鯖のぬか漬けとして比較的知られていますが、魚介類のぬか漬けはサンマやイワシ、フグ、ホタテなどと様々なものが雪国では加工されていますね。
なので、「油与商店」のオリジナルと言った訳ではありませんが、地のものをなるべく使用しているのでやや高級ではあるものの、品質が高いことで評価されています。
海鮮ぬか漬け 能登ふぐの特徴
「油与商店」がつくる「こんか」は大きく2つの工程を経て調理されており、最初に魚介類を塩蔵してから水分と臭みを抜きつつ、旨味を引き出した後、ぬか漬けにします。
使用しているマフグは能登の天然フグであり、トラフグよりも油分が少ない分、白身の旨味成分が豊富であり、漁港から仕入れた鮮度の良いものをすぐに漬けることで刺し身以上に歯応えが楽しめます。
大きな特徴としては石川県の名産品である真いわしで作った「いしる/いしり」という魚醤をぬか漬けに使用することで、より複雑な旨味と独特の風味を加えている所です。
いしりを使用することで万人受けしやすい製品ではないかもしれませんが、様々な熟成を経た「海鮮ぬかづけ」は飲兵衛にはたまらない製品となっています。
レビュー
今回紹介するのは「油与商店」の「海鮮ぬか漬け 能登ふぐ3個セット」です。
▼パッケージ。
『美味しいお酒を飲むのに、普通の肴じゃ勿体ない…』という想いから開発されたのが、海鮮ぬか漬けのシリーズであり、刺し身用と焼き魚用の2種類が販売されています。
刺し身用の海鮮ぬか漬けは「紋甲いか」と「金沢甘えび」も販売されています。
▼多めのマフグと程よい糠の量。
冷凍で届くので解凍が必要となりますが、常温で2~3時間置いておけば食べることが出来ます。
食べる際には塩分が気になる人は水で手早く糠を流すのですが、この手の製品は布やキッチンペーパーなどで軽めに拭き取るぐらいが発酵食品の美味しさを堪能できるので、今回は軽く拭き取る方法を採用しています。
▼盛り付け。
海鮮ぬか漬けという商品名なこともあり、真っ白なフグの身はわずかに飴色になっており、魚自体の熟成と糠の旨味が加わることで想像以上に力強い味わいとなっています。
糠の味わいと思いの外効いているいしりの味わいと塩気だけでも十分に美味しく感じる程ですが、主役のフグの食感を味わっている内にトラフグとは又違った白身の旨味がジワリジワリと口の中に広がっていきますね。
伝統的なこんかの製法の場合では塩分濃度が10%と高いのですが、本製品は塩分濃度が3%と比較的少なく、漬け込み日数が15日と短い為、刺し身らしさが残っており、フグのシコシコとした歯ざわりはふぐ刺し以上に楽しめます。
フグであるということもありますが、魚自体の臭さは全く無いのですが、糠の風味はそこそこする為、珍味に近い味わいになっており、兎に角日本酒を用意せざるを得ません(笑)。
▼丼や茶漬けにも意外と良い。
お酒ほどではありませんが、ご飯と一緒でも中々の活躍を見せてくれ、特にお茶漬けにするのが個人的には好みでした。
糠の風味といしりの旨味が十分に味付けをした出汁の役割をしてくれ、ほのかに火が通ったフグはムッチリとした歯応えに変貌し、又違った顔を見せてくれます。
本製品の糠床には唐辛子が加えているので、ピリッとした刺激がわずかにあり、特に薬味は必要ないのも手軽でいいですね。
塩辛系統の食品をお茶漬けにする場合には旨味が十分にあるので、薄めの緑茶(浅煎りよりも深煎りの方が苦味が少ないのでオススメ)か白湯をたっぷりとかけるのが良いです。
総評
現代社会では通向けの製品であると考えられますが、へしこや昔ながらの塩辛などと比べると熟成期間が短い為、発酵食品としてのクセは控えめな部類ですね。
下手なふぐ刺しならば数枚まとめて食べないと物足りないですが、ぶ厚めに切られている本製品はトラフグ以上の甘味と旨味があり、そこに糠やいしりを加えているので物足りなさは全くありません。
魚自体をシンプルに味わう製品を求める人には冷凍の刺し身やサクをオススメしますが、呑兵衛には本製品はたまらない肴となるでしょう。