このレシピのポイント
・冷やす時間を圧倒的に短縮出来る。
・本格レシピだけではなく、家庭版レシピも記載してある。
・本格レシピはリッツ・カールトンのレシピに近い。
・家庭版レシピは汎用性があり、他のスープにアレンジ可能。
本レシピについて
今回紹介するレシピはプロ用の料理教室(現在でも銀座の一流店として有名ですが、名前は伏せさせてください笑)で習ったものを現代風かつ管理栄養士の視点を交えつつ、アレンジしたものです。
・・・なのですが、残念なことにリッツ・カールトンに則した本格レシピの方が圧倒的に家庭向けではなく、『調べてからこのレシピを真似る人は本当に少ないだろう笑』と思うレベルです。
そこで今回は本格レシピと家庭用レシピを2つ記載することにしました。
又、冷やす手間が多いヴィシソワーズを30分前後で加熱から冷やす所まで完成出来る様にしてあります。
現在上記のアレンジ中のレシピを幾つか紹介中なので、良かったら併せて読んでみてください。
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そもそもヴィシソワーズって何?
タマネギではなく、長ネギ(ポワロ)を使った冷製ポタージュです。
ポワロ
英語ではleek(リーキ)と言われており、仏語ではpoireau(ポワロ)、伊語ではporro(ポッロ)なので、日本ではポワロねぎ・ポロねぎなどと呼ばれています。
日本では下仁田ネギに似ており、太くて重く、やや短いのが特徴です。
ねっとりとした食感とタマネギよりも上品な風味と甘味から様々な料理に使われています。
作り方は至って単純ですが、シンプル故にスープが物を言うレシピであり、現在主流なのが牛乳を使ったレシピが多いですが、本来は牛乳を使わないのがクラシックなレシピです。
1917年にニューヨークのリッツ・カールトンのフランス人シェフが考案したものであり、屋上レストランのオープンに併せて作られたものです。
100年以上前のレシピですが、管理人は牛乳が入っている現在のヴィシソワーズよりも古いレシピの方が美味しいと思っています。
その美味しい理由がわかるレシピを先に紹介しましょう。
本格レシピ
材料
バター 15g
ポワロ 50g
ポテト 200g
ブイヨン 800cc
ローリエ 1枚
塩 適量
白胡椒 適量
生クリーム 50cc
『何だ普通じゃないか』と思ったらこの料理に使うブイヨンは日本で言うなんちゃってコンソメ(日本のコンソメの素は色々と違います)ではなく、フランス式のコンソメスープです。
以前シャトルシェフを用いたチキンブイヨンを紹介しましたが、このブイヨンにミルポワ(さいの目にした人参やセロリなど)を加えて煮、牛肉の赤身の挽き肉と卵白を練ったもので旨味を加えつつ、卵白がアクを固めてくれるので澄んだスープが取れます。
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・シャトルシェフを使うことで圧倒的に簡略化。
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現在ではごく一部の店でしか行われていないレベルのスープを家庭で作るのはハッキリ言って相当面倒です(笑)。
ですが、このレシピ通り作るとスープの旨味とポワロのほのかな甘味、ポテトのコク、生クリームの濃厚さが程よく混ざり、罪深いスープが出来上がります。
ブイヨンの美味しさがFランク大学と東大理科三類ぐらいの差なので、どうしてもこのレシピを顆粒だしで再現するのは不可能です(手作りチキンブイヨンを使えばギリギリ使えるぐらい…)。
作り方は後ほど紹介する家庭版レシピとほぼ一緒なので省略します。
家庭版レシピ
材料
バター 15g
長ネギ 50g(出来れば下仁田ネギが良い)
鶏ガラスープの素 大さじ3
ポテト 250g
水 150cc(要調整)
氷 300g(要調整)
牛乳 400cc
ローリエ 1枚
塩 適量
白胡椒 適量
生クリーム 50cc
ほとんど本格レシピと代わりはありませんが、本来は使わない牛乳を多めに使っています。
それぐらいブイヨンの差があり、本格レシピを真似するよりも却って牛乳を使ったほうが美味しくなります。
ネギに関してポワロはかなり手に入れにくいので、市販の深谷ネギでもOKとしていますが、もし下仁田ネギがあればそちらを使うと味がグッと良くなることは覚えておいてください。
このレシピの変わった所は「氷」なのですが、少ない水分でなるべく作り、水分量を調節する際に氷で一気に冷やして作るという手法を取っています。
作り方
管理人は冷凍を視野に入れているので倍量のレシピで作っています。
1.長ネギをスライスする。
ポイント
小口だろうと斜切だろうと好きに切ってください(笑)。
厚さもタマネギの様に薄くする必要はありません。
2.ジャガイモを5mm程度に切り、水にさらす。
ポイント
ドロドロになるまで煮るので小さい方が素早く出来ます。
切った後に水にさらすと少しとは言えアクが抜け、スッキリとした味わいになります。
3.長ネギとジャガイモをバターで炒める。
ポイント
注意点として長ネギは飴色まで炒めず、1分程度で構いません。
色が付くと真っ白な美しいスープが若干変わってしまいます。
4.水とローリエを入れてしっかりと煮る。
15分程度が目安ですが、写真の様に煮崩れるぐらい煮てください。
これを行うことで舌触りがかなり改善されます。
水分量はレシピでは150ccですが、足りないと思ったら加えても大丈夫です。
ただし、後ほど冷やす作業を短くする為にも可能な限り少ない水分でこの作業を行います。
5.ジャガイモを煮ている間に別鍋で牛乳を加熱する。
ポイント
これも時短の1つであり、先に牛乳を煮ておくことで牛乳臭さを軽減し、ミキサーを掛けたあとに加熱する時間を無くすことが出来ます。
本格レシピで作る人は牛乳に関する以下の工程は全てなくなります。
牛乳でジャガイモを煮ない理由
牛乳でジャガイモを煮ると煮崩れにくくなる作用があり、これはカルシウムによるものです。
ホワイトシチューを作る時には煮崩れ防止になりますが、ポタージュの場合は余計な時間がかかるので水で加熱します。
6.工程4のスープをミキサーに。
ポタージュを美味しく作る時のミキサーのコツは2つあります。
1つ目は多めの水分で行い、2つ目はツヤが出るまでミキサーにかけることです。
写真の様に光が反射するぐらいかけると舌触りがより改善されます。
水分が足りない場合は温めた牛乳を加えてください。
7.温めた牛乳に加える。
本来はここで加熱してトロミを調整するのが良くあるレシピですが、氷を入れるので必要ありません。
8.目の細かいザルで濾す。
和風の出汁を濾す時に使う目の細かいザルならばポタージュも上手に作れます。
9.調味料と生クリームを溶かしたら氷を入れる。
写真では色が通常の氷ではないのはチキンブイヨンの冷凍ものを使っているからですが、家庭のキューブアイスを適量入れてください。
ここでトロミを調整するので好みの濃度になったらそこで氷を入れるのをやめてください。
濃い目が好みの場合は冷蔵庫に入れるか氷水の入ったボウルで冷やしてください。
10.盛り付けたら完成!
慣れれば30分ぐらいで冷たいヴィシソワーズが作れるようになります。
余った分は冷凍しておけば即席で美味しいヴィシソワーズがいつでも飲める様になるので、管理人の様に多めに作っておくと非常に便利です。
見た目はただのポタージュですが、タマネギと違うサッパリとした甘味と口当たりの良いスープは暑い夏には重宝するはずです。
▼温めたヴィシソワーズにコーンを入れたもの。
冷凍してあったヴィシソワーズを温め、砂糖と塩をほんの少し入れると汎用性の高いポタージュになります。
コーンスープはタマネギとコーンを使っているので甘味が十分ありますが、長ネギの場合は少ないので砂糖を少し入れると近い味わいにすることが可能です。
ポタージュは家庭料理のスープとしては手間がかかっているので、大量に作って冷凍しておけば時短にもなり、応用が出来るので飽きずに食べられます。
映画の「ティファニーで朝食を」はニューヨークが舞台であり、ヴィシソワーズはニューヨーク生まれなので、贅沢な朝ごはんにヴィシソワーズ楽しんでみるのも良いかもしれませんね(笑)。