セールスポイント
・憧れの仏マルシェの「アレ」が日本でも。
・他国のサラミと違い、肉と塩気の旨味が強い。
・酒のつまみとしても素材としても一流。
ソシソンセックとは?
Saucisson sec(以下、ソシソンセック)という食品を知らない人が多数いると思いますが、フランスのマルシェにてぶら下がっている白カビが生えたサラミの様な物です。
パンとチーズ、ソシソンセックの組み合わせは本場フランスでは鉄板の組み合わせであり、ベーカリーにも置いてある程となっています。
ソシソン=ソーセージ、セック=乾燥させたもの、フランスの料理名や製品名はいつも率直なものですが、本製品も例に漏れずひねりがありませんが、味は確かとなっています。
サラミとソシソンセックの違い
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【実食】芳醇な香り、白カビトリュフサラミ【サルチス】
・人工香料ではなく、本物の黒トリュフを使用。
・トリュフの香りが凄まじい。
・塩気がマイルドなのでサラミの素材の良さが分かる。続きを見る
サラミの起源はイタリアと言われていますが、現在では様々な国でオリジナリティ溢れるサラミが販売されており、ドイツ・ハンガリー・スペイン当たりの製品は比較的小売店で見かけるはずです。
基本的な製造方法はほぼ一緒であり、豚挽き肉(牛を加える場合も)に脂身を加え、食塩と香辛料で味を整えたものを腸詰めして熟成させています(大凡60~90日)。
挽き肉の大きさや干す前に燻製する・茹でるなどの様々な工夫がされている為、一口にサラミ・ソシソンセックと言っても多岐に渡る奥深い発酵食品ですね。
日本人が想像するイタリアのサラミはミラノサラミと呼ばれており、細かい豚挽き肉に大きめな脂肪が沢山入っており、長期熟成した割に柔らかい印象があるはずです。
一方、ソシソンセックは赤身の割合が多く、肉の味わいをメインに楽しみ、歯応えがしっかりとしているのが特徴です。
ソシソンセックが有名じゃない理由
ピザに良く使われる安いアメリカ産のサラミから本格的な高級サラミまで幅広い製品が日本には輸入されており、国産サラミも昨今では製造が盛んになってきています。
ですが、ソシソンセックについてはほぼ知名度が無く、検索してもあまり情報が出てきません。
それにはシンプルな理由があり、日本に向けてソシソンセックを輸出するライセンスを持っているフランスの生産者がほぼ居なかったからです。
しかし、近年ではソシソンセックの輸入がある程度可能となった為、輸入食材店がこぞって販売を行う様になり、値段が高騰していない今が買い時でしょう。
レビュー
今回紹介するのは「ベル社」の傘下メーカー「MDS(メゾンドサヴォワ)」が作る「ソシソンセック サヴォワ ヘーゼルナッツ」「ソシソンセック サヴォワ ハーブ」の2種類です。
上記以外の製品でも「ナチュレ」「ポーフォールチーズ」「スモーク」「ピマンデスプレット(唐辛子)」もあり、全6種類とバリエーションが豊富です。
▼ヘーゼルナッツのパッケージ。
「ベル社」はフランスのソシソンセック生産者の№2であり、フランスにおけるソシソンセックの代表的なメーカーの1つです。
その傘下である「メゾンドサヴォワ」というメーカーはフランス中南部のサヴォワ地方にあり、モンブラン山の麓でソシソンセックを製造しています。
サヴォワ地方では昔からイタリアとの文化交流があった為、イタリアのサラミをフランス流に仕上げたものがソシソンセックとなり、いわゆる発祥地/元祖と言われています。
▼ハーブのパッケージ。
「ソシソンセック サヴォワ ハーブ」の方は周りについている香草が落ちやすく、数回袋から出し入れしていたら数カ所剥がれてしまいました。
最初は袋にそのまま保存していましたが、後半はラップで優しく包む事で多少防ぐことが出来ました。
▼中身。
サラミにおいて、『白カビが薄いサラミは嫌だ!』という商品レビューを時折見かけますが、本製品には白カビがビッシリと入っています。
因みに、出荷前に白カビを拭き取っているメーカーもあるので、表面の色合いだけで熟成加減を判断することは不可能でしょう。
とはいっても、この様な見た目をしている方が何となくテンションが高揚する気がするものですし、飲食店で吊り下げる場合には見た目も重要なので、気持ちは分かりますね(笑)。
ソシソンセック サヴォワ ヘーゼルナッツ
カットしてみると『意外と脂身が多いな』と思いましたが、食べてみるとミラノサラミとは明らかに違うことがわかり、脂もしつこくありません。
先述した様に赤身が多い影響なのか、しっかりと熟成・乾燥させた影響なのか、ギュッとした歯応えがあり、写真ぐらいの厚みだと1枚を食べ終わるのに30秒ぐらい楽しめますね。
香辛料はそこまで効いておらず、他国のサラミよりも塩気がやや効いており、旨味とコクが圧倒的に上と断言できる程に、塩気のある昔ながらの発酵食品となっています。
▼贅沢だがサラダが美味。
そのソシソンセックにヘーゼルナッツのカリッとした食感とナッティーさ、そして、ほのかな甘味がが加わることで、塩気との対比が生まれ、今まで食べたサラミやハムと違い、次々と手が伸びてしまいます。
他国のサラミのほとんどが単体で楽しむ事が多いのですが、ソシソンセックは塩気と旨味がしっかりとしているのでパンと一緒に食べられている理由がわかるはずです。
大きめのヘーゼルナッツがゴロゴロと入っていることもあり、このソシソンセックの場合にはやや厚めに切るとバランスが良くなります。
ソシソンセック サヴォワ ハーブ
ソシソンセックの周りにたっぷりとまぶしたハーブは恐らく、「ローズマリー」「タイム」「バジル」「マジョラム」であり、見た目のインパクトが凄まじいですが良い仕事をしています。
ローズマリーとマジョラムの風味が特に主張しており、香草の風味が豊かな分、中の豚挽き肉にはニンニクを加えることでバランスを取っていますね。
後味はハーブ類のおかげで爽やかであり、ほのかな酸味が野菜やパンとの相性を高めているので、酒飲みではない人にもオススメしたい逸品ですね。
ソシソンセックに使われているケーシングは豚の腸を使用しているので、そのまま食べることが可能となっており、特に「ソシソンセック サヴォワ ハーブ」は周りのハーブに旨味と風味があるので剥がさずに一度食べてみてください。
▼サラミサンドに。
1食分のサンドイッチのソシソンセックにしか無かった為、実験となりましたが、実は失敗作です。
本製品の香草を活かす為にケーシングを取ると風味が台無しになりますが、可能な限り薄くスライスしないとケーシングの部分の歯応えがしっかりとしすぎていて、パンとのバランスがイマイチとなってしまいました。
チェダーチーズを挟んでいますが、ソシソンセックの風味を若干消してしまったので、作る際にはフランスの素材系統で統一し、フランスパン・ソシソンセック・チーズクリームにすべきでしたね。
とはいっても、歯応えと僅かな風味で失敗していても十分に美味しかった為、ソシソンセックを再度購入した際にはもう一度挑戦したい味わいでした。
総評
本ラインナップは1本1,000~1,500円/200gとリーズナブルな価格設定でありながらも、ソシソンセック自体の品質は高く、ユニークなフレーバーが多数あるのが魅力的です。
フランスの製品は伝統を重視する傾向にあるので、オーソドックスなものが多いのですが、本製品の様に一工夫してあるのは意外と見つかりません。
数本購入し、フランス流に紙袋に入れて飲み会の差し入れとして持っていけば友人から株が上がるのは間違いないでしょう。