セールスポイント
・イベリコ豚を使った贅沢なスペインサラミ。
・塩分が控えめでイベリコ豚の旨味を堪能出来る。
・一般的なサラミの数倍熟成させることで深みがある。
Casalbaについて
スペインやフランスの三つ星レストラン御用達ブランドである「Casalba(以下、カサルバ社)」は生ハムやサラミなどの製造メーカーです。
素材本来の味を活かした伝統的な製造方法に加え、現代における最高水準の食品安全に取り込んでおり、味と安全性から日本でも名高いパリの高級デリカテッセン「FAUCHON」でも取り扱われていました。
「カサルバ社」では貯蔵室の近くでイベリコ豚を育てていることもあり(契約/委託)、イベリコ豚の精肉やベーコン、パンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)などの販売も行っています。
販売している生ハムやサラミは塩分が薄く、柔らかく・しっとりとした食感を活かし、長期熟成でまろやかなコクと甘味のある旨味が楽しめるのが基本的な特徴となっています。
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・スペインやフランスの3つ星レストラン御用達。
・血液が入ることでコクのあるブラッドサラミ。
・脂と肉質、両方とも文句の付け所が無い。続きを見る
現在、「カサルバ社」の製品を色々と試しており、食したものから順番に紹介しています。
「カサルバ社」の製品が美味しい理由やイベリコ豚の特徴などは上記の記事と重複している上に長い文章の為、細かい説明や解説などは本記事では省略しています。
そもそもフエとは何か?
ざっくりとした説明ですが、豚の腸に豚挽き肉を詰め、乾燥させたソーセージ、つまり、ドライソーセージ(サラミ)の事をスペインではFuet(フエット、フエ)と呼びます。
特徴としては約60%の赤身肉と約40%の細かく刻んだ脂肪を混ぜ合わせた物に、ニンニクと黒胡椒を加えただけなので、他国のサラミと比べるとシンプルな美味しさとなっています。
▼見た目に反して、実にシンプルな味付け。
Chorizo(チョリソ)は日本だとピリ辛ソーセージのイメージがあるかも知れませんが、あれはメキシカンチョリソーと言われているものな上、ドライソーセージではありません。
本来のチョリソはフエの1種であり、辛味成分は一切入っておらず、真っ赤な色は唐辛子では無く、ピメント(パプリカパウダー)によるものです。
カサルバ社のフエ・イベリコ
イベリコ豚の「デ・ゼボ・デ・デカンポ」と「デ・ベジョータ」を使用したフエであり、ザブトンとバラ肉、肩ロースを荒く刻み、混ぜてからイベリコ豚の天然腸に詰め込んで作っています。
詰められた腸詰めは白カビを付けた後に、オークの木で燻製しながら乾燥させ、熟成庫で4ヶ月熟成させて完成です。
通常のフエが1ヶ月で出荷されることが多いのに対して、5ヶ月前後かけて作る本製品はイベリコ豚を使用しなくとも贅沢と言えるでしょう。
味付けは控えめに使用した塩と黒胡椒、隠し味に砂糖を使っているだけのシンプルさが特徴となっています。
最低限のイベリコ豚の知識
イベリコ豚は『どんぐりを食べて育った豚』と日本では解説される事が多いのですが、実際には〇〇鶏や◯◯牛などの様に品種のことを指しています。
日本の黒豚の様に、肉汁が逃げにくい上に味が良く、脂身の口溶けが良く、甘味があるのが特徴となっており、霜降り状になっていることから和牛と似た性質を持っています。
純血の場合、もしくはイベリコ豚の血統が半分以上を満たし、かつ、スペイン政府が認証した品種のみがイベリコ豚と名乗ることが可能です。
「カサルバ社」ではコストを度外視し、美味しいものを作ることに特化した姿勢を取っている為、最高ランクの「デ・ベジョータ」と高級品の「デ・ゼボ・デ・デカンポ」を規定の月数の約1.5倍もかけて育てたものしか採用していません。
レビュー
今回紹介するのは「カサルバ社」の「フエ・イベリコ」です。
▼色々な製品を購入。
製造規模が大きいメーカーを除くと、大抵の輸入品のサラミは不定貫販売が多く、通販では商品の購入後に値段が決まることは覚えておきましょう。
これは製造過程における水分の抜け方の差もありますが、全て天然素材で作っている場合は大きさが揃いにくいからですね。
1本単位で販売していない商品の場合は上の画像の様に少量で試したい製品も気軽に購入できます。
▼解凍したフエ・イベリコ。
重さは1本300g前後、長さは約40cm、スペインのドライソーセージ関連の製品は150g前後のものが多い為、約2倍の大きさがあると考えてください。
本製品は非常にコストパフォーマンスに優れた製品であり、イベリコ豚を使用した長期熟成タイプのフエにも関わらず、輸入食材店で取り扱っているフエと対して値段が変わりません(100g700円以下)。
▼カット後、しばらくすると断面が輝き出す。
天然ケーシング(豚の腸)であるという理由もありますが、じっくりと燻製と乾燥させ、自然の乾燥した冷風で徐々に水分が飛ぶことにより、フエの中ではやや硬めの食感になっています。
肉質が良い製品ほどサラミ全体がカビでビッシリと真っ白になっているものは少なく、「カサルバ社」のフエやサルチチョンは写真の様に全体を軽く覆う程度にしか付いていません。
白カビがたっぷり付いている場合にはカマンベールの様なナッツ類の香りが強く、ミルキーさを感じさせるマイルドな味わいが美味しさのポイントであり、管理人もこれはこれで大好きです。
ですが、豚の肉や香辛料の風味を抑えてしまう弱点があり、高価なトリュフやイベリコ豚を贅沢に使うサルチチョン程、白カビの風味は控えめで、肉や香辛料の芳醇な風味を楽しめる様になっています。
▼付け合せはシンプルが良い。
なので、イベリコ豚の中でも良質なものしか使わない「カサルバ社」では肉と脂の風味を楽しめ、香辛料もフエの定番であるニンニクを使わず、黒胡椒しか入っていません。
又、燻製してから4ヶ月乾いた冷風しているので、燻製BARや手作り燻製などで味わうスモーキーさはほぼ無く、ほんのりと白カビ特有の香りがフワリと感じる程度の仕上がりになっています。
その結果、イベリコ豚の良い所を余すこと無く、最大限に旨味と香りを引き出しており、肉自体の旨味が豊かであり、お酒を楽しむ前にもう少し口の中でイベリコ豚の美味しさを感じたいと思う程となっています。
隠し味の砂糖の甘さは言われてもわからない程度ですが、イベリコ豚の脂身は和牛の如く甘い香りと味わいを有しており、旨味のある塩気と甘い風味が素晴らしいですね。
▼同社のデ・ベジョータだけで作ったフエと比較。
こちらは以前紹介したモルシージャですが、断面の肉質だけに注目してみてください。
使用している部位は一緒なのですが、最高級のイベリコ豚「デ・ベジョータ」を使用しているモルシージャの方が赤身の部分にもサシが入っており、本記事で紹介している「フエ・イベリコ」と比べると赤身肉の質が全然違うことがわかります。
どちらが上という訳では無く、「フエ・イベリコ」の方が赤身肉の味わいを堪能したい人向け、「モルシージャ・イベリコ・ベラ」は脂の美味しさを楽しむ人向けといった仕上がりになっていますね。
サラミに限りませんが、この手の嗜好品やチーズ、珍味などは高級品であれば良いという物では無く、普段愛用している酒の種類や味の好みから選ぶのも大切なので、こういった情報も大切にしてみてください。
▼ボカディージョ(スペイン風サンドイッチ)。
一般的なフエよりも塩分濃度が控えめであり、4、5倍の時間をかけた長期熟成サラミはカドがとれた味わいですが、ボカディージョにしても当然美味しいです。
美味しくするコツとしてはパンは少なめ/小さめで、薄く斜めにスライスしたフエをドッサリと使うことですね(半端にするならピンチョスが良い)。
本場では野菜はトマトぐらいしか使わないみたいですが、トマトの味がイベリコ豚の味を損ねてしまったので、少量のオニオンスライスと葉野菜を挟み、シャキシャキとした歯ごたえだけ加えました。
野菜の歯ごたえと香りを楽しんでいると「フエ・イベリコ」の美味しさが徐々に強くなってくるのをパンと一緒に楽しむ訳です。
総評
塩コショウ、砂糖だけというシンプルな構成ですが、旨味は十分以上に楽しめ、日本の本枯節もそうですが、伝統文化を踏襲した発酵食品の味わいは驚く美味しさを誇っています。
「カサルバ社」のフエやサルチチョンの材料は高価であり、時間もかなり掛けている上、3つ星レストランでも使用されている程評価が高いのですが、ハッキリ言って安すぎると感じる程の価格設定ですね。
なとりやヤガイなどの安いサラミやカルパスなどと同じぐらいの値段でありながらもナイフで切るという一手間だけでイベリコ豚の極上フエが食べられる…通販が発達した恩恵は計り知れないと考えさせられました。
日本ではまだまだ知名度が低いメーカーかもしれませんが、「カサルバ社」の食肉加工品はハッキリ言って買いですね。
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